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大野 「どうすりゃいいんだ・・・」

1 :風吹けば名無し:2022/03/07(月) 18:21:08.35 ID:LCbXMeGv0.net
本拠地、バンテリンドームで迎えた横浜戦
先発大野は9回2失点、しかし打線が勢いを見せず惜敗だった
ドームに響くファンのため息、どこからか聞こえる「与田やめろ」の声
無言で帰り始める選手達の中、昨年の沢村賞投手大野は独りベンチで泣いていた。
オリンピックで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の中日で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」大野は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、大野ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」大野は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、大野はふと気付いた

「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出した大野が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにドラゴンズの旧応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする大野の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「大野、投球練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った大野は目を疑った
「す・・・吉見さん?」 「なんだ大野、居眠りでもしてたのか?」
「こ・・・森野コーチ?」 「なんだ大野、かってに森野さんを引退させやがって」
「岩瀬さん・・・」  大野は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
1番:荒木 2番:井端 3番:森野 4番:ブランコ 5番:和田 6番:谷繁 7番:平田 8番:大島 9番:大野
暫時、唖然としていた大野だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
野本からグラブを受け取り、マウンドへ全力疾走する大野、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、ベンチで冷たくなっている大野が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った

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