桐生一馬「どうすりゃいいんだ・・・」

風吹けば名無し

本拠地、神室町で迎えた関西近江連合戦
５代目寺田が痛恨の裏切り、その他直系組長も勢いを見せず惨敗だった
神室町に転がる若衆の屍、どこからか聞こえる「これで東城会も終わりだな」の声
無言でパクられ始める組員達の中、四代目組長桐生一馬は独り独房で泣いていた。
堂島組で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できる親分衆と兄弟分・・・
それを今の東城会で得ることは殆ど不可能と言ってよかった

「どうすりゃいいんだ・・・」内川は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、桐生ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たい鉄格子の感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、刑務作業をしなくちゃな」桐生は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、桐生はふと気付いた

「あれ・・・？組員がいる・・・？」
独房から飛び出した桐生が目にしたのは、本部前を埋めつくさんばかりの若衆だった
頭を垂れて、地鳴りのように「お疲れ様です」の声が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする桐生の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「桐生チャン、定例幹部会の時間や、早よ行くで」声の方に振り返った桐生は目を疑った
「ま・・・真島の兄さん？」「なんだ一馬、居眠りでもしてたのか？」
「風間のおやっさん？死んだ筈じゃ…」「なんだ桐生、かってにおやっさんを殺しやがって」
「錦・・・」桐生は半分パニックになりながら名前札を見上げた

錦山組組長：錦山彰　久瀬拳王会会長：久瀬大作　真島組組長：真島吾朗　冴島組組長：冴島大河　嶋野組組長：嶋野太　６番：内川　風間組組長：風間新太郎　白峰会会長：峯義孝　本家四代目組長：桐生一馬

暫時、唖然としていた桐生だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ！」
大吾からチャカを受け取り、神室町へ全力疾走する桐生、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、事務所で冷たくなっている堂島宗兵が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った