小池百合子「どうすりゃいいんだ……」

風吹けば名無し

本拠地、東京都庁で迎えた対新型コロナ戦
先発緊急事態宣言が大量失点、マンボーも勢いを見せず惨敗だった
都庁に響く都民のため息、どこからか聞こえる「東京オリンピックは中止だな」の声
無言で帰り始める役人達の中、都庁の主小池百合子は独り知事室で泣いていた。
都知事選で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できる側近・・・
それを今の都庁で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」小池は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、小池ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たい知事のイスの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰って辞職会見の練習をしないとね」小池は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、小池はふと気付いた

「あれ・・・？有権者がいる・・・？」
知事室から飛び出した小池が目にしたのは、都庁前広場を埋めつくさんばかりの支持者たちだった
千切れそうなほどに都の旗が振られ、地鳴りのように東京都歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする小池の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「百合子、就任記者会見だ、早く行くぞ」声の方に振り返った小池は目を疑った
「す・・・鈴木俊一さん？」「なんだユリ、居眠りでもしてたのか？」
「あ・・・青島さん？死んだんじゃ」「なんだ小池、かってに青島さんを殺しやがって」
「石原さん・・・」　小池は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
１番：小池　２番：猪瀬　３番：鈴木（俊）　４番：美濃部　５番：青島　６番：舛添　７番：石原　８番：東　９番：安井
暫時、唖然としていた小池だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ！」
二階幹事長からマイクを受け取り、会見場へ全力疾走する小池、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、大規模接種会場で冷たくなっている小池が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った