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菅野「どうすりゃいいんだ…」

1 :風吹けば名無し:2020/11/29(日) 07:54:53.67 ID:LuRI4TDrd.net
敵地、ペイペイドームで迎えたSB戦
先発畠が大量失点、打線も勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「来年で12連敗だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、昨年特に何のタイトルも獲ってない菅野は独りベンチで泣いていた。
雑魚狩りで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを日本シリーズで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」菅野は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、菅野ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってイカせタップをしなくちゃな」菅野は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、菅野はふと気付いた

「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出した菅野が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにジャイアンツの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする菅野の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「智之、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った菅野は目を疑った
「ち・・・長野さん?」 「なんだ智之、居眠りでもしてたのか?」
「あ・・・阿部2軍監督?」 「なんだ菅野、かってに慎之助を引退させやがって」
「由伸さん・・・」  菅野は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
1番:長野 2番:寺内 3番:坂本 4番:阿部 5番:高橋由 6番:村田 7番:矢野 8番:ボウカー 9番:菅野
暫時、唖然としていた菅野だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
内海からグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する菅野、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、ベンチで冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った

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