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俺「異世界来たァ! 処女奴隷ハーレム作り放題だぜえええ!」

1 :道楽時計:2020/11/21(土) 14:02:42.96 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「異世界に来てから早一か月、か」

俺「大体街の仕組みは覚えたし、技術水準も確認した」

俺「神様からもらった【ステータス】と【聖剣】の奇跡で生活も安定してきたし、そろそろ処女奴隷一号でも買い漁るとするか!」

俺「来た来た、奴隷市場…」

俺「ヒヒ、あっちこっちに裸の女がいやがるぜ」

2 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:02:50.74 ID:EGO/y1Ok0.net
俺(俺の【ステータス】の奇跡は、設定を弄れば、相手の好きな詳細を見れる)

俺(性格から才能、病気から性体験までなんでも暴ける)

俺「ハハハハ! もっと金ができたら奴隷トレーダーで儲けるのも悪くないかもしれないな! 株みたいに!」

俺「……今の持ち金は八十万ゴールド、綺麗どころの性奴隷は簡単に二百万ゴールドくらいに乗っちまうからな」

俺「なんとか安くて優良な奴を当てておきたい。最悪多少ブスでもいいか、また売ればいいだけだし」

3 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:02:58.22 ID:EGO/y1Ok0.net
奴隷商人「キキ、旦那、初顔ですかい?」

俺「あ、ああ、わかるのか?」

奴隷商人「ええ、この場になれてないってウブな顔だ」

奴隷商人「安くしときますぜ、今後仲良くやっていくためにもね」ニマァ

俺(……不気味な奴だな)

俺(まぁ、ボラれることはないか。俺の【ステータス】に、都内市場価値をセット……これで確実に足許を見られないで済む)

4 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:03:07.55 ID:EGO/y1Ok0.net
奴隷商人「この子はどうですかい? 耳長ですよ」

俺「……エルフか、美人だが」

エルフ「……」ギロッ

◆◆
種族:エルフ
年齢:215
性格:人間嫌い
病気:マンドラゴラ病
経験:258人
特筆:魔力高
市場価値:400万ゴールド
◆◆

俺「ひぇっ」

奴隷商人「どです? んんー、390万ゴールドくらいで?」

俺「うーん……悪いが、あまり金も持ってないもので」

奴隷商人「なんだ、そうかい。もう少し手頃なのを見繕ってあげようかね」

俺(……いきなりハードなもの見せられちまった、嫌な背景がありあり想像できる)

5 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:03:21.56 ID:ivCz8QvMa.net
膣ゴ定期

6 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:03:23.03 ID:xzzLezHM0.net
膣ゴレ

7 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:03:27.34 ID:EGO/y1Ok0.net
俺(……処女、いないなあ。テンション下がるわ)ハァ

俺(俺の処女性奴隷ハーレムの夢が)

奴隷商人「どの子もお気に召しませんでしたか……ムム。ではまた、御機会があれば」

俺「その奥の子、まだよく見てなかったな。そいつはいくらだ?」

根暗そうな女の子「……」

奴隷商人「あ、旦那、それはその……」

◆◆
種族:ヒューマン
年齢:15
性格:心神喪失状態
病気:コボルト腫瘍、マンドラゴラ病、ゴブリン疣、魔毒、膣ゴレーム症、ゼウス風邪、スライム赤痢
経験:2031人
特筆:将来の夢は優しいお嫁さん
市場価値:20ゴールド
◆◆

俺「」

8 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:03:45.03 ID:EGO/y1Ok0.net
女の子「…………」

俺「こ、この子は……」

奴隷商人「へへへ……下取りで、得意先様から押し付けられちゃった娘で」

奴隷商人「ほら、左目の周りとか凄いでしょ? 脱いだらもっと酷いですよ」

俺「どうするんですか……?」

奴隷商人「まあ……ここまで酷いと、何もしなくても来週には死ぬでしょうね」

俺「…………」

9 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:03:47.50 ID:M0pDEG/D0.net
みてるで

10 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:03:55.05 ID:EGO/y1Ok0.net
奴隷商人「拷問好きのお客さんなら買われるかもしれませんね。殺しても惜しくないわけだし」

俺「拷問好きの」

奴隷商人「そういう人に他の子と抱き合わせか、五万ゴールドくらいで捌こうかなと」

俺「買います」

奴隷商人「……え?」

俺「買いますと、言ったんだ。売り物なんだろ」

奴隷商人「旦那……? いやぁ、でも、止めておいた方がいいですよ? 新入りにこんなの掴ませたなんて噂が広がると、私も……」

ジャラッ

俺「八十万ゴールドある。これで文句ないだろ」

11 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:04:06.61 ID:mvCn3dZer.net
普通に考えて美人巨乳お姉さんの奴隷になりたいよね
日本の男ってなんでこう幼い奴ばっかなの?

12 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:04:11.23 ID:M0pDEG/D0.net
これ膣ゴレかよ

13 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:04:45.96 ID:+DF+EfQsa.net
奴隷との生活っていうゲームの前日譚らしいな

14 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:04:50.00 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「ふう……どうにか急ぎで、予備のポーションが売れてよかった」

俺「パンを切って、野菜とハムを挟んで、ゆで卵スライスを加えて……香辛料はまだあるな」

俺「よし、即席サンドだ! 俺のこっちでの好物なんだけど」

女の子「…………」

俺(ダメ……か)オドオド

女の子「…………」モグモグ

俺「……!」パアッ

15 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:04:58.24 ID:EGO/y1Ok0.net
俺(……しかし、食べ方、綺麗だな。こっちの世界では珍しいぞ。この子、教育のしっかりしている家で育ったのかもしれない)

女の子「…………」

俺「なぁ、もしかして貴族の家柄とか……」

女の子「……!」ビクッ

俺「そんなわけないか」

女の子「い、嫌ッ! 嫌ッ!」

俺「お、おい、どうしたんだ!」

女の子「やだぁ! 嫌だ、やだぁ! やめて! やめてください!」

16 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:05:09.18 ID:Kobu1K6sa.net
膣ゴレーム完結したのみたことないわ

17 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:05:15.66 ID:EGO/y1Ok0.net
女の子「ごめんなさい! ごめんなさい! 生まれてきてごめんなさい!」ガクガク

俺「お、落ち着け! 安心しろ! 俺は絶対に酷いことなんてしないから! な?」ギュッ

女の子「ごめんなさい、ごめんなさい……」ガクガク

俺「ここにはお前に酷いことする奴は一人もいない! 俺がそんなことさせない! だから大丈夫だ!」

女の子「……うう、うう……」

俺(よ、よし、落ち着いてきたか……)ナデナデ

俺「…………」

 奴隷商人『まあ……ここまで酷いと、何もしなくても来週には死ぬでしょうね』

俺(お、俺が……俺が、どうにかしてあげないと)

18 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:05:33.34 ID:EGO/y1Ok0.net
―ある豪邸―
女侯爵「どうかしら、例の娘?」

部下「は……奴隷市場に売られ、その後、娼館へ流れ着いたようです」

部下「その後、性病が発覚して、貧民街の最低位の娼館、通称【便所穴】に落とされたようですな」

部下「死ぬより辛い目に遭われたことかと」

女侯爵「ホホホ、それでいいわ。あんな泥棒猫の娘、当然の末路ね」

女侯爵「ねぇ、これでわかったでしょう? 貴方は、私だけ見ていればいいの」ギロ

夫「……」

女侯爵「何か言いたいことがありそうねぇ? 別にいいわよ、また夜遊びしても」

部下(恐ろしいお人だ……夫の妾を拷問死させ、その子供まで地獄に突き落とすとは)ゾオッ

部下(民衆から吸血侯爵と恐れられるだけはある)

19 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:05:43.00 ID:EGO/y1Ok0.net
女侯爵「……で、今その娘はどうなってるの?」

部下「え……? い、いえ、【便所穴】に落とされ、死んだのでは?」

女侯爵「確認していないの? とんだ無能ね」ギロッ

部下「しし、しかし! 死んだにきまっています!」

女侯爵「万が一ってこともあるでしょうがああああ! あのゲロブスの娘が生きているかもしれないと思うと、気が気じゃないのよおおお!」バンッ

部下「ももも、申し訳ございません!」

女侯爵「いいことを考えたわ。娼館に連絡して、死体を取り返しなさい。あの人に見せつけてあげるわ」ニマア

部下「は、はは、はいい!」

20 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:05:44.93 ID:Kc6YEE+l0.net
支援

21 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:05:59.49 ID:EGO/y1Ok0.net
―冒険者の酒場―
俺「……そういや、昼飯も後回しにしたまま、まだだったんだよな。もう夕刻か」グウ

俺「あーあ、全財産渡したのは馬鹿だったなぁ」ポリポリ

剣士「あの感じ悪いオッサンいるじゃん」
槍使い「ああ、強そうだったから誘ったら鼻で笑いやがった奴だな。誰に対してもあんな調子だとよ」
剣士「なんか頼んで回ってるみたいだが……馬鹿にされてるみたいだな」
槍使い「だろうよ、いいザマだ」

22 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:06:05.70 ID:waTQYLR20.net
elonaの奴隷よりも酷い使い方されてんな

23 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:06:24.72 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「な、なぁ、アンタ、以前はその、悪かった」バッ

剣士「うわ、こっち来たwww笑うわwww」

剣士「アンタじゃなくて、剣士さんだが?」

槍使い「おい、止めとけ、こいつ短気でクズだって……」

俺「す、すまない、剣士さん、その、訊きたいことがあるんだ」バッ

剣士「wwww」

槍使い「…………」

24 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:06:27.97 ID:R5+jtpHs0.net
そんなことよりゼウス風邪ってなんだよ

25 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:06:37.88 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「白魔導士を、探してるんだ……それも、最低でもB級以上の」

俺「もう時間がなくて、遠出して会いに行く猶予はないんだ」

俺「頼む、噂でもいい、何か知っていることがあったら……!」

剣士「知るかよそんなの! この都市に、そう都合よくB級の凄腕白魔導士がいるわけないだろバカかよ」

俺「……そう、ですよね」

槍使い「……貧民街に、仙人と呼ばれている白魔導士の男がいるらしい」

剣士「おい、お前……!」

槍使い「キナ臭い話だがな、行くなら気を付けろ」

俺「ありがとう、ございます。行ってみます」ペコッ

26 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:07:08.09 ID:EGO/y1Ok0.net
―翌日―
女の子「ごほ、ごほ」

俺「わ、悪い、連れ回して……。背負おうか?」

「見ろよ、あいつ、病持ち連れてるぜ」
「あの目、魔毒の症状じゃないか? よく触れるわ……」
「あんな汚物、表に出すなよなぁ、非常識だなあ」

女の子「…………」

俺「うるせぇぞテメエらぁ! お前達に、この子の何がわかる!」

女の子「!」

「おいおいあいつ、目に涙浮かんでんぞ」
「ビビってんじゃねぇか。無理するなよ雌犬の飼い主さん」

27 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:07:25.51 ID:waTQYLR20.net
槍さん良いやつなんか

28 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:07:25.52 ID:cEVlprkea.net
女の子「大型肉食恐竜型ハンターは、小型獣型ハンターに振り向いて大きく口を開けて吠える。
まるで獲物の邪魔するなと言われているようで、攻撃を止めて戸惑う小型獣型ハンター。
小型獣型ハンターは大型肉食恐竜型のハンターに牙を向けて威嚇したり、吠えて威嚇している。
大型肉食恐竜型ハンターはぶるぶると頭を振って小型獣型ハンターを片足で踏み潰す。
大型肉食恐竜型ハンターに踏み潰された小型獣型ハンターは頭を上げて吠え、頭が地面に突く。
小型獣型ハンターの紅い眼が点滅して消え、小型獣型ハンターからばちばちと火花が散っている。
大型肉食恐竜型ハンターがオレに襲い掛かろうとしている小型獣型ハンターを銜えて放り投げ、口の中の砲口が伸びてキャノン砲で小型獣型ハンターを撃つ。
小型獣型ハンターが空中で身体を起こすのも虚しく空中爆発する。
大型肉食恐竜型ハンターは尻尾で小型獣型ハンターを薙ぎ払い、口の中の砲口からキャノン砲で小型獣型ハンターを撃っている。
小型獣型ハンターが大型肉食恐竜型ハンターと戦っている。」

29 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:07:47.49 ID:EGO/y1Ok0.net
―貧民街―
俺(噂通りの、小汚い、変わった頭の形の爺さんだ……)

俺「あなたが、仙人さんですか……?」

浮浪者「よーお、貴族の遣いが頼みに来るね。そんなこと言って」カカカ

浮浪者「そっちの子が病持ちか」ジロッ

女の子「…………」

浮浪者「で、ゼニは持ってるか?」

俺「う……その、金目のものなら……」

浮浪者「ほーう」

30 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:08:03.06 ID:EGO/y1Ok0.net
俺(足りるか……? 大したものは持っていない)

俺(相場を確かめるべきだったか……)

俺(いや、その前に、こいつが本物かどうか確かめておいた方がいい。確認事項を【ステータス】にセットして……)

◆◆
種族:ヒューマン
年齢:64
性格:狡猾
技能:【ペテン:B】【カリスマ:C】
◆◆

俺「なっ!」

31 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:08:07.61 ID:AuQzDUN+a.net
3
3


職ニ
ート



32 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:08:24.08 ID:i8FOstBy0.net
そろそろ他のレスに反応しだすで…w

33 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:08:43.86 ID:uavpVPwa0.net
ごちうさ?

34 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:08:50.29 ID:EGO/y1Ok0.net
浮浪者「どうしたか?」

俺「か、帰らせてもらう! この子には時間がないんだよ!」

浮浪者「はぁ……お前ら、出番だ」

孤児A「…………」ザッ
孤児B「…………」ザッ
孤児C「…………」ザッ

女の子「……!」ギュッ

俺「……なんの、つもりだ?」

浮浪者「ゼニ持ってる、わざわざ病気の治療のために暢気にこんなとこ入り込むお貴族様にはわからんか?」

浮浪者「噂でカモ呼び込んで、身ぐるみはがすんだよ。こんなふうにな」ギロッ

浮浪者「お前ら仕事や、どっちも殴り殺せ。女も犯すんじゃないぞ、あれは汚物の塊だ」

35 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:09:06.46 ID:EGO/y1Ok0.net
浮浪者「叩き殺せ、毒女の血は浴びるなよ。穢れるぞ」

孤児A「……」バッ

女の子「きゃぁぁぁっ!」

俺「ぐっ!」バッ
グサッ
孤児A「……」ニイ

女の子「お、俺さん!」オドオド

俺「だ、大丈夫だ、浅い……。はは、初めて名前呼んでくれたな」ヨロッ

36 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:09:42.71 ID:QJsn5rxfa.net
>>24
コロナや

37 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:10:01.07 ID:EGO/y1Ok0.net
孤児B「……」シュン

俺「……【聖剣】の奇跡」カンッ

浮浪者「な、なんだあの剣は!」

俺「神様からもらった……俺だけが自在に出し入れ可能な【聖剣】だ」ギロ

浮浪者「ううっ」

俺「はぁっ!」ズパァツ

孤児B「がぁっ! う、腕が!」

孤児A・孤児C「!」

俺「退け……ここから先は、殺すぞ。俺は本気だ」

浮浪者「うう、うぐう……」

38 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:10:11.29 ID:EGO/y1Ok0.net
女の子「俺さん、俺さん、死なないでください!」ボロボロ

俺「大丈夫だ……これくらい、なんてことない」ゼエゼェ

俺「悪かったな、下調べが甘くて、とんでもないところに連れてきてしまった」

俺(……無駄に日数を使ってしまった)ギリ

俺「この子には……もう、時間がないっていうのに」

39 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:10:28.06 ID:EGO/y1Ok0.net
―冒険者の酒場―
俺「どうしよう……どうしよう……あれからいくら探しても、一向に見つからない……」ガリガリ

槍使い「……なぁ、オッサンよ」

俺「お前は……」

槍使い「悪い、以前、とんでもないデマを教えてしまったようだな」

俺「いや……噂でいいから教えてくれと言ったのは俺だ」

槍使い「あれから俺も、調べてみた。都市長が、隠し子の治療のために極秘で白魔導士を読んでいたらしい」

槍使い「これは、恐らく間違いない」

俺「ほ、本当か!」ガタッ

40 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:10:46.00 ID:pUyxmDfLa.net
>>10
5年くらい前に見た気がする

41 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:10:47.05 ID:EGO/y1Ok0.net
―宿屋二階―
デブ「なんだね、チミ。私は忙しいのだがね」

俺(身なりがいい……そうだ、真っ当な白魔導士なら、かなり金を持ってないとおかしいんだ)

◆◆
種族:ヒューマン
年齢:45
性格:傲慢、怠惰
技能:【白魔導:A】
◆◆

俺(ま、間違いない、本物だ! ありがとう、槍使い……!)ジワッ

俺「お、お願いです! 病気の治療をしてほしい子がいるんです!」バッ

デブ「はー、どっから話が漏れたのか」ハナホジー

42 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:11:27.59 ID:LnsQ0aLtd.net
>>7
これすき

43 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:11:31.47 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「お願いします!」

デブ「う〜ん、まずどういう病気なのかもしらんし」

俺「そ、それは……」

俺「コボルト腫瘍、マンドラゴラ病、ゴブリン疣、魔毒、ゼウス風邪、スライム赤痢……あとは、膣ゴレーム症……」

デブ「よくわかるね」

俺「こ、これは間違いないです!」

44 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:11:41.74 ID:SBC1kOX80.net
いつもの完結出来ない人?

45 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:11:47.95 ID:EGO/y1Ok0.net
デブ「ま、私ならいけるね、付きっ切りでかかれば」

俺「ほ、本当ですか!」

デブ「五十万ゴールド」

俺「っ! か、返します! 払って見せます! すぐには用意できませんが……」

デブ「一日五十万ゴールド」

俺「……え?」

俺「そ、それは、何日掛かるんですか……? あの、目安とか……」

デブ「わかるわけないじゃんそんなの見てもないのに」

46 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:11:48.70 ID:rMFkUvnMa.net
これ淫夢?

47 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:11:58.01 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「一日に、五十万……」ブツブツ

デブ「三日以内に百万ゴールド用意出来たらとりあえず見てあげるわ」

俺(【聖剣】を売れば、行けるか……?)

デブ「勿論、チミが逃げられないように患者は私が預かるし、破れば死に至る、魔縛りの契約書も書いてもらうけどね」

俺「……わかりました、絶対に、用意してみせます」ザッザッ

デブ「ん、頑張ってね」

デブ「馬鹿な奴だ、何十日でも居座ってやる」ニチャア

48 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:12:20.12 ID:EGO/y1Ok0.net
―試練の洞窟・再奥地―
翡翠竜「ガアアアアア!」

キンキンキィン!

俺(さすがにA級モンスター、強すぎる……)

俺(だが、翡翠竜の角は、一本で三十万ゴールドになる。手っ取り早く集めるには、これしかない!)

俺「らああっ!」ブゥン

翡翠竜「ギッ」

俺「力を貸してくれ、【聖剣】!」

俺「俺はどうしようもないクズだったけど……初めて誰かを守りたいと、そう思えたんだ!」ザクッ

翡翠竜「ギャアアアアアアアッ!」

俺「……やった、のか?」ハァハァ

49 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:12:21.05 ID:PES6ndF90.net
一応保守っとく

50 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:12:26.89 ID:kDRAHPbt0.net
膣ゴレーム定期

51 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:12:42.76 ID:kDRAHPbt0.net
>>16
わりと面白かったで

52 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:12:47.47 ID:EGO/y1Ok0.net
―当日―
俺「ごめん、ごめん……」ボロボロ

女の子「……」

俺「百万ゴールドあれば、助けてあげられるはずだったのに……!」

俺「市場で足元を見られて、半分しか溜められなかった……!」

女の子「……」

俺「いつもさ、そうなんだ。前の世界でも、勉強とか必死に頑張っても、過去問もらってる奴らには敵わないし……部活だって、恋愛だって、何一つ上手く生きやしなかったんだ」

53 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:13:15.19 ID:EGO/y1Ok0.net
女の子「ありがとう……」ギュッ

俺「!」

女の子「俺さん、ありがとう……。私、あのまま生まれて来なければよかったって思いながら、死ぬところだった」

女の子「でも、俺さんのお陰で、私、すごく幸せだった」

俺「う、うう……」ガクッ

奴隷商人「キキ、旦那、邪魔するよ」

54 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:13:17.74 ID:uavpVPwa0.net
急に自分語りするな

55 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:13:21.30 ID:VFFOIrLJ0.net
何年ぶりかに見たわ

56 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:13:34.73 ID:rw06aXSkd.net
最初に80万ゴールド渡したのアホ過ぎちゃう?

57 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:13:35.46 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「お、お前は、あのときの……」

奴隷商人「随分ヘンな奴があちこち奔走してるって、噂になっててね」

奴隷商人「そういやお釣りを忘れたマヌケな人がいたなって、思い出したのさ」ドサッ

俺「!」

奴隷商人「七十五万ゴールドだ」

俺「な、なんで……!」

奴隷商人「ぼったくったって言われちゃ、看板に傷がつくのさ。アタシの店は、信用が売りなんでね」

俺「ど、奴隷商人さん!」ジワア

58 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:13:57.89 ID:9OtASbUI0.net
久々やな

59 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:00.52 ID:7DGNa38Id.net
これ結末知らんのやがどうなるんや

60 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:01.04 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「ありがとうございます! これで、これで、この子を助けられます!」バッ

奴隷商人「甘いね」

俺「えっ」

奴隷商人「お前の頼ろうとしてる奴は、腕は確かだが、タカリで有名な奴さ」

俺「……そ、そんな。でも、腕は確かなんですよね?」

奴隷商人「馬鹿言うんじゃない。それじゃ、旦那が報われないさ」

奴隷商人「契約に私が付き添ってやる。引き受けるって言質は取ってるし、逃げるには旦那は奇人で有名すぎる」

奴隷商人「あの強欲怠惰にきっちり働かせてやろうじゃないか」

俺「ほ、本当ですか!」

61 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:04.98 ID:ZKs/aiM7a.net
なんで略称が膣ゴレになるんや

62 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:08.90 ID:FU/VMpF50.net
良い奴やん

63 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:13.59 ID:0tjK5ziw0.net
がんばれ

64 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:38.54 ID:7VziQk6n0.net
面白い

65 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:40.14 ID:lwrV7X5+0.net
>>59
😏

66 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:42.55 ID:by+pg0mGa.net
態度悪かったり価値無しに全財産手放したり全部自業自得やんけ

67 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:43.12 ID:FU/VMpF50.net
捕手

68 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:43.74 ID:PES6ndF90.net
保守

69 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:52.10 ID:kDRAHPbt0.net
>>59
強い剣士みたいのと戦うのは覚えてる

70 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:53.14 ID:FU/VMpF50.net
捕手

71 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:53.21 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「ありがとうございます、本当に」

奴隷商人「いいってことさ、惚れた弱みって奴だね」

俺「えっ……?」

奴隷商人「フフ、なんでもないよ」

女の子「…………」ジー


女侯爵の部下「クソ……あのガキ、【便所の穴】行きになった後の行方が追えない……!」
女侯爵の部下「このままじゃあ、私があの吸血侯爵に殺されてしまう」ゾオッ

俺(なんだ今の人、凄い怖い顔してたが……)

72 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:14:59.39 ID:xwICoFnqM.net
 メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。
メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。
この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。
メロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。
メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。
歩いているうちにメロスは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。
のんきなメロスも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈だが、と質問した。
若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて老爺に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。メロスは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。
老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

73 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:15:10.92 ID:xwICoFnqM.net
「王様は、人を殺します。」
「なぜ殺すのだ。」
「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」
「たくさんの人を殺したのか。」
「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣を。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから、皇后さまを。それから、賢臣のアレキス様を。」
「おどろいた。国王は乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました。」
 聞いて、メロスは激怒した。「呆れた王だ。生かして置けぬ。」
 メロスは、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行った。たちまち彼は、巡邏の警吏に捕縛された。調べられて、メロスの懐中からは短剣が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。メロスは、王の前に引き出された。
「この短刀で何をするつもりであったか。言え!」暴君ディオニスは静かに、けれども威厳を以て問いつめた。その王の顔は蒼白で、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。
「市を暴君の手から救うのだ。」とメロスは悪びれずに答えた。
「おまえがか?」王は、憫笑した。「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」
「言うな!」とメロスは、いきり立って反駁した。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑って居られる。」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落着いて呟き、ほっと溜息をついた。「わしだって、平和を望んでいるのだが。」

74 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:15:18.57 ID:kDRAHPbt0.net
>>71
ここ嫌い

75 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:15:21.87 ID:xwICoFnqM.net
「なんの為の平和だ。自分の地位を守る為か。」こんどはメロスが嘲笑した。「罪の無い人を殺して、何が平和だ。」
「だまれ、下賤の者。」王は、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔になってから、泣いて詫びたって聞かぬぞ。」
「ああ、王は悧巧だ。自惚れているがよい。私は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、メロスは足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」
「ばかな。」と暴君は、嗄れた声で低く笑った。「とんでもない嘘を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」
「そうです。帰って来るのです。」メロスは必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にセリヌンティウスという石工がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」

76 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:15:24.29 ID:EGO/y1Ok0.net
―宿屋二階―
俺「こ、この子を診てほしいんだ。約束の百万ゴールドもある……」

デブ「ほほう、やるじゃないか、チミ」ニマァ

デブ(罠にかかりやがって……ケツの毛まで毟って、自殺するまで搾り取ってやる)ニチャア

奴隷商人「アンタの注文通り、魔縛りの契約書を用意しておいてやったよ」 バンッ

デブ「な……最大、二百万ゴールド!?」

デブ「ち、違う、一日ごとに五十万ゴールドだ!」

77 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:15:25.12 ID:FU/VMpF50.net
たのしみ

78 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:15:34.79 ID:xwICoFnqM.net
 それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだ。世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ。
「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
「なに、何をおっしゃる。」
「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」
 メロスは口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなくなった。
 竹馬の友、セリヌンティウスは、深夜、王城に召された。暴君ディオニスの面前で、佳き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。メロスは、友に一切の事情を語った。セリヌンティウスは無言で首肯き、メロスをひしと抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。セリヌンティウスは、縄打たれた。メロスは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。
 メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。メロスの十六の妹も、きょうは兄の代りに羊群の番をしていた。よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。
「なんでも無い。」メロスは無理に笑おうと努めた。「市に用事を残して来た。またすぐ市に行かなければならぬ。あす、おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」
 妹は頬をあからめた。
「うれしいか。綺麗な衣裳も買って来た。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。結婚式は、あすだと。」

79 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:15:41.11 ID:hLvTRc4Z0.net
>>7
スライム赤痢好き

80 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:15:42.27 ID:EGO/y1Ok0.net
奴隷商人「アンタの腕を見込んでも、妥当な値段だと思うがね」ハァ

デブ「な、何日拘束されるかわからないんだぞ! この私の時間を取るということの意味の重さがわかっておらんな!」

俺「……う」

奴隷商人「高名な白魔導士様が、随分と汚い商売やってるもんだね。洗えば他にもボロが出るんじゃないのかい?」ギロッ

デブ「ぐ……き、貴様!」

奴隷商人「受けてもらえるね」

デブ「……こ、このアマ……」

81 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:15:53.95 ID:NMJP+Pi0M.net
 メロスは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。
 眼が覚めたのは夜だった。メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄の季節まで待ってくれ、と答えた。メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。婿の牧人も頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。
結婚式は、真昼に行われた。新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。
祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのも怺え、陽気に歌をうたい、手を拍った。メロスも、満面に喜色を湛え、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。メロスは、一生このままここにいたい、と思った。
この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。メロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。
その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。メロスほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、
「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに市に出かける。大切な用事があるのだ。私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。
おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」
 花嫁は、夢見心地で首肯いた。メロスは、それから花婿の肩をたたいて、
「仕度の無いのはお互さまさ。私の家にも、宝といっては、妹と羊だけだ。他には、何も無い。全部あげよう。もう一つ、メロスの弟になったことを誇ってくれ。」
 花婿は揉み手して、てれていた。メロスは笑って村人たちにも会釈して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠った。
 眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。メロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。きょうは是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せてやろう。
そうして笑って磔の台に上ってやる。メロスは、悠々と身仕度をはじめた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身仕度は出来た。さて、メロスは、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。

82 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:16:05.71 ID:PES6ndF90.net
メロスが並走しとる

83 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:16:09.01 ID:NMJP+Pi0M.net
 私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。王の奸佞邪智を打ち破る為に走るのだ。
走らなければならぬ。そうして、私は殺される。若い時から名誉を守れ。さらば、ふるさと。若いメロスは、つらかった。幾度か、立ちどまりそうになった。えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。
村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。メロスは額の汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。妹たちは、きっと佳い夫婦になるだろう。私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだ。
そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気さを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出した。ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧いた災難、メロスの足は、はたと、とまった。見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流滔々と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵に橋桁を跳ね飛ばしていた。彼は茫然と、立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟は残らず浪に浚われて影なく、渡守りの姿も見えない。流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっている。
メロスは川岸にうずくまり、男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願した。「ああ、鎮めたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのです。」
 濁流は、メロスの叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。今はメロスも覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。
メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。ありがたい。メロスは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。
陽は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。
「待て。」
「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。放せ。」
「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」
「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだ。」
「その、いのちが欲しいのだ。」
「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」

84 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:16:09.68 ID:EGO/y1Ok0.net
デブ「わ、わかった、引き受けよう……」ガクッ

女の子「お、俺さ……」パァッ

俺「や、やった! やったあ!」ブワァ

奴隷商人「アンタもいい歳だろうに、そう人前で外聞なく泣きなさんな」

俺「だ、だって、俺もう、本当に駄目かと思ってて……! ぐすっ! お、お願いします! この子をお願いします!」バッ

デブ「……フン、魔縛りの契約を結んだんだ。手は抜かんよ」

85 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:16:14.70 ID:003bMtMt0.net
>>57
市場価値20ゴールドだからものごっつボッタくられてるけどな

86 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:16:29.64 ID:NMJP+Pi0M.net
 山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒を振り挙げた。メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。一気に峠を駈け降りたが、流石に疲労し、折から午後の灼熱の太陽がまともに、かっと照って来て、メロスは幾度となく眩暈を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。
立ち上る事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。
ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天、ここまで突破して来たメロスよ。真の勇者、メロスよ。
今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。おまえは、稀代の不信の人間、まさしく王の思う壺だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎えて、もはや芋虫ほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。
もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐れた根性が、心の隅に巣喰った。私は、これほど努力したのだ。
約束を破る心は、みじんも無かった。神も照覧、私は精一ぱいに努めて来たのだ。動けなくなるまで走って来たのだ。私は不信の徒では無い。ああ、できる事なら私の胸を截ち割って、真紅の心臓をお目に掛けたい。愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたい。
けれども私は、この大事な時に、精も根も尽きたのだ。私は、よくよく不幸な男だ。私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。私は友を欺いた。中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。
これが、私の定った運命なのかも知れない。セリヌンティウスよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。
いまだって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。ありがとう、セリヌンティウス。
よくも私を信じてくれた。それを思えば、たまらない。友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。セリヌンティウス、私は走ったのだ。君を欺くつもりは、みじんも無かった。信じてくれ! 私は急ぎに急いでここまで来たのだ。
濁流を突破した。山賊の囲みからも、するりと抜けて一気に峠を駈け降りて来たのだ。私だから、出来たのだよ。ああ、この上、私に望み給うな。放って置いてくれ。どうでも、いいのだ。私は負けたのだ。だらしが無い。笑ってくれ。王は私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちした。おくれたら、身代りを殺して、私を助けてくれると約束した。私は王の卑劣を憎んだ。けれども、今になってみると、私は王の言うままになっている。
私は、おくれて行くだろう。王は、ひとり合点して私を笑い、そうして事も無く私を放免するだろう。そうなったら、私は、死ぬよりつらい。私は、永遠に裏切者だ。地上で最も、不名誉の人種だ。セリヌンティウスよ、私も死ぬぞ。君と一緒に死なせてくれ。君だけは私を信じてくれるにちがい無い。いや、それも私の、ひとりよがりか? ああ、もういっそ、悪徳者として生き伸びてやろうか。
村には私の家が在る。羊も居る。妹夫婦は、まさか私を村から追い出すような事はしないだろう。正義だの、信実だの、愛だの、考えてみれば、くだらない。人を殺して自分が生きる。それが人間世界の定法ではなかったか。ああ、何もかも、ばかばかしい。私は、醜い裏切り者だ。どうとも、勝手にするがよい。やんぬる哉。――四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。

87 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:16:30.49 ID:UYr62Y0SM.net
>>80
お前女かよ

88 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:16:39.87 ID:EGO/y1Ok0.net
―一週間後―
女の子「俺さん……」ヒョコッ

俺(顔色、よくなってる……)

◆◆
種族:ヒューマン
年齢:15
性格:健気、気弱
病気:なし
経験:2031人
特筆:将来の夢は俺さんのお嫁さん
◆◆

俺「よ、よかった……病気がなくなってる」ヘタッ

俺「う、うう〜」ヘタッ

女の子「お、俺さん!? 泣かないで!」オロオロ

俺「だ、だって……!」


デブ「…………」

89 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:16:55.09 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「本当に、ありがとうございました。貴方がいなければ、あの子はどうなっていたか」

デブ「……まさか、本当に何の縁の所縁もない奴隷だったとはな」

俺「…………」

デブ(こんな人間が、まだこの国にいたとはな。それに引き換え、私は……)

デブ「一目惚れか、苦労する性分だな。ああ、安仕事を負っちまった。どこぞで幸せにでもなんでもなるがいい」フンッ

俺「……」

俺「そういうのとは、少し違うんです」

デブ「なに?」

90 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:16:55.13 ID:AmeLOECFM.net
 ふと耳に、潺々、水の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、水が流れているらしい。よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々と、何か小さく囁きながら清水が湧き出ているのである。その泉に吸い込まれるようにメロスは身をかがめた。水を両手で掬って、一くち飲んだ。ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。肉体の疲労恢復と共に、わずかながら希望が生れた。義務遂行の希望である。わが身を殺して、名誉を守る希望である。
斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに輝いている。日没までには、まだ間がある。私を、待っている人があるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。私は、信じられている。私の命なぞは、問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ! メロス。
 私は信頼されている。私は信頼されている。先刻の、あの悪魔の囁きは、あれは夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえ。五臓が疲れているときは、ふいとあんな悪い夢を見るものだ。メロス、おまえの恥ではない。
やはり、おまえは真の勇者だ。再び立って走れるようになったではないか。ありがたい! 私は、正義の士として死ぬ事が出来るぞ。ああ、陽が沈む。ずんずん沈む。待ってくれ、ゼウスよ。
私は生れた時から正直な男であった。正直な男のままにして死なせて下さい。
 路行く人を押しのけ、跳ねとばし、メロスは黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴とばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。一団の旅人と颯っとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。「いまごろは、あの男も、磔にかかっているよ。」ああ、その男、その男のために私は、いまこんなに走っているのだ。その男を死なせてはならない。急げ、メロス。おくれてはならぬ。愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。風態なんかは、どうでもいい。メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。見える。はるか向うに小さく、シラクスの市の塔楼が見える。塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。

91 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:17:01.31 ID:FU/VMpF50.net
あく

92 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:17:08.34 ID:AmeLOECFM.net
「ああ、メロス様。」うめくような声が、風と共に聞えた。
「誰だ。」メロスは走りながら尋ねた。
「フィロストラトスでございます。貴方のお友達セリヌンティウス様の弟子でございます。」その若い石工も、メロスの後について走りながら叫んだ。「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あの方をお助けになることは出来ません。」
「いや、まだ陽は沈まぬ。」
「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」
「いや、まだ陽は沈まぬ。」メロスは胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。
「やめて下さい。走るのは、やめて下さい。いまはご自分のお命が大事です。あの方は、あなたを信じて居りました。刑場に引き出されても、平気でいました。王様が、さんざんあの方をからかっても、メロスは来ます、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子でございました。」
「それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。人の命も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い! フィロストラトス。」
「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんと走るがいい。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」
 言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽して、メロスは走った。メロスの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、メロスは疾風の如く刑場に突入した。間に合った。
「待て。その人を殺してはならぬ。メロスが帰って来た。約束のとおり、いま、帰って来た。」と大声で刑場の群衆にむかって叫んだつもりであったが、喉がつぶれて嗄れた声が幽かに出たばかり、群衆は、ひとりとして彼の到着に気がつかない。すでに磔の柱が高々と立てられ、縄を打たれたセリヌンティウスは、徐々に釣り上げられてゆく。メロスはそれを目撃して最後の勇、先刻、濁流を泳いだように群衆を掻きわけ、掻きわけ、
「私だ、刑吏! 殺されるのは、私だ。メロスだ。彼を人質にした私は、ここにいる!」と、かすれた声で精一ぱいに叫びながら、ついに磔台に昇り、釣り上げられてゆく友の両足に、齧りついた。群衆は、どよめいた。あっぱれ。ゆるせ、と口々にわめいた。セリヌンティウスの縄は、ほどかれたのである。
「セリヌンティウス。」メロスは眼に涙を浮べて言った。「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。君が若し私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」

93 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:17:12.57 ID:0tjK5ziw0.net
俺さんのお嫁さんで草

94 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:17:19.92 ID:AmeLOECFM.net
 セリヌンティウスは、すべてを察した様子で首肯き、刑場一ぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頬を殴った。殴ってから優しく微笑み、
「メロス、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。生れて、はじめて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。」
 メロスは腕に唸りをつけてセリヌンティウスの頬を殴った。
「ありがとう、友よ。」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。
 群衆の中からも、歔欷の声が聞えた。暴君ディオニスは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。
「おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
 どっと群衆の間に、歓声が起った。
「万歳、王様万歳。」
 ひとりの少女が、緋のマントをメロスに捧げた。メロスは、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「メロス、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、メロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」
 勇者は、ひどく赤面した。


おしまい

95 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:17:20.44 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「確かに最初は、適当に女を買いたくて奴隷市場をうろついてたんです」

俺「俺は本当にロクデナシで、何も考えてなくて、たまたま力を手にしても誰にも必要とされない奴で……」

デブ「…………」

俺「でもあの時、この子を純粋に、一人の人間として助けてあげたいって、思えたんです」

俺「こんなに人のために頑張ったのは、正直これが初めてです。救われたのは、俺の方だったかもしれません」

デブ「……そうか」

デブ「これからどうするんだ? やはり、あの子と結婚するつもり……」

俺「いやいや、まさか」

デブ「む?」

96 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:17:40.42 ID:QJsn5rxfa.net
Anarchy実況か?

97 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:17:40.69 ID:EGO/y1Ok0.net
デブ「それはどういう……」

俺「……俺はもうおっさんですからね。娘くらいの歳の女の子に、恩を被せて結婚迫る様な真似はできませんよ」

デブ「し、しかし、あの子も慕って……」

俺「今は、そうでしょう」

俺「でもあの子も、目を開けてゆっくり周囲を見たら、もっと適した相手が見つかると思いますよ」

デブ「…………そんなものか」

デブ「お前、いい奴だな」

俺「……正直、色んな事は考えます。でも、今は、自分を卑下せずに真っ直ぐ生きてみたいって思えたんだ」

98 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:17:42.19 ID:vI/UE5vEH.net
走れメロスが同時上映されてるの謎過ぎる

99 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:17:47.40 ID:PES6ndF90.net
メロス完走して草

100 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:17:54.16 ID:kDRAHPbt0.net
>>88
将来の夢が更新されとる

101 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:17:54.30 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「こういうふうに、街を歩いたことはなかったな」

女の子「はい! あれもこれも、全部俺さんのお陰です!」

俺「……別に、そこまで気負わなくてもいいんだぞ」

槍使い「あ、お前は以前の」

俺「その節は助かったよ。おかげでこの子を助けることができた」

女の子「この方は……?」

俺「あの大柄の白魔導士を勧めてくれた人だ」

女の子「あ、ありがとうございました!」ペコッ

槍使い(か、可愛い……)ドキッ

俺(…………)

102 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:17:58.66 ID:pX+IzPl4a.net
どうせなら経験4桁のガバマンも治してもらえや…

103 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:18:09.91 ID:7DGNa38Id.net
メロスどっからでてきてん

104 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:18:25.86 ID:FU/VMpF50.net
奴隷にしろ

105 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:18:39.49 ID:EGO/y1Ok0.net
女侯爵の部下「……フ、フフ、ようやく見つけたぞ……」

女侯爵の部下「これで私の首も繋がる」

女侯爵の部下「しかし……まさか、【聖剣】持ちの護衛付きとはな」チッ

女侯爵の部下「使える部下を集めて、折を見て囲んでしまうか」

女侯爵の部下「……女侯爵様の領地から外れては、下手に兵やら暗殺やらは使えなくなる」

女侯爵の部下「気取られる前に、【聖剣】持ちを殺し、あの女を女侯爵様に引き渡さねば!」

106 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:18:43.41 ID:FU/VMpF50.net
あくしろよ

107 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:19:06.96 ID:FU/VMpF50.net
たたかうん!?

108 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:19:08.59 ID:7DGNa38Id.net
これ完結できんやろ

109 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:19:09.82 ID:EGO/y1Ok0.net
女の子「…………」

俺「どうした? 浮かない顔をして」

女の子「実は、あの方からその、また二人で食事を取らないかと誘われてしまいまして……」

俺「槍使いの奴か。いいじゃないか、ハンサムだし、根がいい奴なのは保証する。年齢だってお前と近い」

俺「そこらの冒険者みたいに荒くれ者じゃなく、教養がある。文字の読み書きだってできる」

女の子「でも……」

110 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:19:20.50 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「それに、実は遠方の貴族の長男だというじゃないか」

俺「今は家との連絡は断って冒険者として生きているようだが、いずれ元の鞘に戻るかもしれない」

女の子「わ、私は、俺さんが……」

俺「食事くらい一緒に行ってやれ。それとも、槍使いは嫌いか?」

女の子「そうじゃ、ないけれど……」

111 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:19:21.89 ID:m8RnPY/M0.net
膣ゴーレム定期

112 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:19:30.10 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「最近はどうだ?」

槍使い「あ、ああ、実はその、贈り物をしたいんだが……好きなものか何か、わからないだろうか?」

俺「そういえば、装飾品屋をよく羨ましそうに見ているな……」

俺「あいつは緑色が好きなんだ。上手く見繕ってやれ」

槍使い「か、感謝する、お義父さん!」バッ

俺「誰がお義父さんだ誰が!」

113 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:19:39.43 ID:0tjK5ziw0.net
最後どうなるん

114 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:19:51.89 ID:EGO/y1Ok0.net
槍使い「で、でも、いいんですか? その……」

俺「別に俺が止める理由はないだろう。父親でさえないんだからな」ハア

俺「……ただ、お前があいつを傷つけることがあったら、絶対に許さないからな。手を出すつもりなら、責任はきっちり取ってもらう」ジャキ

槍使い「わ、わかっている!」

俺「欲を言えば、冒険者なんていつ死ぬかわからない仕事はやめて、貴族に戻ってほしいんだがな」

槍使い「…………」

115 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:19:59.50 ID:PES6ndF90.net
>>112
日常会話すこ

116 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:19:59.62 ID:PIiZPsaRM.net
 隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。いくばくもなく官を退いた後は、故山、かく略に帰臥し、人と交を絶って、ひたすら詩作に耽った。
下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとしたのである。しかし、文名は容易に揚らず、生活は日を逐うて苦しくなる。李徴は漸く焦躁に駆られて来た。この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼光のみ徒らに炯々として、曾て進士に登第した頃の豊頬の美少年の俤は、何処に求めようもない。
数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食のために遂に節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏の職を奉ずることになった。
一方、これは、己の詩業に半ば絶望したためでもある。曾ての同輩は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才李徴の自尊心を如何に傷けたかは、想像に難くない。
彼は怏々として楽しまず、狂悖の性は愈々抑え難くなった。一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。或夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。彼は二度と戻って来なかった。附近の山野を捜索しても、何の手掛りもない。その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。

117 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:20:13.25 ID:PIiZPsaRM.net
 翌年、監察御史、陳郡の袁さんという者、勅命を奉じて嶺南に使し、途に商於の地に宿った。次の朝未だ暗い中に出発しようとしたところ、駅吏が言うことに、これから先の道に人喰虎が出る故、旅人は白昼でなければ、通れない。今はまだ朝が早いから、今少し待たれたが宜しいでしょうと。
袁さんは、しかし、供廻りの多勢なのを恃み、駅吏の言葉を斥けて、出発した。残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の猛虎が叢の中から躍り出た。虎は、あわや袁さんに躍りかかるかと見えたが、忽ち身を飜して、元の叢に隠れた。
叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟くのが聞えた。その声に袁さんは聞き憶えがあった。驚懼の中にも、彼は咄嗟に思いあたって、叫んだ。「その声は、我が友、李徴子ではないか?」袁さんは李徴と同年に進士の第に登り、友人の少かった李徴にとっては、最も親しい友であった。温和な袁さんの性格が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかったためであろう。
 叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。
 袁さんは恐怖を忘れ、馬から下りて叢に近づき、懐かしげに久闊を叙した。そして、何故叢から出て来ないのかと問うた。李徴の声が答えて言う。自分は今や異類の身となっている。
どうして、おめおめと故人の前にあさましい姿をさらせようか。かつ又、自分が姿を現せば、必ず君に畏怖嫌厭の情を起させるに決っているからだ。しかし、今、図らずも故人に遇うことを得て、愧赧の念をも忘れる程に懐かしい。どうか、ほんの暫くでいいから、我が醜悪な今の外形を厭わず、曾て君の友李徴であったこの自分と話を交してくれないだろうか。

118 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:20:15.24 ID:EGO/y1Ok0.net
女の子「か、かわいい……ですか?」

俺「ああ、よく似合ってるよ」

女の子「えへへへ……」

俺「槍使いからもらったのか?」

女の子「はい!」

女の子「それから、実は……その……」

俺「…………」

俺「プロポーズでもされたか?」

女の子「っ!!」

俺(あいつもせっかちな奴だな)ニマッ

119 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:20:23.21 ID:PIiZPsaRM.net
 後で考えれば不思議だったが、その時、袁さんは、この超自然の怪異を、実に素直に受容れて、少しも怪もうとしなかった。彼は部下に命じて行列の進行を停め、自分は叢の傍に立って、見えざる声と対談した。都の噂、旧友の消息、袁さんが現在の地位、それに対する李徴の祝辞。青年時代に親しかった者同志の、あの隔てのない語調で、それ等が語られた後、袁さんは、李徴がどうして今の身となるに至ったかを訊ねた。草中の声は次のように語った。

120 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:20:23.74 ID:EGO/y1Ok0.net
俺(幸せ……だな)

俺(まさか、俺がこんな気持ちに浸れる時が来るなんて、思ってもみなかった)クスッ

俺「……!」ピクッ

女の子「俺さん?」

俺「……お前、今日は槍使いの奴に泊めてもらえ」

女の子「え? そ、そんな……」カアッ

俺「いいか? これは冗談なんかじゃない、真っ直ぐ表通りまで行って振り返るな」

121 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:20:32.66 ID:EGO/y1Ok0.net
女の子「お、俺さん……? は、はい!」ダッ

俺「……出て来いよ」

女侯爵の部下「おや、よく気が付きましたねぇ。私達に気付いていて逃げないなんて、大したものですよ」バッ

俺「達……?」

兵A「俺達には気づいてなかったのか」クク
兵B「残念だったなぁ、おっさん。これも仕事だから、恨まないでくれよ」ニヤニヤ

俺(……十人!)

122 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:20:32.99 ID:PES6ndF90.net
同時上映また始まってて草

123 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:20:35.77 ID:PIiZPsaRM.net
 今から一年程前、自分が旅に出て汝水のほとりに泊った夜のこと、一睡してから、ふと眼を覚ますと、戸外で誰かが我が名を呼んでいる。声に応じて外へ出て見ると、声は闇の中から頻りに自分を招く。覚えず、自分は声を追うて走り出した。無我夢中で駈けて行く中に、何時しか途は山林に入り、しかも、知らぬ間に自分は左右の手で地を攫んで走っていた。
何か身体中に力が充ち満ちたような感じで、軽々と岩石を跳び越えて行った。気が付くと、手先や肱のあたりに毛を生じているらしい。少し明るくなってから、谷川に臨んで姿を映して見ると、既に虎となっていた。自分は初め眼を信じなかった。
次に、これは夢に違いないと考えた。夢の中で、これは夢だぞと知っているような夢を、自分はそれまでに見たことがあったから。どうしても夢でないと悟らねばならなかった時、自分は茫然とした。そうして懼れた。全く、どんな事でも起り得るのだと思うて、深く懼れた。
しかし、何故こんな事になったのだろう。分らぬ。全く何事も我々には判らぬ。理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取って、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ。自分は直ぐに死を想うた。しかし、その時、眼の前を一匹の兎が駈け過ぎるのを見た途端に、自分の中の人間は忽ち姿を消した。再び自分の中の人間が目を覚ました時、自分の口は兎の血に塗れ、あたりには兎の毛が散らばっていた。
これが虎としての最初の経験であった。それ以来今までにどんな所行をし続けて来たか、それは到底語るに忍びない。

124 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:20:49.28 ID:PIiZPsaRM.net
ただ、一日の中に必ず数時間は、人間の心が還って来る。そういう時には、曾ての日と同じく、人語も操れれば、複雑な思考にも堪え得るし、経書の章句を誦んずることも出来る。その人間の心で、虎としての己の残虐な行のあとを見、己の運命をふりかえる時が、最も情なく、恐しく、憤ろしい。
しかし、その、人間にかえる数時間も、日を経るに従って次第に短くなって行く。今までは、どうして虎などになったかと怪しんでいたのに、この間ひょいと気が付いて見たら、己はどうして以前、人間だったのかと考えていた。これは恐しいことだ。今少し経てば、己の中の人間の心は、獣としての習慣の中にすっかり埋れて消えて了うだろう。
ちょうど、古い宮殿の礎が次第に土砂に埋没するように。そうすれば、しまいに己は自分の過去を忘れ果て、一匹の虎として狂い廻り、今日のように途で君と出会っても故人と認めることなく、君を裂き喰うて何の悔も感じないだろう。一体、獣でも人間でも、もとは何か他のものだったんだろう。
初めはそれを憶えているが、次第に忘れて了い、初めから今の形のものだったと思い込んでいるのではないか? いや、そんな事はどうでもいい。己の中の人間の心がすっかり消えて了えば、恐らく、その方が、己はしあわせになれるだろう。だのに、己の中の人間は、その事を、この上なく恐しく感じているのだ。
ああ、全く、どんなに、恐しく、哀しく、切なく思っているだろう! 己が人間だった記憶のなくなることを。この気持は誰にも分らない。誰にも分らない。己と同じ身の上に成った者でなければ。
ところで、そうだ。己がすっかり人間でなくなって了う前に、一つ頼んで置きたいことがある。

125 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:20:51.79 ID:YK4L4gRg0.net
メロスの方が先に完走してて草

126 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:20:58.58 ID:pX+IzPl4a.net
こういう意味なく紳士ぶる主人公って読者は萎えるんだよなぁ

127 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:20:59.14 ID:PIiZPsaRM.net
 袁さんはじめ一行は、息をのんで、叢中の声の語る不思議に聞入っていた。声は続けて言う。
 他でもない。自分は元来詩人として名を成す積りでいた。しかも、業未だ成らざるに、この運命に立至った。曾て作るところの詩数百篇、固より、まだ世に行われておらぬ。遺稿の所在も最早判らなくなっていよう。
ところで、その中、今も尚記誦せるものが数十ある。これを我が為に伝録して戴きたいのだ。何も、これに仍って一人前の詩人面をしたいのではない。作の巧拙は知らず、とにかく、産を破り心を狂わせてまで自分が生涯それに執着したところのものを、一部なりとも後代に伝えないでは、死んでも死に切れないのだ。
 袁さんは部下に命じ、筆を執って叢中の声に随って書きとらせた。李徴の声は叢の中から朗々と響いた。長短凡そ三十篇、格調高雅、意趣卓逸、一読して作者の才の非凡を思わせるものばかりである。しかし、袁さんは感嘆しながらも漠然と次のように感じていた。
成程、作者の素質が第一流に属するものであることは疑いない。しかし、このままでは、第一流の作品となるのには、何処か(非常に微妙な点に於て)欠けるところがあるのではないか、と。
 旧詩を吐き終った李徴の声は、突然調子を変え、自らを嘲るか如くに言った。
 羞しいことだが、今でも、こんなあさましい身と成り果てた今でも、己は、己の詩集が長安風流人士の机の上に置かれている様を、夢に見ることがあるのだ。岩窟の中に横たわって見る夢にだよ。
嗤ってくれ。詩人に成りそこなって虎になった哀れな男を。(袁さんは昔の青年李徴の自嘲癖を思出しながら、哀しく聞いていた。)そうだ。お笑い草ついでに、今の懐を即席の詩に述べて見ようか。この虎の中に、まだ、曾ての李徴が生きているしるしに。
 袁さんは又下吏に命じてこれを書きとらせた。その詩に言う。
https://i.imgur.com/UrZInO4.png

128 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:21:06.61 ID:aXrvu5I2a.net
謎同時上映やめろ

129 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:21:09.63 ID:EGO/y1Ok0.net
女侯爵の部下「いかに【聖剣】持ちとは言え、精鋭兵十人を相手にはできないでしょう」クク

俺(武器も防具も、整ってる。手入れもされてる)

俺(……冒険者やゴロツキじゃない、貴族の兵だ!)ツー

俺「お前ら、何が狙いだ!」

女侯爵の部下「貴方がいけないんですよ。余計なガキに色欲を出すから、厄介ごとに巻き込まれるのです」ニイ

俺「余計な、ガキ……?」

130 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:21:15.48 ID:Kc6YEE+l0.net
なろうスレか文学スレかどっちかにしろ

131 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:21:16.61 ID:3h9P9K3Yd.net
>>7
こんなに患ってるのに生きてるってのは名前のわりに貧弱な病気どもやなぁ

132 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:21:20.33 ID:PIiZPsaRM.net
 時に、残月、光冷やかに、白露は地に滋く、樹間を渡る冷風は既に暁の近きを告げていた。人々は最早、事の奇異を忘れ、粛然として、この詩人の薄倖を嘆じた。李徴の声は再び続ける。

133 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:21:24.75 ID:7DGNa38Id.net
>>126
見ててすげーイライラしちゃう

134 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:21:30.22 ID:aKNCv8NB0.net
同じスレ立て続けるのって何級くらいのガイジなんやろか

135 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:21:35.70 ID:003bMtMt0.net
>>122
同時上映って終わってからだろw
同じスクリーンに映すなw

136 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:21:38.42 ID:PIiZPsaRM.net
 何故こんな運命になったか判らぬと、先刻は言ったが、しかし、考えように依れば、思い当ることが全然ないでもない。人間であった時、己は努めて人との交を避けた。人々は己を倨傲だ、尊大だといった。実は、それが殆ど羞恥心に近いものであることを、人々は知らなかった。勿論、曾ての郷党の鬼才といわれた自分に、自尊心が無かったとは云わない。
しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔しとしなかった。
共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心との所為である。己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。
己は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚とによって益々己の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。

137 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:21:47.75 ID:ZKs/aiM7a.net
山月記始まっとるやん

138 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:21:56.63 ID:PIiZPsaRM.net
己の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。これが己を損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。今思えば、全く、己は、己の有っていた僅かばかりの才能を空費して了った訳だ。
人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己の凡てだったのだ。己よりも遥かに乏しい才能でありながら、それを専一に磨いたがために、堂々たる詩家となった者が幾らでもいるのだ。虎と成り果てた今、己は漸くそれに気が付いた。
それを思うと、己は今も胸を灼かれるような悔を感じる。己には最早人間としての生活は出来ない。たとえ、今、己が頭の中で、どんな優れた詩を作ったにしたところで、どういう手段で発表できよう。
まして、己の頭は日毎に虎に近づいて行く。どうすればいいのだ。己の空費された過去は? 己は堪らなくなる。そういう時、己は、向うの山の頂の巖に上り、空谷に向って吼える。この胸を灼く悲しみを誰かに訴えたいのだ。己は昨夕も、彼処で月に向って咆えた。誰かにこの苦しみが分って貰えないかと。
しかし、獣どもは己の声を聞いて、唯、懼れ、ひれ伏すばかり。山も樹も月も露も、一匹の虎が怒り狂って、哮っているとしか考えない。天に躍り地に伏して嘆いても、誰一人己の気持を分ってくれる者はない。
ちょうど、人間だった頃、己の傷つき易い内心を誰も理解してくれなかったように。己の毛皮の濡れたのは、夜露のためばかりではない。

139 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:22:03.35 ID:EGO/y1Ok0.net
女侯爵の部下「とっとと殺してしまえ! こいつさえ片付ければ、あの小娘はどうとでもなる!」

兵A「任せてください!」サッ
兵B「油断はしませんよ、確実に仕留めてやります!」シュンッ

 ブンッ

兵A「がぁっ!」
兵B「ぐぼ……お、俺の足! 脚がァ!」

俺「……あいつを殺させるつもりはない。死ぬ覚悟がある奴だけ掛かってこい」ジャキンッ

女侯爵の部下「なんだと…?」

140 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:22:11.79 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「…………」ハァハァ

女侯爵の部下「なんだと……? 精鋭兵十人が、敗れたのか……?」

女侯爵の部下「私は、夢でも見ているのか……?」

俺(さすがに、体力が続かない……血もかなり流した)ゼェゼエ

俺「どうする? お前はやらないのか?」

女侯爵の部下「う、うぐ……や、やってやる! 貴様も既に死にかけじゃないか! やってやるぞおっ!」シャキン

俺「…………」ギロッ

女侯爵の部下「うっ、うわあああああっ!」ダッ

俺(いった、か……)

俺(……随分、きな臭いことになってきたな)

141 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:22:29.14 ID:PIiZPsaRM.net
 漸く四辺の暗さが薄らいで来た。木の間を伝って、何処からか、暁角が哀しげに響き始めた。
 最早、別れを告げねばならぬ。酔わねばならぬ時が、(虎に還らねばならぬ時が)近づいたから、と、李徴の声が言った。だが、お別れする前にもう一つ頼みがある。
それは我が妻子のことだ。彼等は未だかく略にいる。固より、己の運命に就いては知る筈がない。君が南から帰ったら、己は既に死んだと彼等に告げて貰えないだろうか。決して今日のことだけは明かさないで欲しい。
厚かましいお願だが、彼等の孤弱を憐れんで、今後とも道塗に飢凍することのないように計らって戴けるならば、自分にとって、恩倖、これに過ぎたるは莫い。
 言終って、叢中から慟哭の声が聞えた。袁もまた涙を泛べ、欣んで李徴の意に副いたい旨を答えた。李徴の声はしかし忽ち又先刻の自嘲的な調子に戻って、言った。
 本当は、先ず、この事の方を先にお願いすべきだったのだ、己が人間だったなら。飢え凍えようとする妻子のことよりも、己の乏しい詩業の方を気にかけているような男だから、こんな獣に身を堕すのだ。
 そうして、附加えて言うことに、袁さんが嶺南からの帰途には決してこの途を通らないで欲しい、その時には自分が酔っていて故人を認めずに襲いかかるかも知れないから。又、今別れてから、前方百歩の所にある、あの丘に上ったら、此方を振りかえって見て貰いたい。自分は今の姿をもう一度お目に掛けよう。勇に誇ろうとしてではない。我が醜悪な姿を示して、以て、再び此処を過ぎて自分に会おうとの気持を君に起させない為であると。
 袁さんは叢に向って、懇ろに別れの言葉を述べ、馬に上った。叢の中からは、又、堪え得ざるが如き悲泣の声が洩れた。袁さんも幾度か叢を振返りながら、涙の中に出発した。
 一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。


おしまい

142 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:22:31.03 ID:cqUpjgpv0.net
ここまで読んだの初やわ
たいがい落ちてたな

143 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:22:37.45 ID:7DGNa38Id.net
山月記の方が圧倒的にペース早いの草

144 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:22:42.80 ID:KuulQHgQ0.net
>>139
ここ桐生ちゃん

145 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:22:50.05 ID:mDcq5gN/0.net
続きはまだかよ

146 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:22:51.61 ID:EGO/y1Ok0.net
女の子「俺さん、大丈夫ですか?」オロオロ

俺「……ああ、手当してもらったおかげで随分よくなったよ」

俺「今日、明日はこのまま寝させてもらうけどな」

俺「悪いな、ゴロツキがいたから根性直してやろうと思ったら、このザマだよ」ハッ

女の子「……危険なことは、しないでくださいね。俺さんがいなくなったら私、どうすればいいのか……」グスッ

槍使い「…………」

俺「いたのか、お前」

槍使い「少し、俺さんと二人で話したいことがある。席を外してくれ」

女の子「え……? わ、わかりました」ペコッ

147 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:23:03.82 ID:QJsn5rxfa.net
>>141
サンガツ

148 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:23:12.18 ID:EGO/y1Ok0.net
槍使い「どういうことだ?」

俺「…………」

槍使い「竜種を一人で仕留めたS級冒険者の貴方が、たかだかゴロツキ相手に苦戦するとは思えないのだが」

俺「……お前、あいつのこと好きか?」

槍使い「え……? あ、ああ、そりゃあもう!」ダンッ

俺「命を懸けて、持ってるもん全部放り出して守れって言われて、頷けるか?」

槍使い「え……?」

149 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:23:12.79 ID:7VziQk6n0.net
>>144


150 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:23:32.11 ID:ZM/x6TSh0.net
膣ゴレの完全版ってあんの?

151 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:23:37.73 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「……無茶なこと言っちまったな、忘れてくれ」

槍使い「…………で、できる」

俺「!」

槍使い「できるって言ったんだ! やってやるさ! 俺のことを見縊ってくれるな!」グッ

俺「……」

槍使い「……」フーフーッ

俺「そっか、ありがとうな」ニコッ

槍使い「あ、ああ! 礼には及ばんともさ!」

152 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:23:51.78 ID:PES6ndF90.net
>>135
二画面テレビとか昔あったしいいんじゃね

153 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:23:57.02 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「……あいつは、多分だが、貴族か、それに準ずる権力持ちに狙われている」

俺「相手は、街中で兵を嗾けることもいとわない連中だ」

槍使い「な……!」

俺「実家に帰って貴族に戻って、正式にあいつを娶ってやってくれ」バッ

槍使い「お、俺があの子を……」

俺「そうすれば、連中も手出しはしづらくなるはずだ」

俺「……もっとも、もしかしたら以降も何かの嫌がらせを受けるかもしれないがな」

槍使い「…………」

俺「さすがに……呑めないか」

槍使い「わ、わかった! やってみせる!」

154 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:24:03.34 ID:uavpVPwa0.net
これいつもどこまでは進むんや?

155 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:24:24.64 ID:EGO/y1Ok0.net
―天魔の塔・再奥地―
紅緋竜「ギャオオオオ!」
翡翠竜「ガァアアアアア!」
蒼碧竜「グオオオオオオオ!」

長髪の男「アァ、つまんねぇ、なぁ」
ザンッ、ドサァ!

紅緋竜「ギオッ!?」

長髪「おっ、綺麗に腕が落ちたか」

長髪「デカくて頑丈ってだけで、トロ臭いし、魔物の中じゃマシってだけで頭も悪い」

長髪「人間と違って、信念や意地って奴も持ち合わせてねぇ。もう慣れちまったし、暇潰しにもならないか」

長髪「違うんだよなあ、俺の求めた闘いって奴はよお」ハァ

蒼碧竜「オ、オオ……」ブルッ

長髪「どうした? 竜って奴は、世界最強の種族なんだろ? もっとどっしり構えようぜ、興醒めだ」

156 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:24:35.87 ID:/wM57kcC0.net
奴隷商人いい奴過ぎるやろ

157 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:24:41.53 ID:0tjK5ziw0.net
恋は盲目やな〜

158 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:24:41.94 ID:Q8YBgOGtM.net
 ちょうど初七日の夜のことでした。私は死んだ弟の書斎に入って、何かと彼の書き残したものなどを取出しては、ひとり物思いにふけっていました。
 まだ、さして夜もふけていないのに、家中は涙にしめって、しんと鎮まり返っています。そこへ持って来て、何だか新派のお芝居めいていますけれど、遠くの方からは、物売りの呼声などが、さも悲しげな調子で響いて来るのです。私は長い間忘れていた、幼い、しみじみした気持になって、ふと、そこにあった弟の日記帳を繰ひろげて見ました。
 この日記帳を見るにつけても、私は、恐らく恋も知らないでこの世を去った、はたちの弟をあわれに思わないではいられません。
 内気者で、友達も少かった弟は、自然書斎に引こもっている時間が多いのでした。細いペンでこくめいに書かれた日記帳からだけでも、そうした彼の性質は十分うかがうことが出来ます。そこには、人生に対する疑いだとか、信仰に関する煩悶だとか、彼の年頃にはたれでもが経験するところの、いわゆる青春の悩みについて、幼稚ではありますけれど如何にも真摯な文章が書きつづってあるのです。
 私は自分自身の過去の姿を眺めるような心持で、一枚一枚とペイジをはぐって行きました。それらのペイジには到るところに、そこに書かれた文章の奥から、あの弟の鳩のような臆病らしい目が、じっと私の方を見つめているのです。
 そうして、三月九日のところまで読んで行った時に、感慨に沈んでいた私が、思わず軽い叫声を発した程も、私の目をひいたものがありました。それは、純潔なその日記の文章の中に、始めてポッツリと、はなやかな女の名前が現われたのです。そして「発信欄」と印刷した場所に「北川雪枝(葉書)」と書かれた、その雪枝さんは、私もよく知っている、私達とは遠縁に当る家の、若い美しい娘だったのです。
 それでは弟は雪枝さんを恋していたのかも知れない。私はふとそんな気がしました。そこで私は、一種の淡い戦慄を覚ながら、なおもその先を、ひもといて見ましたけれど、私の意気込んだ予期に反して、日記の本文には、少しも雪枝さんは現われて来ないのでした。ただ、その翌日の受信欄に、「北川雪枝(葉書)」とあるのを始めに数日の間をおいては、受信欄と発信欄の双方に雪枝さんの名前が記されているばかりなのです。そして、それも発信の方は三月九日から五月二十一日まで、受信の方も同じ時分に始まって五月十七日まで、両方とも三月に足らぬ短い期間続いているだけで、それ以後には、弟の病状が進んで筆をとることも出来なくなった十月なかばに至るまで、その彼の絶筆ともいうべき最後のページにすら、一度も雪枝さんの名前は出ていないのでした。
 数えて見れば、彼の方からは八回、雪枝さんの方からは十回の文通があったに過ぎず、しかも彼のにも雪枝さんのにも、ことごとく「葉書」と記してあるのを見ると、それには他聞をはばかる様な種類の文言が記してあったとも考えられません。そして、また日記帳の全体の調子から察するのに、実際はそれ以上の事実があったのを、彼がわざと書かないでおいたものとも思われぬのです。

159 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:24:45.81 ID:IqRoBpL7p.net
こいつ定期的にクソスレ乱立させるけど何が目的なんやろ
私怨か?

160 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:24:55.56 ID:Q8YBgOGtM.net
 私は安心とも失望ともつかぬ感じで、日記帳をとじました。そして、弟はやっぱり恋を知らずに死んだのかと、さびしい気持になったことでした。
 やがて、ふと目を上げて、机の上を見た私は、そこに、弟の遺愛の小型の手文庫のおかれているのに気づきました。彼が生前、一番大切な品々を納めておいたらしい、その高まき絵の古風な手文庫の中には、あるいはこの私のさびしい心持をいやして呉れる何物かが隠されていはしないか。そんな好奇心から、私は何気なくその手文庫を開いて見ました。
 すると、その中には、このお話に関係のない様々の書類などが入れられてありましたが、その一番底の方から、ああ、やっぱりそうだったのか。如何にも大事そうに白紙に包んだ、十一枚の絵葉書が、雪枝さんからの絵葉書が出て来たのです。恋人から送られたものでなくて、たれがこんなに大事そうに手文庫の底へひめてなぞ置きましょう。
 私は、にわかに胸騒ぎを覚ながら、その十一枚の絵葉書を、次から次へと調べて行きました。ある感動の為に葉書を持った私の手は、不自然にふるえてさえいました。
 だが、どうしたことでしょう。それ等の葉書には、どの文面からも、あるいはまたその文面のどの行間からさえも、恋文らしい感じはいささかも発見することが出来ないのです。
 それでは、弟は、彼の臆病な気質から、心の中を打開けることさえようしないで、ただ恋しい人から送られた、何の意味もないこの数通の絵葉書を、お守りかなんぞの様に大切に保存して、可哀相にそれをせめてもの心やりにしていたのでしょうか。そして、とうとう、報いられぬ思いを抱いたままこの世を去ってしまったのでしょうか。
 私は雪枝さんからの絵葉書を前にして、それからそれへと、様々の思いにふけるのでした。しかし、これはどういう訳なのでしょう。やがて私は、その事に気づきました。弟の日記には雪枝さんからの受信は十回きりしか記されていないのに(それはさっき数えて見て覚ていました)今ここには十一通の絵葉書があるではありませんか。最後のは五月二十五日の日附になっています。確その日の日記には、受信欄に雪枝さんの名前はなかった様です。そこで、私は再び日記帳をとり上げて、その五月二十五日の所を開いて見ないではいられませんでした。
 すると、私は大変な見落しをしていたことに気附ました。如何にもその日の受信欄は空白のまま残されていましたけれど、本文の中に、次の様な文句が書いてあったではありませんか。
「最後の通信に対してYより絵葉書来る。失望。おれはあんまり臆病すぎた。今になってはもう取返しがつかぬ。ああ」

161 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:24:55.89 ID:7DGNa38Id.net
唐突に話変わっとるやん

162 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:24:59.38 ID:mlS84iTnM.net
動機がわからん

163 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:25:09.26 ID:Q8YBgOGtM.net
 Yというのは雪枝さんのイニシアルに相違ありません。外に同じ頭字の知り人はないはずです。しかし、この文句は一体何を意味するのでしょう。日記によれば、彼は雪枝さんの処へ葉書を書いているばかりです。まさか葉書に恋文を認めるはずもありません。では、この日記には記してない、封書を(それがいわゆる最後の通信かも知れません)送ったことでもあるのでしょうか。そして、それに対する返事として、この無意味な絵葉書が返って来たとでもいうのでしょうか。なる程、以来彼からも雪枝さんからも交通を絶っているのを見ると、そうの様にも考えられます。
 でも、それにしては、この雪枝さんからの最後の葉書の文面は、たとい拒絶の意味を含ませたものとしても、余りに変です。なぜといって、そこには、(もうその時分から弟は病の床についていたのです)病気見舞の文句が、美しい手蹟で書かれているだけなのですから。そして、またこんなにこくめいに発信受信を記していた弟が、八通の葉書の外に封書を送ったものとすれば、それを記していないはずはありません。では、この失望うんぬんの文句は一体何を意味するものでしょうか。そんな風に色々考えて見ますと、そこには、どうも辻つまの合ぬ所が、表面に現われている事実だけでは解釈の出来ない秘密が、ある様に思われます。
 これは、亡弟が残して行った一つのなぞとして、そっとそのままにしておくべき事柄だったかも知れません。しかし、何の因果か私には、少しでも疑わしい事実にぶっつかると、まるで探偵が犯罪のあとを調べ廻る様に、あくまでその真相をつきとめないではいられない性質がありました。しかも、この場合は、そのなぞが本人によっては永久に解かれる機会がないという事情があったばかりでなく、その事の実否は私自身の身の上にもある大きな関係を持っていたものですから、持前の探偵癖が一層の力強さを以て私をとらえたのです。
 私はもう、弟の死をいたむことなぞ忘れてしまったかの様に、そのなぞを解くのに夢中になりました。日記も繰返し読んで見ました。その他の弟の書ものなぞも、残らず探し出して調べました。しかし、そこには、恋の記録らしいものは、何一つ発見することが出来ないのです。考えて見れば、弟は非常なはにかみ屋だった上に、この上もなく用心深いたちでしたから、いくら探したとて、そういうものが残っているはずもないのでした。
 でも、私は夜の更けるのも忘れて、このどう考えても解け相にないなぞを解くことに没頭していました。長い時間でした。

164 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:25:16.47 ID:FU/VMpF50.net
わけわからん

165 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:25:27.88 ID:wSfqnWmv0.net
長髪か
長男かと思った

166 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:25:36.25 ID:VlrLnVxzM.net
 やがて、種々様々な無駄な骨折りの末、ふと私は、弟の葉書を出した日附に不審を抱きました。日記の記録によれば、それは次の様な順序なのです。
三月……九日、十二日、十五日、二十二日、
四月……五日、二十五日、
五月……十五日、二十一日、
 この日附は、恋するものの心理に反してはいないでしょうか、たとえ恋文でなくとも、恋する人への文通が、あとになる程うとましくなっているのは、どうやら変ではありますまいか。これを雪枝さんからの葉書の日附と対照して見ますと、なお更その変なことが目立ます。
三月……十日、十三日、十七日、二十三日、
四月……六日、十四日、十八日、二十六日、
五月……三日、十七日、二十五日、
 これを見ると、雪枝さんは弟の葉書に対して(それらは皆何の意味もない文面ではありましたけれど)それぞれ返事を出している外に、四月の十四日、十八日、五月の三日と、少くともこの三回丈けは、彼女の方から積極的に文通しているのですが、若し弟が彼女を恋していたとすれば、何故この三回の文通に対して答えることを怠っていたのでしょう。それは、あの日記帳の文句と考え合せて、余りに不自然ではないでしょうか。日記によれば、当時弟は旅行をしていたのでもなければ、あるいは又、筆もとれぬ程の病気をやっていた訳でもないのです。それからも一つは、雪枝さんの、無意味な文面だとはいえ、この頻繁な文通は、相手が若い男である丈けに、おかしく考えれば考えられぬこともありません。それが、双方ともいい合せた様に、五月二十五日以後はふっつりと文通しなくなっているのは、一体どうした訳なのでしょう。
 そう考えて、弟の葉書を出した日附を見ますと、そこに何か意味があり相に思われます。若しや彼は暗号の恋文を書いたのではないでしょうか。そして、この葉書の日附がその暗号文を形造っているのではありますまいか。これは、弟の秘密を好む性質だったことから推して、満更あり得ないことではないのです。
 そこで、私は日附の数字が「いろは」か「アイウエオ」か「ABC」か、いずれかの文字の順序を示すものではないかと一々試みて見ました。幸か不幸か私は暗号解読についていくらか経験があったのです。
 すると、どうでしょう。三月の九日はアルファベットの第九番目のI、同じく十二日は第十二番目の、L、そういう風にあてはめて行きますと、この八つの日附は、なんと、I LOVE YOU と解くことが出来るではありませんか。ああ、何という子供らしい、同時に、世にも辛抱強い恋文だったのでしょう。彼はこの「私はあなたを愛する」というたった一言を伝える為に、たっぷり三ヶ月の日子を費したのです。ほんとうにうその様な話しです。でも、弟の異様な性癖を熟知していた私には、これが偶然の符合だなどとは、どうにも考えられないのでした。

167 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:25:37.87 ID:thqLu+dZ0.net
あく

168 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:25:40.08 ID:xIjJo2UQa.net
江戸川乱歩「日記帳」

169 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:25:42.66 ID:PES6ndF90.net
三作品目始まってて草

170 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:25:52.68 ID:lwrV7X5+0.net
以上です。ご静聴ありがとうございました。

171 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:25:54.34 ID:ZMuO3lfl0.net
はよ��

172 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:25:54.48 ID:VlrLnVxzM.net
 か様に推察すれば一切が明白になります。「失望」という意味も分ります。彼が最後のUの字に当る葉書を出したのに対して、雪枝さんは相変らず無意味な絵葉書をむくいたのです。しかも、それはちょうど、弟が医者からあのいまわしい病を宣告せられた時分なのでした。可哀相な彼は、この二重の痛手に最早再び恋文を書く気になれなかったのでしょう。そして、だれにも打開けなかった、当の恋人にさえ、打開けはしたけれど、その意志の通じなかった切ない思いを抱いて、死んで行ったのです。
 私はいい知れぬ暗い気持に襲われて、じっとそこに坐ったまま立上ろうともしませんでした。そして、前にあった雪枝さんからの絵葉書を、弟が手文庫の底深くひめていたそれらの絵葉書を、何の故ともなくボンヤリ見つめていました。
 すると、おお、これはまあ何という意外な事実でしょう。ろくでもない好奇心よ、のろわれてあれ。私はいっそ凡てを知らないでいた方が、どれ程よかったことか、この雪枝さんからの絵葉書の表には、綺麗な文字で弟の宛名が書かれたわきに、一つの例外もなく、切手がななめにはってあるではありませんか。態とでなければ出来ない様に、キチンと行儀よく、ななめにはってあるではありませんか。それは決して偶然の粗相なぞではないのです。
 私はずっと以前、多分小学時代だったと思います。ある文学雑誌に切手のはり方によって秘密通信をする方法が書いてあったのを、もうその頃から好奇心の強い男だったと見えて、よく覚ていました。中にも、恋を現わすには切手をななめにはればよいという所は、実は一度応用して見た事がある程で、決して忘れません。この方法は当時の青年男女の人気に投じて、随分流行したものです。しかしそんな古い時代の流行を、今の若い女が知っていようはずはありませんが、ちょうど雪枝さんと弟との文通が行われた時分に、宇野浩二の「二人の青木愛三郎」という小説が出て、その中にこの方法がくわしく書いてあったのです。当時私達の間に話題になった程ですから、弟も雪枝さんも、それをよく知っていたはずです。
 では、弟はその方法を知っていながら、雪枝さんが三月も同じことを繰返して、遂には失望してしまうまでも、彼女の心持を悟ることが出来なかったのはどういう訳なのでしょう。その点は私にもわかりません。あるいは忘れてしまっていたのかも知れません。それともまた、切手のはり方などには気づかない程、のぼせ切ていたのかも知れません。いずれにしても、「失望」などと書いているからは、彼がそれに気づいていなかったことは確です。

173 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:25:54.59 ID:EGO/y1Ok0.net
―ある酒場―
長髪「……またテメェか、辛気臭い面見せんなよ」

女侯爵の部下「……たまには仕事をしたらどうか、筆頭騎士様」

長髪「つまんねぇんだよ。頼まれたから名前貸してやってるだけ感謝してくれや」

長髪「俺は名声も金もいらねンだわ」

女侯爵の部下「……竜種を屠れるS級冒険者を一人、殺してほしい」

長髪「……」ニマァ

長髪「いいねェ……そういうのを、待ってたんだよ」

174 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:26:11.15 ID:7DGNa38Id.net
日記帳見たことないから助かる

175 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:26:19.88 ID:VlrLnVxzM.net
 それにしても、今の世にかくも古風な恋があるものでしょうか。若し私の推察が誤らぬとすれば、彼等は互に恋しあっていながら、その恋を訴えあってさえいながら、しかし双方とも少しも相手の心を知らずに、一人は痛手を負うたままこの世を去り、一人は悲しい失恋の思いを抱いて長い生がいを暮さねばならぬとは。
 それは余りにも臆病過ぎた恋でした。雪枝さんはうら若い女のことですからまだ無理のない点もありますけれど、弟の手段に至っては、臆病というよりはむしろ卑怯に近いものでした。さればといって、私はなき弟のやり方を少しだって責める気はありません。それどころか、私は、彼のこの一種異様な性癖を世にもいとしく思うのです。
 生れつき非常なはにかみ屋で、臆病者で、それでいてかなり自尊心の強かった彼は、恋する場合にも、先ず拒絶された時の恥かしさを想像したに相違ありません。それは、弟の様な気質の男にとっては、常人には到底考えも及ばぬ程ひどい苦痛なのです。彼の兄である私には、それがよく分ります。
 彼はこの拒絶の恥を予防する為にどれ程苦心したことでしょう。恋を打開けないではいられない。しかし、若し打開けてこばまれたら、その恥かしさ、気まずさ、それは相手がこの世に生きながらえている間、いつまでもいつまでも続くのです。何とかして、若し拒まれた場合には、あれは恋文ではなかったのだといい抜ける様な方法がないものだろうか。彼はそう考えたに相違ありません。
 その昔、大宮人は、どちらにでも意味のとれる様な「恋歌」という巧な方法によって、あからさまな拒絶の苦痛をやわらげようとしました。彼の場合はちょうどそれなのです。ただ、彼のは日頃愛読する探偵小説から思いついた暗号通信によって、その目的を果そうとしたのですが、それが、不幸にも、彼の余り深い用心の為に、あの様な難解なものになってしまったのです。
 それにしても、彼は自分自身の暗号を考え出した綿密さにも似あわないで、相手の暗号を解くのに、どうしてこうも鈍感だったのでしょう。自ぼれ過ぎた為めに飛んだ失敗を演じる例は、世に間々あることですけれど、これはまた自ぼれのなさ過ぎた為の悲劇です。何という本意ないことでしょう。
 ああ、私は弟の日記帳をひもといたばかりに、とり返しのつかぬ事実に触れてしまったのです。私はその時の心持を、どんな言葉で形容しましょう。それが、ただ若い二人の気の毒な失敗をいたむばかりであったなら、まだしもよかったのです。しかし、私にはもう一つの、もっと利己的な感情がありました。そして、その感情が私の心を狂うばかりにかき乱したのです。
 私は熱した頭を冬の夜の凍った風にあてる為に、そこにあった庭下駄をつっかけて、フラフラと庭へ下りました。そして乱れた心そのままに、木立の間を、グルグルと果てしもなく廻り歩くのでした。
 弟の死ぬ二ヶ月ばかり前に取きめられた、私と雪枝さんとの、とり返しのつかぬ婚約のことを考えながら。


おしまい

176 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:26:39.49 ID:TjoNPToka.net
>>173
ここ小室圭

177 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:26:44.84 ID:kDRAHPbt0.net
落とさなきゃ完結できるペースやな

178 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:26:46.20 ID:EGO/y1Ok0.net
槍使い「よし、このままとっとと別領地まで逃げるぞ!」

俺「お前……思い切りがいいな。この短期間でよく、こんな一級品の馬車まで……」

女の子「ど、どうして、こんな……」オドオド

俺(恐らく、彼女にとって貴族関係はトラウマだ。言わない方がいい)

俺(ここで槍使いの親の領有地まで逃げられれば、何も問題はない……!)グッ

179 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:26:58.84 ID:003bMtMt0.net
>>173
長髪って小室圭かよ…

180 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:27:18.95 ID:7DGNa38Id.net
あく

181 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:27:20.89 ID:EGO/y1Ok0.net
御者「あ、あの、後ろから付けて来る野盗団が……!」

槍使い「馬鹿な奴だ。ここには俺さんもいるっていうのに」スッ

俺「……いや、野盗じゃない」

槍使い「えっ」

女侯爵の部下「フ、フフ……借りを返させてもらうぞ俺ェ……」

俺「やはり、奴か……!」

俺(来るなら、領地境で僻地のここしかないと思っていた……)グッ

182 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:27:34.53 ID:Kc6YEE+l0.net
山月記ええなあ

183 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:27:45.79 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「ちょっと待ってろ……騎乗兵くらい、片付けてやる。俺を降ろせ」

槍使い「そ、それはいくらなんでも……」

俺「ふんっ!」タン
ズサササササササァ!

槍使い「そ、そのまま跳んだ!?」

女の子「俺さん!?」

俺「来い! 全員ぶっ飛ばしてやる!」

俺(前の戦いで、精鋭は削ったはずだ。恐らく、雑兵の類……!)

女侯爵の部下「フ、フフフ……」

184 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:28:06.62 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「……」

騎乗兵A「馬鹿め、踏み殺してや……」

俺「……」シュンッ

騎乗兵A「え、消え……」
馬「ヒイイインッ!」ドサァッ

騎乗兵B「い、一瞬で回避して、馬の脚を斬り飛ばした!?」
騎乗兵C「こ、これがS級冒険者の動き……!」

槍使い「よ、よし! 馬車を止めてくれ! 俺も参戦する!」

御者「は、はい!」

俺「決着をつけてやるよ、小悪党」ギロッ

女侯爵の部下「…………」

185 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:28:07.13 ID:pUyxmDfLa.net
>>179
よくはぁ?って聞き直されることあるやろ自分

186 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:28:14.91 ID:fWaCH8Xf0.net
膣ゴーレムってどんな症状なんや?

187 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:28:22.37 ID:kDRAHPbt0.net
お馬さんかわいそう

188 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:28:23.36 ID:84M8CMKL0.net
長い…セリフだけでこんな掛かるのか

189 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:28:24.96 ID:VlrLnVxzM.net
 一

 天の川の西の岸にすぎなの胞子ほどの小さな二つの星が見えます。あれはチュンセ童子とポウセ童子という双子のお星さまの住んでいる小さな水精のお宮です。
 このすきとおる二つのお宮は、まっすぐに向い合っています。夜は二人とも、きっとお宮に帰って、きちんと座り、空の星めぐりの歌に合せて、一晩銀笛を吹くのです。それがこの双子のお星様の役目でした。
 ある朝、お日様がカツカツカツと厳かにお身体をゆすぶって、東から昇っておいでになった時、チュンセ童子は銀笛を下に置いてポウセ童子に申しました。
「ポウセさん。もういいでしょう。お日様もお昇りになったし、雲もまっ白に光っています。今日は西の野原の泉へ行きませんか。」
 ポウセ童子が、まだ夢中で、半分眼をつぶったまま、銀笛を吹いていますので、チュンセ童子はお宮から下りて、沓をはいて、ポウセ童子のお宮の段にのぼって、もう一度云いました。
「ポウセさん。もういいでしょう。東の空はまるで白く燃えているようですし、下では小さな鳥なんかもう目をさましている様子です。今日は西の野原の泉へ行きませんか。そして、風車で霧をこしらえて、小さな虹を飛ばして遊ぼうではありませんか。」
 ポウセ童子はやっと気がついて、びっくりして笛を置いて云いました。
「あ、チュンセさん。失礼いたしました。もうすっかり明るくなったんですね。僕今すぐ沓をはきますから。」
 そしてポウセ童子は、白い貝殻の沓をはき、二人は連れだって空の銀の芝原を仲よく歌いながら行きました。

190 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:28:37.10 ID:ZKs/aiM7a.net
>>173
この長髪こむKじゃね?

191 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:28:39.23 ID:EGO/y1Ok0.net
騎乗兵B「ぐああああああっ!」ドサッ

俺「さあ、次はどいつだ! 同時か!」

長髪「なんだ……こンなもんかよ」ヒョイ

俺「なんだアイツ、馬を降りて……」

キィイイイン!

俺「ぐ、お、重い……!? 嘘だろ、聖剣のステータス補正があるんだぞ!?」

長髪「ま、期待し過ぎただけで上玉か」

192 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:28:40.07 ID:VlrLnVxzM.net
「お日さまの、
 お通りみちを はき浄め、
 ひかりをちらせ あまの白雲。
 お日さまの、
 お通りみちの 石かけを
 深くうずめよ、あまの青雲。」
 そしてもういつか空の泉に来ました。
 この泉は霽れた晩には、下からはっきり見えます。天の川の西の岸から、よほど離れた処に、青い小さな星で円くかこまれてあります。底は青い小さなつぶ石でたいらにうずめられ、石の間から奇麗な水が、ころころころころ湧き出して泉の一方のふちから天の川へ小さな流れになって走って行きます。
私共の世界が旱の時、瘠せてしまった夜鷹やほととぎすなどが、それをだまって見上げて、残念そうに咽喉をくびくびさせているのを時々見ることがあるではありませんか。どんな鳥でもとてもあそこまでは行けません。けれども、天の大烏の星や蠍の星や兎の星ならもちろんすぐ行けます。

193 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:28:40.38 ID:kDRAHPbt0.net
>>186
膣ゴレーム定期

194 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:28:44.47 ID:PES6ndF90.net
>>186
膣を中心に体がレンガになっていくんやろ

195 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:28:59.44 ID:VlrLnVxzM.net
「ポウセさんまずここへ滝をこしらえましょうか。」
「ええ、こしらえましょう。僕石を運びますから。」
 チュンセ童子が沓をぬいで小流れの中に入り、ポウセ童子は岸から手ごろの石を集めはじめました。
 今は、空は、りんごのいい匂いで一杯です。西の空に消え残った銀色のお月様が吐いたのです。
 ふと野原の向うから大きな声で歌うのが聞えます。
「あまのがわの にしのきしを、
 すこしはなれたそらの井戸。
 みずはころろ、そこもきらら、
 まわりをかこむあおいほし。
 夜鷹ふくろう、ちどり、かけす、
 来よとすれども、できもせぬ。」
「あ、大烏の星だ。」童子たちは一緒に云いました。
 もう空のすすきをざわざわと分けて大烏が向うから肩をふって、のっしのっしと大股にやって参りました。まっくろなびろうどのマントを着て、まっくろなびろうどの股引をはいて居ります。
 大烏は二人を見て立ちどまって丁寧にお辞儀しました。
「いや、今日は。チュンセ童子とポウセ童子。よく晴れて結構ですな。しかしどうも晴れると咽喉が乾いていけません。それに昨夜は少し高く歌い過ぎましてな。ご免下さい。」と云いながら大烏は泉に頭をつき込みました。
「どうか構わないで沢山呑んで下さい。」とポウセ童子が云いました。
 大烏は息もつかずに三分ばかり咽喉を鳴らして呑んでからやっと顔をあげて一寸眼をパチパチ云わせてそれからブルルッと頭をふって水を払いました。

196 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:29:08.09 ID:EGO/y1Ok0.net
槍使い「はああああっ!」ドスッ

騎乗兵D「こ、こいつ……!」

槍使い「そんなもんかよ……へへ……」ゼェゼェ

女侯爵の部下「そこそこやると思ったら、伯爵家の放蕩息子か」ププッ

槍使い「部下がやられてるのに、随分余裕……」

ドゴォオオオン!

槍使い「な、俺さんが地面に叩きつけられて……!」

長髪「はあ…ただの武器の加護頼みかよ」

長髪「ま、40点、てとこか。人間にしちゃあいい反応と力だが、技量がカスなンだわ」

197 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:29:18.13 ID:VlrLnVxzM.net
「これはお語誠に恐れ入ります。私共はもう天上にも帰れませんしできます事ならこちらで何なりみなさまのお役に立ちたいと存じます。」
 王が云いました。
「いやいや、そのご謙遜は恐れ入ります。早速竜巻に云いつけて天上にお送りいたしましょう。お帰りになりましたらあなたの王様に海蛇めが宜しく申し上げたと仰っしゃって下さい。」
 ポウセ童子が悦んで申しました。
「それでは王様は私共の王様をご存じでいらっしゃいますか。」
 王はあわてて椅子を下って申しました。
「いいえ、それどころではございません。王様はこの私の唯一人の王でございます。遠いむかしから私めの先生でございます。私はあのお方の愚かなしもべでございます。いや、まだおわかりになりますまい。けれどもやがておわかりでございましょう。それでは夜の明けないうちに竜巻にお伴致させます。これ、これ。支度はいいか。」
 一疋のけらいの海蛇が
「はい、ご門の前にお待ちいたして居ります。」と答えました。
 二人は丁寧に王にお辞儀をいたしました。

198 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:29:36.09 ID:LJSaEkP6a.net
面白いやんけ!!もう終わるんか?

199 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:29:40.33 ID:YK4L4gRg0.net
膣ゴレやってる間に文豪が書き上げた過去の名作が3本終わってる事を考えるとテンポって大事やな

200 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:29:41.13 ID:cqUpjgpv0.net
>>196
コムケー強いな

201 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:29:43.48 ID:7DGNa38Id.net
やっぱこむけいじゃねーか

202 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:29:52.95 ID:38kUqlKg0.net
こんなんもう勝てへんやろ

203 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:29:55.32 ID:uavpVPwa0.net
COM-K!?

204 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:29:56.84 ID:FU/VMpF50.net
なンだわで草

205 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:29:57.22 ID:KILMdFp60.net
まじかよこむK最低だな

206 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:30:04.35 ID:ivCz8QvMa.net
金ねンだわ

207 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:30:05.48 ID:EGO/y1Ok0.net
槍使い「俺さんっ!」

女侯爵の部下「ハハハハハ! 長髪に勝てるわけないだろうが!」

女侯爵の部下「こいつは剣聖の称号を持つ、この国の……いや、世界最強の剣士だぞ!」

長髪「で、そいつもついでに斬ればいいのか?」

槍使い「く、くそっ!」ダッ

長髪「やれやれ……力量の差もわかんねえのか。こんな小僧くらい、そっちで処理しろよな」シュッ

キイイイン!

俺「…………」ゼェゼェ

槍使い「お、俺さん!」

槍使い「生きてたんですね! そいつは、二人掛かりで……!」

俺「馬鹿野郎が! とっとと馬車に戻って逃げろ!」

槍使い「えっ……」

208 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:30:08.94 ID:kDRAHPbt0.net
宮沢賢治やん

209 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:30:28.50 ID:cL8EateR0.net
>>196
ガチで小室圭やんけ

210 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:30:41.61 ID:W5h2shQca.net
技量がカスなンだわ←ここすき

211 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:30:54.05 ID:EGO/y1Ok0.net
槍使い「そ、そんな……俺さんだって、全然歯が立っていないじゃないか! 一人じゃ……」

俺「お前なんかいても変わるわけねえだろうが自惚れるな!」

槍使い「そ、そんなことはやってみないとわからないだろうが!」

俺「ふざけたこと言ってるんじゃねえ! お前が死んだら、誰がこいつらからあの子を守る! 誰があの子を幸せにする!」

槍使い「え……」

槍使い「お、俺さん、それ……そんな、あの子になんて説明すれば……」ジワッ

女侯爵の部下「おい長髪、早く俺とそこの雑魚を片付けて、馬車を襲え!」

長髪「へいへい……」シュッ

俺「速く行けぇっ!」

212 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:30:56.67 ID:LJSaEkP6a.net
あく

213 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:31:00.39 ID:VlrLnVxzM.net
>>197
誤爆 差し替え

214 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:31:15.09 ID:vw6w6tiW0.net
同時上映は混同するからやめろ

215 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:31:17.72 ID:VlrLnVxzM.net
 その時向うから暴い声の歌が又聞えて参りました。大烏は見る見る顔色を変えて身体を烈しくふるわせました。
「みなみのそらの、赤眼のさそり
 毒ある鉤と 大きなはさみを
 知らない者は 阿呆鳥。」
 そこで大烏が怒って云いました。
「蠍星です。畜生。阿呆鳥だなんて人をあてつけてやがる。見ろ。ここへ来たらその赤眼を抜いてやるぞ。」
 チュンセ童子が
「大烏さん。それはいけないでしょう。王様がご存じですよ。」という間もなくもう赤い眼の蠍星が向うから二つの大きな鋏をゆらゆら動かし長い尾をカラカラ引いてやって来るのです。その音はしずかな天の野原中にひびきました。
 大烏はもう怒ってぶるぶる顫えて今にも飛びかかりそうです。双子の星は一生けん命手まねでそれを押えました。
 蠍は大烏を尻眼にかけてもう泉のふち迄這って来て云いました。
「ああ、どうも咽喉が乾いてしまった。やあ双子さん。今日は。ご免なさい。少し水を呑んでやろうかな。はてな、どうもこの水は変に土臭いぞ。どこかのまっ黒な馬鹿ァが頭をつっ込んだと見える。えい。仕方ない。我慢してやれ。」
 そして蠍は十分ばかりごくりごくりと水を呑みました。その間も、いかにも大烏を馬鹿にする様に、毒の鉤のついた尾をそちらにパタパタ動かすのです。
 とうとう大烏は、我慢し兼ねて羽をパッと開いて叫びました。
「こら蠍。貴様はさっきから阿呆鳥だの何だのと俺の悪口を云ったな。早くあやまったらどうだ。」
 蠍がやっと水から頭をはなして、赤い眼をまるで火が燃えるように動かしました。
「へん。誰か何か云ってるぜ。赤いお方だろうか。鼠色のお方だろうか。一つ鉤をお見舞しますかな。」
 大烏はかっとして思わず飛びあがって叫びました。
「何を。生意気な。空の向う側へまっさかさまに落してやるぞ。」

216 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:31:31.11 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「あああああああああっ!」シュッシュッシュ

長髪「へえ、まだそんな気力があるのか」ニイ

槍使い「すいません……俺さん、すいません!」ダッ

女侯爵の部下「クッ! くそ、なら私が直々に、あの駄目貴族も馬車も始末してやる!」バッ

俺「ぐっ……!」

長髪「……おめ、無粋なンだわ」ザンッ

女侯爵の部下「えっ……ど、どうして私が、斬られ……?」

俺「なっ……」

217 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:31:37.79 ID:NLHpwj8y0.net
長髪よびなのか

218 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:31:42.31 ID:VlrLnVxzM.net
 蠍も怒って大きなからだをすばやくひねって尾の鉤を空に突き上げました。大烏は飛びあがってそれを避け今度はくちばしを槍のようにしてまっすぐに蠍の頭をめがけて落ちて来ました。
 チュンセ童子もポウセ童子もとめるすきがありません。蠍は頭に深い傷を受け、大烏は胸を毒の鉤でさされて、両方ともウンとうなったまま重なり合って気絶してしまいました。
 蠍の血がどくどく空に流れて、いやな赤い雲になりました。
 チュンセ童子が急いで沓をはいて、申しました。
「さあ大変だ。大烏には毒がはいったのだ。早く吸いとってやらないといけない。ポウセさん。大烏をしっかり押えていて下さいませんか。」
 ポウセ童子も沓をはいてしまっていそいで大烏のうしろにまわってしっかり押えました。チュンセ童子が大烏の胸の傷口に口をあてました。ポウセ童子が申しました。
「チュンセさん。毒を呑んではいけませんよ。すぐ吐き出してしまわないといけませんよ。」
 チュンセ童子が黙って傷口から六遍ほど毒のある血を吸ってはき出しました。すると大烏がやっと気がついて、うすく目を開いて申しました。
「あ、どうも済みません。私はどうしたのですかな。たしか野郎をし止めたのだが。」
 チュンセ童子が申しました。
「早く流れでその傷口をお洗いなさい。歩けますか。」
 大烏はよろよろ立ちあがって蠍を見て又身体をふるわせて云いました。
「畜生。空の毒虫め。空で死んだのを有り難いと思え。」
 二人は大烏を急いで流れへ連れて行きました。そして奇麗に傷口を洗ってやって、その上、傷口へ二三度香しい息を吹きかけてやって云いました。
「さあ、ゆるゆる歩いて明るいうちに早くおうちへお帰りなさい。これからこんな事をしてはいけません。王様はみんなご存じですよ。」
 大烏はすっかり悄気て翼を力なく垂れ、何遍もお辞儀をして
「ありがとうございます。ありがとうございます。これからは気をつけます。」と云いながら脚を引きずって銀のすすきの野原を向うへ行ってしまいました。
 二人は蠍を調べて見ました。頭の傷はかなり深かったのですがもう血がとまっています。二人は泉の水をすくって、傷口にかけて奇麗に洗いました。そして交る交るふっふっと息をそこへ吹き込みました。

219 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:31:48.38 ID:7DGNa38Id.net
主人公結局死ぬんか?

220 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:31:55.61 ID:LJSaEkP6a.net
同時上映こえて並行上映やんけ

221 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:04.66 ID:r5hnJnJTp.net
「珍らしい話とおっしゃるのですか、それではこんな話はどうでしょう」
 ある時、五、六人の者が、怖い話や、珍奇な話を、次々と語り合っていた時、友だちのKは最後にこんなふうにはじめた。ほんとうにあったことか、Kの作り話なのか、その後、尋ねてみたこともないので、私にはわからぬけれど、いろいろ不思議な物語を聞かされたあとだったのと、ちょうどその日の天候が春の終りに近い頃ころの、いやにドンヨリと曇った日で、空気が、まるで深い水の底のように重おもしく淀よどんで、話すものも、聞くものも、なんとなく気ちがいめいた気分になっていたからでもあったのか、その話は、異様に私の心をうったのである。話というのは、

222 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:07.37 ID:/M3gaduAM.net
なげえ

223 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:08.88 ID:thqLu+dZ0.net
アツい

224 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:11.48 ID:PES6ndF90.net
長髪は女侯爵寄りの中立?

225 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:19.91 ID:cL8EateR0.net
>>214
なろうと巨匠の名作を混同するな

226 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:21.52 ID:VlrLnVxzM.net
 お日様が丁度空のまん中においでになった頃蠍はかすかに目を開きました。
 ポウセ童子が汗をふきながら申しました。
「どうですか気分は。」
 蠍がゆるく呟きました。
「大烏めは死にましたか。」
 チュンセ童子が少し怒って云いました。
「まだそんな事を云うんですか。あなたこそ死ぬ所でした。さあ早くうちへ帰る様に元気をお出しなさい。明るいうちに帰らなかったら大変ですよ。」
 蠍が目を変に光らして云いました。
「双子さん。どうか私を送って下さいませんか。お世話の序です。」
 ポウセ童子が云いました。
「送ってあげましょう。さあおつかまりなさい。」
 チュンセ童子も申しました。
「そら、僕にもおつかまりなさい。早くしないと明るいうちに家に行けません。そうすると今夜の星めぐりが出来なくなります。」
 蠍は二人につかまってよろよろ歩き出しました。二人の肩の骨は曲りそうになりました。実に蠍のからだは重いのです。大きさから云っても童子たちの十倍位はあるのです。
 けれども二人は顔をまっ赤にしてこらえて一足ずつ歩きました。
 蠍は尾をギーギーと石ころの上に引きずっていやな息をはあはあ吐いてよろりよろりとあるくのです。一時間に十町とも進みません。
 もう童子たちは余り重い上に蠍の手がひどく食い込んで痛いので、肩や胸が自分のものかどうかもわからなくなりました。
 空の野原はきらきら白く光っています。七つの小流れと十の芝原とを過ぎました。
 童子たちは頭がぐるぐるしてもう自分が歩いているのか立っているのかわかりませんでした。それでも二人は黙ってやはり一足ずつ進みました。
 さっきから六時間もたっています。蠍の家まではまだ一時間半はかかりましょう。もうお日様が西の山にお入りになる所です。
「もう少し急げませんか。私らも、もう一時間半のうちにおうちへ帰らないといけないんだから。けれども苦しいんですか。大変痛みますか。」とポウセ童子が申しました。

227 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:22.06 ID:kDsT18Dt0.net
ながい

228 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:24.68 ID:0tjK5ziw0.net
女騎士死んだら戦う理由なくなるな

229 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:27.64 ID:003bMtMt0.net
>>211
速くもあってはいるけどこの場合は早くだな

230 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:32.35 ID:r5hnJnJTp.net
 私に一人の不幸な友だちがあるのです。名前は仮りに彼と申して置きましょうか。その彼にはいつの頃からか世にも不思議な病気が取りついたのです。ひょっとしたら、先祖に何かそんな病気の人があって、それが遺伝したのかもしれませんね。というのは、まんざら根のない話でもないので、いったい彼のうちには、おじいさんか、曾ひいじいさんかが、切支丹キリシタンの邪宗に帰依きえしていたことがあって、古めかしい横文字の書物や、マリヤさまの像や、基督キリストさまのはりつけの絵などが、葛籠つづらの底に一杯しまってあるのですが、そんなものと一緒に、伊賀越道中双六いがごえどうちゅうすごろくに出てくるような、一世紀も前の望遠鏡だとか、妙なかっこうの磁石だとか、当時ギヤマンとかビイドロとかいったのでしょうが、美しいガラスの器物だとかが、同じ葛籠にしまいこんであって、彼はまだ小さい時分から、よくそれを出してもらっては遊んでいたものです。
 考えてみますと、彼はそんな時分から、物の姿の映る物、たとえばガラスとか、レンズとか、鏡とかいうものに、不思議な嗜好しこうを持っていたようです。それが証拠には、彼のおもちゃといえば、幻灯器械だとか、遠目がねだとか、虫目がねだとか、そのほかそれに類した、将門まさかど目がね、万華鏡まんげきょう、眼めに当てると人物や道具などが、細長くなったり、平たくなったりする、プリズムのおもちゃだとか、そんなものばかりでした。
 それから、やっぱり彼の少年時代なのですが、こんなことがあったのも覚えております。ある日彼の勉強部屋をおとずれますと、机の上に古い桐きりの箱が出ていて、多分その中にはいっていたのでしょう、彼は手に昔物の金属の鏡を持って、それを日光に当てて、暗い壁に影を映しているのでした。

231 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:37.42 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「な、何のつもりだ!」

長髪「これでよそ見しなくていいだろ?」ククク

長髪「シンプルでいいじゃねェか。お前が俺を殺れれば、馬車は無事だ」

長髪「だが、俺が勝てば、あの馬車の奴は追いついて全員殺してやる」

長髪「もっと本気を出せよ。久々に楽しめそうなンだわ、お前」ニイイイ

俺(こいつ……狂ってやがる)ゾオオ

232 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:40.91 ID:VlrLnVxzM.net
「へい。も少しでございます。どうかお慈悲でございます。」と蠍が泣きました。
「ええ。も少しです。傷は痛みますか。」とチュンセ童子が肩の骨の砕けそうなのをじっとこらえて申しました。
 お日様がもうサッサッサッと三遍厳かにゆらいで西の山にお沈みになりました。
「もう僕らは帰らないといけない。困ったな。ここらの人は誰か居ませんか。」ポウセ童子が叫びました。天の野原はしんとして返事もありません。
 西の雲はまっかにかがやき蠍の眼も赤く悲しく光りました。光の強い星たちはもう銀の鎧を着て歌いながら遠くの空へ現われた様子です。
「一つ星めつけた。長者になあれ。」下で一人の子供がそっちを見上げて叫んでいます。
 チュンセ童子が
「蠍さん。も少しです。急げませんか。疲れましたか。」と云いました。
 蠍が哀れな声で、
「どうもすっかり疲れてしまいました。どうか少しですからお許し下さい。」と云います。
「星さん星さん一つの星で出ぬもんだ。
 千も万もででるもんだ。」
 下で別の子供が叫んでいます。もう西の山はまっ黒です。あちこち星がちらちら現われました。
 チュンセ童子は背中がまがってまるで潰れそうになりながら云いました。
「蠍さん。もう私らは今夜は時間に遅れました。きっと王様に叱られます。事によったら流されるかも知れません。けれどもあなたがふだんの所に居なかったらそれこそ大変です。」
 ポウセ童子が
「私はもう疲れて死にそうです。蠍さん。もっと元気を出して早く帰って行って下さい。」
と云いながらとうとうバッタリ倒れてしまいました。蠍は泣いて云いました。

233 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:46.02 ID:QJsn5rxfa.net
待てねンだわ

234 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:46.34 ID:TGML2trga.net
>>216
コムケイかっこよすぎて草生えますよ

235 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:50.73 ID:kDRAHPbt0.net
>>224
女公爵の部下やけど
戦闘狂の自由人

236 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:32:58.72 ID:VlrLnVxzM.net
「どうか許して下さい。私は馬鹿です。あなた方の髪の毛一本にも及びません。きっと心を改めてこのおわびは致します。きっといたします。」
 この時水色の烈しい光の外套を着た稲妻が、向うからギラッとひらめいて飛んで来ました。そして童子たちに手をついて申しました。
「王様のご命でお迎いに参りました。さあご一緒に私のマントへおつかまり下さい。もうすぐお宮へお連れ申します。王様はどう云う訳かさっきからひどくお悦びでございます。それから、蠍。お前は今まで憎まれ者だったな。さあこの薬を王様から下すったんだ。飲め。」
 童子たちは叫びました。
「それでは蠍さん。さよなら。早く薬をのんで下さい。それからさっきの約束ですよ。きっとですよ。さよなら。」
 そして二人は一緒に稲妻のマントにつかまりました。蠍が沢山の手をついて平伏して薬をのみそれから丁寧にお辞儀をします。
 稲妻がぎらぎらっと光ったと思うともういつかさっきの泉のそばに立って居りました。そして申しました。
「さあ、すっかりおからだをお洗いなさい。王様から新らしい着物と沓を下さいました。まだ十五分間があります。」
 双子のお星様たちは悦んでつめたい水晶のような流れを浴び、匂のいい青光りのうすものの衣を着け新らしい白光りの沓をはきました。するともう身体の痛みもつかれも一遍にとれてすがすがしてしまいました。
「さあ、参りましょう。」と稲妻が申しました。そして二人が又そのマントに取りつきますと紫色の光が一遍ぱっとひらめいて童子たちはもう自分のお宮の前に居ました。稲妻はもう見えません。
「チュンセ童子、それでは支度をしましょう。」
「ポウセ童子、それでは支度をしましょう。」
 二人はお宮にのぼり、向き合ってきちんと座り銀笛をとりあげました。
 丁度あちこちで星めぐりの歌がはじまりました。

237 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:07.48 ID:lYV9ERpb0.net
こむけー!?

238 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:09.71 ID:vCZOkBMPa.net
こむKで草

239 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:11.07 ID:003bMtMt0.net
>>220
同時に見ると飛び出して見えるんやで

240 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:12.75 ID:PES6ndF90.net
>>235
解説助かる

241 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:14.28 ID:r5hnJnJTp.net
「どうだ、面白おもしろいだろう。あれを見たまえ、こんな平らな鏡が、あすこへ映ると、妙な字ができるだろう」
 彼にそう言われて、壁を見ますと、驚いたことには、白い丸形の中に、多少形がくずれてはいましたけれど「寿」という文字が、白金のような強い光で現われているのです。
「不思議だね、一体どうしたんだろう」
 なんだか神業かみわざとでもいうような気がして、子供の私には、珍らしくもあり、怖くもあったのです。思わずそんなふうに聞き返しました。
「わかるまい。種明かしをしようか。種明かしをしてしまえば、なんでもないことなんだよ。ホラ、ここを見たまえ、この鏡の裏を、ね、寿という字が浮彫りになっているだろう。これが表へすき通るのだよ」
 なるほど見れば彼の言う通り、青銅のような色をした鏡の裏には、立派な浮彫りがあるのです。でも、それが、どうして表面まですき通って、あのような影を作るのでしょう。鏡の表は、どの方角からすかして見ても、滑らかな平面で、顔がでこぼこに写るわけでもないのに、それの反射だけが不思議な影を作るのです。まるで魔法みたいな気がするのです。
「これはね、魔法でもなんでもないのだよ」
 彼は私のいぶかしげな顔を見て、説明をはじめるのでした。
「おとうさんに聞いたんだがね、金属の鏡というやつは、ガラスと違って、ときどきみがきをかけないと、曇りがきて見えなくなるんだ。この鏡なんか、ずいぶん古くから僕ぼくの家に伝わっている品で、何度となく磨みがきをかけている。でね、その磨きをかけるたびに、裏の浮彫りの所と、そうでない薄い所とでは、金の減り方が眼に見えぬほどずつ違ってくるのだよ。厚い部分は手ごたえが多く、薄い部分はこれが少ないわけだからね。その眼にも見えぬ減り方の違いが、恐ろしいもので、反射させると、あんなに現われるのだそうだ。わかったかい」

242 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:15.81 ID:VlrLnVxzM.net
「あかいめだまの さそり
 ひろげた鷲の  つばさ
 あおいめだまの 小いぬ、
 ひかりのへびの とぐろ。

 オリオンは高く うたい
 つゆとしもとを おとす、
 アンドロメダの くもは
 さかなのくちの かたち。

 大ぐまのあしを きたに
 五つのばした  ところ。
 小熊のひたいの うえは
 そらのめぐりの めあて。」
 双子のお星様たちは笛を吹きはじめました。

243 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:19.78 ID:Kc6YEE+l0.net
歴代の名作に支援される異世界なろうSSってどうなん?

244 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:25.37 ID:7DGNa38Id.net
こむけいカッコよくて草

245 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:37.66 ID:VlrLnVxzM.net


(天の川の西の岸に小さな小さな二つの青い星が見えます。あれはチュンセ童子とポウセ童子という双子のお星様でめいめい水精でできた小さなお宮に住んでいます。
 二つのお宮はまっすぐに向い合っています。夜は二人ともきっとお宮に帰ってきちんと座ってそらの星めぐりの歌に合せて一晩銀笛を吹くのです。それがこの双子のお星様たちの役目でした。)
 ある晩空の下の方が黒い雲で一杯に埋まり雲の下では雨がザアッザアッと降って居りました。それでも二人はいつものようにめいめいのお宮にきちんと座って向いあって笛を吹いていますと突然大きな乱暴ものの彗星がやって来て二人のお宮にフッフッと青白い光の霧をふきかけて云いました。
「おい、双子の青星。すこし旅に出て見ないか。今夜なんかそんなにしなくてもいいんだ。いくら難船の船乗りが星で方角を定めようたって雲で見えはしない。天文台の星の係りも今日は休みであくびをしてる。いつも星を見ているあの生意気な小学生も雨ですっかりへこたれてうちの中で絵なんか書いているんだ。お前たちが笛なんか吹かなくたって星はみんなくるくるまわるさ。どうだ。一寸旅へ出よう。あしたの晩方までにはここに連れて来てやるぜ。」
 チュンセ童子が一寸笛をやめて云いました。

246 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:48.41 ID:5Epcbdlua.net
小室圭おるやん

247 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:48.91 ID:PES6ndF90.net
>>243
正直緩急で笑てまう

248 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:49.85 ID:r5hnJnJTp.net
 その説明を聞きますと、一応は理由がわかったものの、今度は、顔を映してもでこぼこに見えない滑らかな表面が、反射させると明きらかに凹凸おうとつが現われるという、このえたいの知れぬ事実が、たとえば顕微鏡で何かを覗のぞいた時に味わう、微細なるものの無気味さ、あれに似た感じで、私をゾッとさせるのでした。
 この鏡のことは、あまり不思議だったので、特別によく覚えているのですが、これはただの一例にすぎないので、彼の少年時代の遊戯というものは、ほとんどそのような事柄ことがらばかりで充みたされていたわけです。妙なもので、私までが彼の感化を受けて、今でも、レンズというようなものに、人一倍の好奇心を持っているのですよ。
 でも少年時代はまだ、さほどでもなかったのですが、それが中学の上級生に進んで、物理学を教わるようになりますと、御承知の通り物理学にはレンズや鏡の理論がありますね、彼はもうあれに夢中になってしまって、その時分から、病気と言ってもいいほどの、いわばレンズ狂に変わってきたのです。それにつけて思い出すのは、教室で凹面鏡のことを教わる時間でしたが、小さな凹面鏡の見本を、生徒のあいだに廻まわして、次々に皆の者が、自分の顔を映して見ていたのです。私はその時分ひどいニキビづらで、それがなんだか性欲的な事柄に関係しているような気がして、恥かしくてしようがなかったのですが、なにげなく凹面鏡を覗いて見ますと、思わずアッと声を立てるほど驚いたことには、私の顔のひとつひとつのニキビが、まるで望遠鏡で見た月の表面のように、恐ろしい大きさに拡大されて映っていたのです。
 小山とも見えるニキビの先端が、石榴ざくろのようにはぜて、そこからドス黒い血のりが、芝居の殺し場の絵看板の感じで物凄ものすごくにじみ出しているのです。ニキビというひけ目があったせいでもありましょうが、凹面鏡に映った私の顔がどんなに恐ろしく、無気味なものであったか、それからのちというものは、凹面鏡を見ると、それがまた、博覧会だとか、盛り場の見世物などには、よく並んでいるのですが、私はもう、おぞけを振るって、逃げ出すようになったほどです。

249 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:50.39 ID:TDy82V3I0.net
K…

250 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:52.89 ID:0tjK5ziw0.net
あくしろよ

251 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:52.90 ID:NLHpwj8y0.net
タイピング合戦か何かなの?

252 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:33:58.74 ID:VlrLnVxzM.net
「それは曇った日は笛をやめてもいいと王様からお許しはあるとも。私らはただ面白くて吹いていたんだ。」
 ポウセ童子も一寸笛をやめて云いました。
「けれども旅に出るなんてそんな事はお許しがないはずだ。雲がいつはれるかもわからないんだから。」
 彗星が云いました。
「心配するなよ。王様がこの前俺にそう云ったぜ。いつか曇った晩あの双子を少し旅させてやって呉れってな。行こう。行こう。俺なんか面白いぞ。俺のあだ名は空の鯨と云うんだ。知ってるか。俺は鰯のようなヒョロヒョロの星やめだかのような黒い隕石はみんなパクパク呑んでしまうんだ。それから一番痛快なのはまっすぐに行ってそのまままっすぐに戻る位ひどくカーブを切って廻るときだ。まるで身体が壊れそうになってミシミシ云うんだ。光の骨までカチカチ云うぜ。」
 ポウセ童子が云いました。
「チュンセさん。行きましょうか。王様がいいっておっしゃったそうですから。」
 チュンセ童子が云いました。
「けれども王様がお許しになったなんて一体本当でしょうか。」
 彗星が云いました。
「へん。偽なら俺の頭が裂けてしまうがいいさ。頭と胴と尾とばらばらになって海へ落ちて海鼠にでもなるだろうよ。偽なんか云うもんか。」
 ポウセ童子が云いました。

253 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:00.88 ID:LJSaEkP6a.net
>>239
名作に俺さんが入ってきたわ
どうしてくれるん?

254 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:13.37 ID:VlrLnVxzM.net
 彗星は、
「あっはっは、あっはっは。さっきの誓いも何もかもみんな取り消しだ。ギイギイギイ、フウ。ギイギイフウ。」と云いながら向うへ走って行ってしまいました。二人は落ちながらしっかりお互の肱をつかみました。この双子のお星様はどこ迄でも一緒に落ちようとしたのです。
 二人のからだが空気の中にはいってからは雷のように鳴り赤い火花がパチパチあがり見ていてさえめまいがする位でした。そして二人はまっ黒な雲の中を通り暗い波の咆えていた海の中に矢のように落ち込みました。
 二人はずんずん沈みました。けれども不思議なことには水の中でも自由に息ができたのです。
 海の底はやわらかな泥で大きな黒いものが寝ていたりもやもやの藻がゆれたりしました。
 チュンセ童子が申しました。
「ポウセさん。ここは海の底でしょうね。もう僕たちは空に昇れません。これからどんな目に遭うでしょう。」
 ポウセ童子が云いました。
「僕らは彗星に欺されたのです。彗星は王さまへさえ偽をついたのです。本当に憎いやつではありませんか。」
 するとすぐ足もとで星の形で赤い光の小さなひとでが申しました。
「お前さんたちはどこの海の人たちですか。お前さんたちは青いひとでのしるしをつけていますね。」
 ポウセ童子が云いました。
「私らはひとでではありません。星ですよ。」

255 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:20.30 ID:7DGNa38Id.net
あく

256 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:21.62 ID:r5hnJnJTp.net
 ですが、彼の方では、その時やっぱり凹面鏡を覗いて、これはまた私とあべこべで、恐ろしく思うよりは、非常な魅力を感じたものとみえ、教室全体に響き渡るような声で、「ホウ」と感嘆の叫びを上げたものなんです。それがあまり頓狂とんきょうに聞こえたものですから、その時は大笑いになりましたが、さてそれからというものは、彼はもう凹面鏡で夢中なんです。大小さまざまの凹面鏡を買いこんで、針金だとかボール紙などを使い、複雑なからくり仕掛けをこしらえては、独りほくそ笑んでいる始末でした。さすが好きな道だけあって、彼は人の思いもつかぬような、変てこな装置を考案する才能を持っていて、もっとも手品の本などをわざわざ外国から取り寄せたりしたのですけれど、今でも不思議に堪えないのは、これも或あるとき彼の部屋をおとずれて、驚かされたのですが、魔法の紙幣というからくり仕掛けでありました。
 それは、二尺四方ほどの、四角なボール箱で、前の方に建物の入口のような穴があいていて、そこのところに一円札が五、六枚、ちょうど状差しの中のハガキのように、差してあるのです。
「このおさつを取ってごらん」
 その箱を私の前に持ち出して、彼は何食わぬ顔で紙幣を取れというのです。そこで、私はいわれるままに手を出して、ヒョイとその紙幣を取ろうとしたのですが、なんとまあ不思議なことには、ありありと眼に見えているその紙幣が、手を持って行ってみますと、煙のように手ごたえがないではありませんか。あんな驚いたことはありませんね。
「オヤ」
 とたまげている私の顔を見て、彼はさも面白そうに笑いながら、さて説明してくれたところによりますと、それは英国でしたかの物理学者が考案した一種の手品で、種はやっぱり凹面鏡なのです。詳しい理窟りくつはよく覚えていませんけれど、本ものの紙幣は箱の下へ横に置いて、その上に斜めに凹面鏡を装置し、電灯を箱の内部に引き込み、光線が紙幣に当たるようにすると、凹面鏡の焦点からどれだけの距離にある物体は、どういう角度で、どの辺にその像を結ぶという理論によって、うまく箱の穴へ紙幣が現われるのだそうです。普通の鏡ですと、決して本ものがそこにあるようには見えませんけれど、凹面鏡では不思議にもそんな実像を結ぶというのですね。ほんとうにもう、ありありとそこにあるのですからね。
 かようにして、彼のレンズや鏡に対する異常なる嗜好は、だんだんと嵩こうじて行くばかりでしたが、やがて中学を卒業しますと、彼は上の学校にはいろうともしないで、ひとつは親たちも甘過ぎたのですね、息子の言うことならば、たいていは無理を通してくれるものですから、学校を出ると、もうひとかどおとなになった気で、庭の空き地にちょっとした実験室を新築して、その中で、例の不思議な道楽をはじめたものです。

257 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:22.65 ID:YK4L4gRg0.net
>>243
一国の内親王様を娶ろうって男が出演してるから当然なンだわ

258 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:23.45 ID:FU/VMpF50.net
まつ

259 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:24.43 ID:003bMtMt0.net
>>251
コピペ合戦ぽんぽこ

260 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:27.60 ID:lYV9ERpb0.net
>>243
過去の主人公のバトンを繋いでて熱い

261 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:31.28 ID:Pf0B8TeHa.net
保守

262 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:35.65 ID:2jzO0nWyM.net
はよ

263 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:37.17 ID:LJSaEkP6a.net
いまこれすごい勢いで物語書いてるんか?

264 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:39.15 ID:VlrLnVxzM.net
 するとひとでが怒って云いました。
「何だと。星だって。ひとではもとはみんな星さ。お前たちはそれじゃ今やっとここへ来たんだろう。何だ。それじゃ新米のひとでだ。ほやほやの悪党だ。悪いことをしてここへ来ながら星だなんて鼻にかけるのは海の底でははやらないさ。おいらだって空に居た時は第一等の軍人だぜ。」
 ポウセ童子が悲しそうに上を見ました。
 もう雨がやんで雲がすっかりなくなり海の水もまるで硝子のように静まってそらがはっきり見えます。天の川もそらの井戸も鷲の星や琴弾きの星やみんなはっきり見えます。小さく小さく二人のお宮も見えます。
「チュンセさん。すっかり空が見えます。私らのお宮も見えます。それだのに私らはとうとうひとでになってしまいました。」
「ポウセさん。もう仕方ありません。ここから空のみなさんにお別れしましょう。またおすがたは見えませんが王様におわびをしましょう。」
「王様さよなら。私共は今日からひとでになるのでございます。」
「王様さよなら。ばかな私共は彗星に欺されました。今日からはくらい海の底の泥を私共は這いまわります。」
「さよなら王様。又天上の皆さま。おさかえを祈ります。」
「さよならみな様。又すべての上の尊い王さま、いつまでもそうしておいで下さい。」
 赤いひとでが沢山集って来て二人を囲んでがやがや云って居りました。

265 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:41.61 ID:QJsn5rxfa.net
宮沢賢治もまあまあ台詞多いよな
ラノベみたいなもん

266 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:50.42 ID:7VziQk6n0.net
小室圭草

267 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:52.80 ID:maJP1yVoM.net
イッチ死んだか

268 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:53.81 ID:r5hnJnJTp.net
 これまでは、学校というものがあって、いくらか時間を束縛されていたので、それほどでもなかったのが、さて、そうして朝から晩まで実験室にとじこもることになりますと、彼の病勢は俄にわかに恐るべき加速度をもって昂進こうしんしはじめました。元来友だちの少なかった彼ですが、卒業以来というものは、彼の世界は、狭い実験室の中に限られてしまって、どこへ遊びに出るというでもなくしたがって来訪者もだんだん減って行き、僅わずかに彼の部屋をおとずれるのは、彼の家の人を除くと、私ただ一人になってしまったのでした。
 それもごく時たまのことですが、私は彼を訪問するごとに、彼の病気がだんだん募って行って、今ではむしろ狂気に近い状態になっているのを目撃して、ひそかに戦慄せんりつを禁じ得ないのでした。彼のこの病癖にもってきて、更らにいけなかったことは、ある年の流行感冒のために、不幸にも彼の両親が、揃そろってなくなってしまったものですから、彼は今は誰だれに遠慮の必要もなく、その上莫大ばくだいな財産を受けついで、思うがままに、彼の妙な実験を行なうことができるようになったのと、それに今ひとつは、彼も二十歳を越して、女というものに興味をいだきはじめ、そんな変てこな嗜好を持つほどの彼ですから、情欲の方もひどく変態的で、それが持ち前のレンズ狂と結びついて、双方がいっそう勢いを増す形になってきたことでした。そしてお話というのは、その結果、ついに恐ろしい破局を招くことになった或る出来事なのですが、それを申し上げる前に、彼の病勢が、どのようにひどくなっていたかということを、二つ三つ、実例によってお話ししておきたいと思うのです。
 彼の家は山の手の或る高台にあって、今いう実験室は、そこの広々とした庭園の片隅かたすみの、街々の甍いらかを眼下に見下す位置に建てられたのですが、そこで彼が最初はじめたのは、実験室の屋根を天文台のような形にこしらえて、そこに可なりの天体観測鏡を据すえつけ、星の世界に耽溺たんできすることでした。その時分には、彼は独学で、一と通り天文学の知識を備えていたわけなのです。が、そのようなありふれた道楽で満足する彼ではありません。その一方では、度の強い望遠鏡を窓際まどぎわに置いて、それをさまざまの角度にしては、目の下に見える人家の、あけはなった室内を盗み見るという、罪の深い、秘密な楽しみを味わっているのでありました。
 それがたとえ板塀いたべいの中であったり、他の家の裏側に向かい合っていたりして、当人たちはどこからも見えぬつもりで、まさかそんな遠くの山の上から望遠鏡で覗かれていようとは気づくはずもなく、あらゆる秘密な行ないを、したい三昧ざんまいにふるまっている、それが彼には、まるで目の前の出来事のように、あからさまに眺ながめられるのです。

269 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:55.17 ID:EGO/y1Ok0.net
長髪「どうしたァ!? そんなもんかぁあああ!?」

キィンキィン!
ガッ!

俺「ぐはっ!」

俺(速さも、力の、俺の方が……いや、聖剣の加護の方が勝ってる……)

俺(でも……動きが尽く読まれてるんだ……)

俺(俺みたいな紛い物じゃ、こんな本物の化け物には勝てないのか……?)

長髪「どうしたァ! 終わりじゃねぇだろおおお! オメェが死んだら、全員惨殺してやるぞおおお! どうしたああああ!」

キンキンキンキン!

俺(いや、そんなこと考えてる場合じゃない。勝つしかないんだ!)

270 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:56.67 ID:ZM/x6TSh0.net
>>263
こぴぺやで

271 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:34:59.06 ID:VlrLnVxzM.net
「こら着物をよこせ。」「こら。剣を出せ。」「税金を出せ。」「もっと小さくなれ。」「俺の靴をふけ。」
 その時みんなの頭の上をまっ黒な大きな大きなものがゴーゴーゴーと哮えて通りかかりました。ひとではあわててみんなお辞儀をしました。黒いものは行き過ぎようとしてふと立ちどまってよく二人をすかして見て云いました。
「ははあ、新兵だな。まだお辞儀のしかたも習わないのだな。このくじら様を知らんのか。俺のあだなは海の彗星と云うんだ。知ってるか。俺は鰯のようなひょろひょろの魚やめだかの様なめくらの魚はみんなパクパク呑んでしまうんだ。それから一番痛快なのはまっすぐに行ってぐるっと円を描いてまっすぐにかえる位ゆっくりカーブを切るときだ。まるでからだの油がねとねとするぞ。さて、お前は天からの追放の書き付けを持って来たろうな。早く出せ。」
 二人は顔を見合せました。チュンセ童子が
「僕らはそんなもの持たない。」と申しました。
 すると鯨が怒って水を一つぐうっと口から吐きました。ひとではみんな顔色を変えてよろよろしましたが二人はこらえてしゃんと立っていました。
 鯨が怖い顔をして云いました。
「書き付けを持たないのか。悪党め。ここに居るのはどんな悪いことを天上でして来たやつでも書き付けを持たなかったものはないぞ。貴様らは実にけしからん。さあ。呑んでしまうからそう思え。いいか。」鯨は口を大きくあけて身構えしました。ひとでや近所の魚は巻き添えを食っては大変だと泥の中にもぐり込んだり一もくさんに逃げたりしました。

272 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:05.14 ID:kDRAHPbt0.net
>>242
星めぐりのうたすこ

273 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:18.24 ID:8DhY+5td0.net
 ですが、彼の方では、その時やっぱり凹面鏡を覗いて、これはまた私とあべこべで、恐ろしく思うよりは、非常な魅力を感じたものとみえ、教室全体に響き渡るような声で、「ホウ」と感嘆の叫びを上げたものなんです。それがあまり頓狂とんきょうに聞こえたものですから、その時は大笑いになりましたが、さてそれからというものは、彼はもう凹面鏡で夢中なんです。大小さまざまの凹面鏡を買いこんで、針金だとかボール紙などを使い、複雑なからくり仕掛けをこしらえては、独りほくそ笑んでいる始末でした。さすが好きな道だけあって、彼は人の思いもつかぬような、変てこな装置を考案する才能を持っていて、もっとも手品の本などをわざわざ外国から取り寄せたりしたのですけれど、今でも不思議に堪えないのは、これも或あるとき彼の部屋をおとずれて、驚かされたのですが、魔法の紙幣というからくり仕掛けでありました。
 それは、二尺四方ほどの、四角なボール箱で、前の方に建物の入口のような穴があいていて、そこのところに一円札が五、六枚、ちょうど状差しの中のハガキのように、差してあるのです。
「このおさつを取ってごらん」
 その箱を私の前に持ち出して、彼は何食わぬ顔で紙幣を取れというのです。そこで、私はいわれるままに手を出して、ヒョイとその紙幣を取ろうとしたのですが、なんとまあ不思議なことには、ありありと眼に見えているその紙幣が、手を持って行ってみますと、煙のように手ごたえがないではありませんか。あんな驚いたことはありませんね。
「オヤ」
 とたまげている私の顔を見て、彼はさも面白そうに笑いながら、さて説明してくれたところによりますと、それは英国でしたかの物理学者が考案した一種の手品で、種はやっぱり凹面鏡なのです。詳しい理窟りくつはよく覚えていませんけれど、本ものの紙幣は箱の下へ横に置いて、その上に斜めに凹面鏡を装置し、電灯を箱の内部に引き込み、光線が紙幣に当たるようにすると、凹面鏡の焦点からどれだけの距離にある物体は、どういう角度で、どの辺にその像を結ぶという理論によって、うまく箱の穴へ紙幣が現われるのだそうです。普通の鏡ですと、決して本ものがそこにあるようには見えませんけれど、凹面鏡では不思議にもそんな実像を結ぶというのですね。ほんとうにもう、ありありとそこにあるのですからね。
 かようにして、彼のレンズや鏡に対する異常なる嗜好は、だんだんと嵩こうじて行くばかりでしたが、やがて中学を卒業しますと、彼は上の学校にはいろうともしないで、ひとつは親たちも甘過ぎたのですね、息子の言うことならば、たいていは無理を通してくれるものですから、学校を出ると、もうひとかどおとなになった気で、庭の空き地にちょっとした実験室を新築して、その中で、例の不思議な道楽をはじめたものです。

274 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:22.35 ID:VlrLnVxzM.net
 その時向うから銀色の光がパッと射して小さな海蛇がやって来ます。くじらは非常に愕ろいたらしく急いで口を閉めました。
 海蛇は不思議そうに二人の頭の上をじっと見て云いました。
「あなた方はどうしたのですか。悪いことをなさって天から落とされたお方ではないように思われますが。」
 鯨が横から口を出しました。
「こいつらは追放の書き付けも持ってませんよ。」
 海蛇が凄い目をして鯨をにらみつけて云いました。
「黙っておいで。生意気な。このお方がたをこいつらなんてお前がどうして云えるんだ。お前には善い事をしていた人の頭の上の後光が見えないのだ。悪い事をしたものなら頭の上に黒い影法師が口をあいているからすぐわかる。お星さま方。こちらへお出で下さい。王の所へご案内申しあげましょう。おい、ひとで。あかりをともせ。こら、くじら。あんまり暴れてはいかんぞ。」
 くじらが頭をかいて平伏しました。
 愕ろいた事には赤い光のひとでが幅のひろい二列にぞろっとならんで丁度街道のあかりのようです。
「さあ、参りましょう。」海蛇は白髪を振って恭々しく申しました。二人はそれに続いてひとでの間を通りました。まもなく蒼ぐろい水あかりの中に大きな白い城の門があってその扉がひとりでに開いて中から沢山の立派な海蛇が出て参りました。そして双子のお星さまだちは海蛇の王さまの前に導かれました。王様は白い長い髯の生えた老人でにこにこわらって云いました。
「あなた方はチュンセ童子にポウセ童子。よく存じて居ります。あなた方が前にあの空の蠍の悪い心を命がけでお直しになった話はここへも伝わって居ります。私はそれをこちらの小学校の読本にも入れさせました。さて今度はとんだ災難で定めしびっくりなさったでしょう。」
 チュンセ童子が申しました。

275 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:25.10 ID:Pf0B8TeHa.net
保守

276 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:31.25 ID:KVGA9fsOp.net
キンキンキンキン!

277 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:35.24 ID:r5hnJnJTp.net
「こればかりは、止せないよ」
 彼はそう言い言いしては、その窓際の望遠鏡を覗くことを、こよなき楽しみにしていましたが、考えてみれば、ずいぶん面白いたずらに違いありません。
私も時には覗かしてもらうこともありましたけれど、偶然妙なものを、すぐ目の前に発見したりして、いっそ顔の赤らむようなこともないではありませんでした。
 そのほか、たとえば、サブマリン・テレスコープといいますか、潜航艇の中から海上を眺める、あの装置をこしらえて、彼の部屋に居ながら、雇人たちの、殊ことに若い小間使いなどの私室を、少しも相手に悟られることなく覗いてみたり、そうかと思うと、虫目がねや、顕微鏡によって、微生物の生活を観察したり、それについて奇抜なのは、彼が蚤のみの類を飼育していたことで、それを虫目がねや度の弱い顕微鏡の下で、這はわせてみたり、自分の血を吸うところだとか、虫同士をひとつにして同性であれば喧嘩けんかをしたり、異性であれば仲良くしたりする有様を眺めたり、中にも気味のわるいのは、私は一度それを覗かされてからというものは、今までなんとも思っていなかったあの虫が、妙に恐ろしくなったほどなのですが、蚤を半殺しにしておいて、そのもがき苦しむ有様を、非常に大きく拡大して見ることでした。
五十倍の顕微鏡でしたが、覗いた感じでは、一匹の蚤が眼界一杯にひろがって、口から、足の爪つめ、からだにはえている小さな一本の毛までがハッキリとわかって、妙な比喩ひゆですが、まるで猪いのししのように恐ろしい大きさに見えるのです。それがドス黒い血の海の中で(僅か一滴の血潮がそんなに見えるのです)背中半分をぺちゃんこにつぶされて、手足で空をつかんで、くちばしをできるだけ伸ばし、断末魔の物凄い形相をしています。何かその口から恐ろしい悲鳴が聞こえているようにすら感じられるのであります。

278 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:35.67 ID:vw6w6tiW0.net
>>263
んなわけないだろ草

279 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:36.01 ID:dpSb4+jm0.net
同時上映とっとこハム太郎してええか?

280 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:39.40 ID:KILMdFp60.net
捕手

281 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:40.45 ID:VlrLnVxzM.net
「これはお語誠に恐れ入ります。私共はもう天上にも帰れませんしできます事ならこちらで何なりみなさまのお役に立ちたいと存じます。」
 王が云いました。
「いやいや、そのご謙遜は恐れ入ります。早速竜巻に云いつけて天上にお送りいたしましょう。お帰りになりましたらあなたの王様に海蛇めが宜しく申し上げたと仰っしゃって下さい。」
 ポウセ童子が悦んで申しました。
「それでは王様は私共の王様をご存じでいらっしゃいますか。」
 王はあわてて椅子を下って申しました。
「いいえ、それどころではございません。王様はこの私の唯一人の王でございます。遠いむかしから私めの先生でございます。私はあのお方の愚かなしもべでございます。いや、まだおわかりになりますまい。けれどもやがておわかりでございましょう。それでは夜の明けないうちに竜巻にお伴致させます。これ、これ。支度はいいか。」
 一疋のけらいの海蛇が
「はい、ご門の前にお待ちいたして居ります。」と答えました。
 二人は丁寧に王にお辞儀をいたしました。

282 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:42.44 ID:Tnxck5+va.net
 ですが、彼の方では、その時やっぱり凹面鏡を覗いて、これはまた私とあべこべで、恐ろしく思うよりは、非常な魅力を感じたものとみえ、教室全体に響き渡るような声で、「ホウ」と感嘆の叫びを上げたものなんです。それがあまり頓狂とんきょうに聞こえたものですから、その時は大笑いになりましたが、さてそれからというものは、彼はもう凹面鏡で夢中なんです。大小さまざまの凹面鏡を買いこんで、針金だとかボール紙などを使い、複雑なからくり仕掛けをこしらえては、独りほくそ笑んでいる始末でした。さすが好きな道だけあって、彼は人の思いもつかぬような、変てこな装置を考案する才能を持っていて、もっとも手品の本などをわざわざ外国から取り寄せたりしたのですけれど、今でも不思議に堪えないのは、これも或あるとき彼の部屋をおとずれて、驚かされたのですが、魔法の紙幣というからくり仕掛けでありました。
 それは、二尺四方ほどの、四角なボール箱で、前の方に建物の入口のような穴があいていて、そこのところに一円札が五、六枚、ちょうど状差しの中のハガキのように、差してあるのです。
「このおさつを取ってごらん」
 その箱を私の前に持ち出して、彼は何食わぬ顔で紙幣を取れというのです。そこで、私はいわれるままに手を出して、ヒョイとその紙幣を取ろうとしたのですが、なんとまあ不思議なことには、ありありと眼に見えているその紙幣が、手を持って行ってみますと、煙のように手ごたえがないではありませんか。あんな驚いたことはありませんね。
「オヤ」
 とたまげている私の顔を見て、彼はさも面白そうに笑いながら、さて説明してくれたところによりますと、それは英国でしたかの物理学者が考案した一種の手品で、種はやっぱり凹面鏡なのです。詳しい理窟りくつはよく覚えていませんけれど、本ものの紙幣は箱の下へ横に置いて、その上に斜めに凹面鏡を装置し、電灯を箱の内部に引き込み、光線が紙幣に当たるようにすると、凹面鏡の焦点からどれだけの距離にある物体は、どういう角度で、どの辺にその像を結ぶという理論によって、うまく箱の穴へ紙幣が現われるのだそうです。普通の鏡ですと、決して本ものがそこにあるようには見えませんけれど、凹面鏡では不思議にもそんな実像を結ぶというのですね。ほんとうにもう、ありありとそこにあるのですからね。
 かようにして、彼のレンズや鏡に対する異常なる嗜好は、だんだんと嵩こうじて行くばかりでしたが、やがて中学を卒業しますと、彼は上の学校にはいろうともしないで、ひとつは親たちも甘過ぎたのですね、息子の言うことならば、たいていは無理を通してくれるものですから、学校を出ると、もうひとかどおとなになった気で、庭の空き地にちょっとした実験室を新築して、その中で、例の不思議な道楽をはじめたものです。

283 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:44.40 ID:LJSaEkP6a.net
>>270
さんがつ
最悪落ちたらねっとで探したら出てくるか

284 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:45.75 ID:PES6ndF90.net
これワイもなんか名作劇場やっといた方がええんか?

285 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:47.28 ID:fWaCH8Xf0.net
膣ゴーレム前にも見た気がするけどこんな話やったんか
これと学園で俺さんに剣術試合で負けた女騎士がヤンデレになって魔物になって女勇者とヤりまくるのは定期的に再放送してンな

286 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:49.68 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「頼む……聖剣……俺の全部を投げ出していい……」

俺「だからっ! こいつにだけは勝たせてくれっ!」ザンッ

長髪「……おっと」スッ

長髪「俺が避けることになるとはな。今のはそれなり……」ポタッ

長髪「……ア、血……?」

287 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:55.44 ID:Tnxck5+va.net
 ですが、彼の方では、その時やっぱり凹面鏡を覗いて、これはまた私とあべこべで、恐ろしく思うよりは、非常な魅力を感じたものとみえ、教室全体に響き渡るような声で、「ホウ」と感嘆の叫びを上げたものなんです。それがあまり頓狂とんきょうに聞こえたものですから、その時は大笑いになりましたが、さてそれからというものは、彼はもう凹面鏡で夢中なんです。大小さまざまの凹面鏡を買いこんで、針金だとかボール紙などを使い、複雑なからくり仕掛けをこしらえては、独りほくそ笑んでいる始末でした。さすが好きな道だけあって、彼は人の思いもつかぬような、変てこな装置を考案する才能を持っていて、もっとも手品の本などをわざわざ外国から取り寄せたりしたのですけれど、今でも不思議に堪えないのは、これも或あるとき彼の部屋をおとずれて、驚かされたのですが、魔法の紙幣というからくり仕掛けでありました。
 それは、二尺四方ほどの、四角なボール箱で、前の方に建物の入口のような穴があいていて、そこのところに一円札が五、六枚、ちょうど状差しの中のハガキのように、差してあるのです。
「このおさつを取ってごらん」
 その箱を私の前に持ち出して、彼は何食わぬ顔で紙幣を取れというのです。そこで、私はいわれるままに手を出して、ヒョイとその紙幣を取ろうとしたのですが、なんとまあ不思議なことには、ありありと眼に見えているその紙幣が、手を持って行ってみますと、煙のように手ごたえがないではありませんか。あんな驚いたことはありませんね。
「オヤ」
 とたまげている私の顔を見て、彼はさも面白そうに笑いながら、さて説明してくれたところによりますと、それは英国でしたかの物理学者が考案した一種の手品で、種はやっぱり凹面鏡なのです。詳しい理窟りくつはよく覚えていませんけれど、本ものの紙幣は箱の下へ横に置いて、その上に斜めに凹面鏡を装置し、電灯を箱の内部に引き込み、光線が紙幣に当たるようにすると、凹面鏡の焦点からどれだけの距離にある物体は、どういう角度で、どの辺にその像を結ぶという理論によって、うまく箱の穴へ紙幣が現われるのだそうです。普通の鏡ですと、決して本ものがそこにあるようには見えませんけれど、凹面鏡では不思議にもそんな実像を結ぶというのですね。ほんとうにもう、ありありとそこにあるのですからね。
 かようにして、彼のレンズや鏡に対する異常なる嗜好は、だんだんと嵩こうじて行くばかりでしたが、やがて中学を卒業しますと、彼は上の学校にはいろうともしないで、ひとつは親たちも甘過ぎたのですね、息子の言うことならば、たいていは無理を通してくれるものですから、学校を出ると、もうひとかどおとなになった気で、庭の空き地にちょっとした実験室を新築して、その中で、例の不思議な道楽をはじめたものです。

288 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:35:59.64 ID:7DGNa38Id.net
>>279
ええぞ

289 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:36:00.65 ID:NLHpwj8y0.net
やばいチュンセ童子がきになってきた

290 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:36:03.01 ID:003bMtMt0.net
>>276
愛川欽也×2

291 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:36:03.51 ID:lYV9ERpb0.net
>>263
生放送や

292 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:36:08.16 ID:3h9P9K3Yd.net
正直そこら辺のなろうより頭2つくらい抜けてるよなこの作品

293 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:36:39.76 ID:Pf0B8TeHa.net
保守

294 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:36:46.56 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「掠り傷だが……ようやく当たった……」ゼェゼェ

長髪(こいつ、戦いの中で、急成長してやがる……)

俺「勝負はここから……」

長髪「いい、いいねェ……60点をくれてやる」ニィィィ

俺「っ!」ゾクッ

長髪「これでようやく、俺も本気で戦える」

俺「……は?」

長髪「ここからは一切手ェ抜かねぇから、すぐ死ぬんじゃねえぞ」

295 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:36:47.87 ID:vw6w6tiW0.net
多分コムケの方は オレ って単語入ってるだろ
NGO入れてるからsc行かなきゃ読めん

296 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:36:48.45 ID:cqUpjgpv0.net
コムケーこんな強かったんか
これは皇室にふさわしい最高の男!

297 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:36:49.05 ID:LJSaEkP6a.net
作品名だけ教えて欲しいわ

298 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:36:50.24 ID:fWaCH8Xf0.net
子どものころの夢は 色褪せない落書きで

299 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:03.38 ID:VlrLnVxzM.net
「それでは王様、ごきげんよろしゅう。いずれ改めて空からお礼を申しあげます。このお宮のいつまでも栄えますよう。」
 王は立って云いました。
「あなた方もどうかますます立派にお光り下さいますよう。それではごきげんよろしゅう。」
 けらいたちが一度に恭々しくお辞儀をしました。
 童子たちは門の外に出ました。
 竜巻が銀のとぐろを巻いてねています。
 一人の海蛇が二人をその頭に載せました。
 二人はその角に取りつきました。
 その時赤い光のひとでが沢山出て来て叫びました。
「さよなら、どうか空の王様によろしく。私どももいつか許されますようおねがいいたします。」
 二人は一緒に云いました。
「きっとそう申しあげます。やがて空でまたお目にかかりましょう。」
 竜巻がそろりそろりと立ちあがりました。
「さよなら、さよなら。」
 竜巻はもう頭をまっくろな海の上に出しました。と思うと急にバリバリバリッと烈しい音がして竜巻は水と一所に矢のように高く高くはせのぼりました。
 まだ夜があけるのに余程間があります。天の川がずんずん近くなります。二人のお宮がもうはっきり見えます。
「一寸あれをご覧なさい。」と闇の中で竜巻が申しました。
 見るとあの大きな青白い光りのほうきぼしはばらばらにわかれてしまって頭も尾も胴も別々にきちがいのような凄い声をあげガリガリ光ってまっ黒な海の中に落ちて行きます。

300 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:07.21 ID:7DGNa38Id.net
>>285
なんやそれ見たい

301 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:12.47 ID:lYV9ERpb0.net
>>285
それと僕っ子女勇者のやつが好き
もっとイチャラブかいて😍

302 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:16.07 ID:Pf0B8TeHa.net
負けそう

303 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:17.55 ID:kDRAHPbt0.net
>>297
こういうSSはスレタイがそのままタイトルや

304 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:30.63 ID:dpSb4+jm0.net
★テルネ イドマ マルチビ ダ−パン
ウシコ ハムトラ ボンチャンリ
ブルカ タロハム フラーマ ショウタイ
ガネメ ポノツ ガリトン
トットコ ハムハム トットコ モヒモヒ
トットコ クシクシヘッケヘケ!!!!

305 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:30.80 ID:003bMtMt0.net
>>292
こういうSSと小説の違いは地の文でしっかり説明できてるかどうかだね

306 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:36.26 ID:VlrLnVxzM.net
「あいつはなまこになりますよ。」と竜巻がしずかに云いました。
 もう空の星めぐりの歌が聞えます。
 そして童子たちはお宮につきました。
 竜巻は二人をおろして
「さよなら、ごきげんよろしゅう」と云いながら風のように海に帰って行きました。
 双子のお星さまはめいめいのお宮に昇りました。そしてきちんと座って見えない空の王様に申しました。
「私どもの不注意からしばらく役目を欠かしましてお申し訳けございません。それにもかかわらず今晩はおめぐみによりまして不思議に助かりました。海の王様が沢山の尊敬をお伝えして呉れと申されました。それから海の底のひとでがお慈悲をねがいました。又私どもから申しあげますがなまこももしできますならお許しを願いとう存じます。」
 そして二人は銀笛をとりあげました。
 東の空が黄金色になり、もう夜明けに間もありません。




おしまい

307 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:38.85 ID:Tnxck5+va.net
 ですが、彼の方では、その時やっぱり凹面鏡を覗いて、これはまた私とあべこべで、恐ろしく思うよりは、非常な魅力を感じたものとみえ、教室全体に響き渡るような声で、「ホウ」と感嘆の叫びを上げたものなんです。それがあまり頓狂とんきょうに聞こえたものですから、その時は大笑いになりましたが、さてそれからというものは、彼はもう凹面鏡で夢中なんです。大小さまざまの凹面鏡を買いこんで、針金だとかボール紙などを使い、複雑なからくり仕掛けをこしらえては、独りほくそ笑んでいる始末でした。さすが好きな道だけあって、彼は人の思いもつかぬような、変てこな装置を考案する才能を持っていて、もっとも手品の本などをわざわざ外国から取り寄せたりしたのですけれど、今でも不思議に堪えないのは、これも或あるとき彼の部屋をおとずれて、驚かされたのですが、魔法の紙幣というからくり仕掛けでありました。
 それは、二尺四方ほどの、四角なボール箱で、前の方に建物の入口のような穴があいていて、そこのところに一円札が五、六枚、ちょうど状差しの中のハガキのように、差してあるのです。
「このおさつを取ってごらん」
 その箱を私の前に持ち出して、彼は何食わぬ顔で紙幣を取れというのです。そこで、私はいわれるままに手を出して、ヒョイとその紙幣を取ろうとしたのですが、なんとまあ不思議なことには、ありありと眼に見えているその紙幣が、手を持って行ってみますと、煙のように手ごたえがないではありませんか。あんな驚いたことはありませんね。
「オヤ」
 とたまげている私の顔を見て、彼はさも面白そうに笑いながら、さて説明してくれたところによりますと、それは英国でしたかの物理学者が考案した一種の手品で、種はやっぱり凹面鏡なのです。詳しい理窟りくつはよく覚えていませんけれど、本ものの紙幣は箱の下へ横に置いて、その上に斜めに凹面鏡を装置し、電灯を箱の内部に引き込み、光線が紙幣に当たるようにすると、凹面鏡の焦点からどれだけの距離にある物体は、どういう角度で、どの辺にその像を結ぶという理論によって、うまく箱の穴へ紙幣が現われるのだそうです。普通の鏡ですと、決して本ものがそこにあるようには見えませんけれど、凹面鏡では不思議にもそんな実像を結ぶというのですね。ほんとうにもう、ありありとそこにあるのですからね。
 かようにして、彼のレンズや鏡に対する異常なる嗜好は、だんだんと嵩こうじて行くばかりでしたが、やがて中学を卒業しますと、彼は上の学校にはいろうともしないで、ひとつは親たちも甘過ぎたのですね、息子の言うことならば、たいていは無理を通してくれるものですから、学校を出ると、もうひとかどおとなになった気で、庭の空き地にちょっとした実験室を新築して、その中で、例の不思議な道楽をはじめたものです。

308 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:47.95 ID:nuF84mt80.net
>>292
おかしい

309 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:52.22 ID:LJSaEkP6a.net
>>303
さんがつや

310 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:54.02 ID:dpSb4+jm0.net
言いたいこと uh uh uh なんでも言える
テストで100点取れちゃう かもね

ライバルチーム uh uh uh 絶対勝てる
逆転ゴールも決めちゃう かもね
 
ya ya ya ya ya ねえ知ってる? 教えてあげる
ya ya ya ya ya 秘密の 不思議なジュモンだよ!!!

311 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:56.26 ID:vw6w6tiW0.net
>>306
もう一本どうぞ

312 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:37:57.26 ID:ZKs/aiM7a.net
名作劇場のほうも気になるんやけど文字がぎっちりすぎて読みにくいわ
もうちょい読みやすくしてくれると助かる

313 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:08.68 ID:itU7zeqn0.net
>>84
へぇっ!?

314 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:08.71 ID:Pf0B8TeHa.net
保守

315 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:15.82 ID:003bMtMt0.net
>>295
入ってないぞ

316 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:19.98 ID:KhSd0uAIa.net
だれか雪の宿放送してくれ

317 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:22.14 ID:JRUB6fKs0.net
ゴレームってイメージはゴーレムでいいんか?

318 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:24.93 ID:2zqa87Vta.net
ガソリンの味知っとるか?

319 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:31.42 ID:ZM/x6TSh0.net
>>305
台詞と効果音だけですすめるからな、

320 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:34.71 ID:dpSb4+jm0.net
大好きだって uh uh uh 言えちゃうかもね
あいつとカップルなれちゃう かもね

日曜きっと uh uh uh ピーカン晴れる
みんなでいっぱい遊ぼう wo wo wo

ya ya ya ya ya ホントかな? うまく行くかな
ya ya ya ya ya Let's try again 不思議なジュモンだよ

321 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:37.67 ID:q3pYnUE80.net
>>216
サンキューコムケイ

322 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:45.95 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「あああああああああっ!!」

キンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!

長髪(この感覚だ……)

長髪(アア、ずっと忘れていた)

長髪(ひ弱な雑魚共への一方的な狩りじゃあねぇ)

長髪(魔物みたいな抜け殻相手じゃねェ)

長髪(信念と意地の伴った相手との、ホンモノの命の奪い合い)ニィィィ

323 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:46.27 ID:wSfqnWmv0.net
ステータスもっと使えよ

324 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:51.34 ID:FjBlEz2jM.net
これは、私が小さいときに、村の茂平というおじいさんからきいたお話です。
 むかしは、私たちの村のちかくの、中山というところに小さなお城があって、中山さまというおとのさまが、おられたそうです。

 その中山から、少しはなれた山の中に、「ごん狐」という狐がいました。ごんは、一人ぼっちの小狐で、しだの一ぱいしげった森の中に穴をほって住んでいました。そして、夜でも昼でも、あたりの村へ出てきて、いたずらばかりしました。はたけへ入って芋をほりちらしたり、菜種がらの、ほしてあるのへ火をつけたり、百姓家の裏手につるしてあるとんがらしをむしりとって、いったり、いろんなことをしました。
 或秋のことでした。二、三日雨がふりつづいたその間、ごんは、外へも出られなくて穴の中にしゃがんでいました。

 雨があがると、ごんは、ほっとして穴からはい出ました。空はからっと晴れていて、百舌鳥の声がきんきん、ひびいていました。

 ごんは、村の小川の堤まで出て来ました。あたりの、すすきの穂には、まだ雨のしずくが光っていました。川は、いつもは水が少いのですが、三日もの雨で、水が、どっとましていました。ただのときは水につかることのない、川べりのすすきや、萩の株が、黄いろくにごった水に横だおしになって、もまれています。ごんは川下の方へと、ぬかるみみちを歩いていきました。
. ふと見ると、川の中に人がいて、何かやっています。ごんは、見つからないように、そうっと草の深いところへ歩きよって、そこからじっとのぞいてみました。

「兵十だな」と、ごんは思いました。兵十はぼろぼろの黒いきものをまくし上げて、腰のところまで水にひたりながら、魚をとる、はりきりという、網をゆすぶっていました。はちまきをした顔の横っちょうに、まるい萩の葉が一まい、大きな黒子みたいにへばりついていました。

325 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:52.50 ID:Pf0B8TeHa.net
偽白魔道士のとこまでしか
読めんかったから新鮮や

326 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:38:54.20 ID:vw6w6tiW0.net
>>315
漢字でオレって入ってない?

327 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:39:03.97 ID:lxUHlwAt0.net
>>306
なまこ食べたくなったわ

328 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:39:06.27 ID:ocvC6kW10.net
>>305
SSじゃないなろう小説読んだことないけどなろうってセリフの後にニチャアとかニヤリとかつけるもんなん?

329 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:39:07.16 ID:2zqa87Vta.net
3
3









330 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:39:14.34 ID:3tacs+vla.net
キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!

331 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:39:17.24 ID:uavpVPwa0.net
>>322
キンキンキンキンきたあああああああ

332 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:39:20.02 ID:KVGA9fsOp.net
このssって大体病気治して槍の人が惚れるとこまでしかロクに見れないから
ようわからん長髪の人と戦ってる件初めて見た

333 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:39:32.42 ID:FjBlEz2jM.net
 しばらくすると、兵十は、はりきり網の一ばんうしろの、袋のようになったところを、水の中からもちあげました。その中には、芝の根や、草の葉や、くさった木ぎれなどが、ごちゃごちゃはいっていましたが、でもところどころ、白いものがきらきら光っています。それは、ふというなぎの腹や、大きなきすの腹でした。兵十は、びくの中へ、そのうなぎやきすを、ごみと一しょにぶちこみました。そして、また、袋の口をしばって、水の中へ入れました。

 兵十はそれから、びくをもって川から上りびくを土手においといて、何をさがしにか、川上の方へかけていきました。

 兵十がいなくなると、ごんは、ぴょいと草の中からとび出して、びくのそばへかけつけました。ちょいと、いたずらがしたくなったのです。ごんはびくの中の魚をつかみ出しては、はりきり網のかかっているところより下手の川の中を目がけて、ぽんぽんなげこみました。どの魚も、「とぼん」と音を立てながら、にごった水の中へもぐりこみました。

 一ばんしまいに、太いうなぎをつかみにかかりましたが、何しろぬるぬるとすべりぬけるので、手ではつかめません。ごんはじれったくなって、頭をびくの中につッこんで、うなぎの頭を口にくわえました。うなぎは、キュッと言ってごんの首へまきつきました。そのとたんに兵十が、向うから、
「うわアぬすと狐め」と、どなりたてました。ごんは、びっくりしてとびあがりました。うなぎをふりすててにげようとしましたが、うなぎは、ごんの首にまきついたままはなれません。ごんはそのまま横っとびにとび出して一しょうけんめいに、にげていきました。

 ほら穴の近くの、はんの木の下でふりかえって見ましたが、兵十は追っかけては来ませんでした。
 ごんは、ほっとして、うなぎの頭をかみくだき、やっとはずして穴のそとの、草の葉の上にのせておきました。

334 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:39:43.24 ID:lYV9ERpb0.net
>>292
描写がすんなり頭に入ってくる時点で実力ある気がする
なろう作品がどれだけヤバいのか知らんけど

335 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:39:45.11 ID:7DGNa38Id.net
>>328
つけない

336 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:39:47.97 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「…………」ゼェゼェ

キンキンキンッ!

長髪「わかってんだろ、もう」

長髪「オメェは凄い速さで成長してやがるが……」

長髪「俺に会うのが十年早かったンだわ」ザシュッ

俺「ぐはっ!」

337 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:39:51.74 ID:KQquYcgUa.net
ごんぎつねで泣く

338 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:39:56.15 ID:003bMtMt0.net
>>326
主人公だな
スレタイにもあるだろ

339 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:40:00.48 ID:NLHpwj8y0.net
力一杯叩きつけて受け止めてキンキンキンキンとか渇いた音になるもんなの

340 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:40:07.90 ID:LJSaEkP6a.net
この戦いで両戦死で終わりかな?
もしくは白魔道士のデブが助けてくれるやつか?

341 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:40:11.94 ID:FjBlEz2jM.net


 十日ほどたって、ごんが、弥助というお百姓の家の裏を通りかかりますと、そこの、いちじくの木のかげで、弥助の家内が、おはぐろをつけていました。鍛冶屋の新兵衛の家のうらを通ると、新兵衛の家内が髪をすいていました。ごんは、
「ふふん、村に何かあるんだな」と、思いました。
「何だろう、秋祭かな。祭なら、太鼓や笛の音がしそうなものだ。それに第一、お宮にのぼりが立つはずだが」

 こんなことを考えながらやって来ますと、いつの間にか、表に赤い井戸のある、兵十の家の前へ来ました。その小さな、こわれかけた家の中には、大勢の人があつまっていました。よそいきの着物を着て、腰に手拭をさげたりした女たちが、表のかまどで火をたいています。大きな鍋の中では、何かぐずぐず煮えていました。

「ああ、葬式だ」と、ごんは思いました。
「兵十の家のだれが死んだんだろう」
 お午がすぎると、ごんは、村の墓地へ行って、六地蔵さんのかげにかくれていました。いいお天気で、遠く向うには、お城の屋根瓦が光っています。墓地には、ひがん花が、赤い布のようにさきつづいていました。と、村の方から、カーン、カーン、と、鐘が鳴って来ました。葬式の出る合図です。

342 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:40:15.35 ID:Pf0B8TeHa.net
負けないで……

343 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:40:37.84 ID:KILMdFp60.net
がんばえー!

344 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:40:41.83 ID:PES6ndF90.net
この、奇妙な、しかし考えようによってはこの上もなく真面目な、だが照明の当て具合ひとつでは信じられないほど滑稽な、また見方を変えれば呆気ないぐらい他愛もない、それでいて心ある人びとにはすこぶる含蓄に富んだ、その反面この国の権力を握るお偉方やその取り巻き連中には無償に腹立たしい、一方常に材料不足を託つテレビや新聞や週刊紙にとっては甚だおあつらえ向きの、したがって高みの見物席の野次馬諸公にははらはらどきどきわくわくの、にもかかわらず法律学者や言語学者にはいらいらくよくよストレスノイローゼの原因になったこの事件を語り起こすのにあたって、いったいどこから書き始めたらよいのかと、記録係はだいぶ迷い、かなり頭を痛め、ない知恵をずいぶんと絞った

345 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:40:45.45 ID:4hW6Q3+2a.net
3
3









346 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:40:46.28 ID:FjBlEz2jM.net
 やがて、白い着物を着た葬列のものたちがやって来るのがちらちら見えはじめました。話声も近くなりました。葬列は墓地へはいって来ました。人々が通ったあとには、ひがん花が、ふみおられていました。

 ごんはのびあがって見ました。兵十が、白いかみしもをつけて、位牌をささげています。いつもは、赤いさつま芋みたいな元気のいい顔が、きょうは何だかしおれていました。
「ははん、死んだのは兵十のおっ母だ」
 ごんはそう思いながら、頭をひっこめました。

 その晩、ごんは、穴の中で考えました。
「兵十のおっ母は、床についていて、うなぎが食べたいと言ったにちがいない。それで兵十がはりきり網をもち出したんだ。ところが、わしがいたずらをして、うなぎをとって来てしまった。だから兵十は、おっ母にうなぎを食べさせることができなかった。そのままおっ母は、死んじゃったにちがいない。ああ、うなぎが食べたい、うなぎが食べたいとおもいながら、死んだんだろう。ちょッ、あんないたずらをしなけりゃよかった。」

347 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:40:50.61 ID:FU/VMpF50.net
ごんー!

348 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:40:58.58 ID:Kc6YEE+l0.net
>>339
sekiroみたいな感じやろ

349 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:07.34 ID:cL8EateR0.net
>>340
なんやかんやあって女侯爵が俺さんに惚れるオチだろ

350 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:09.52 ID:AuqHlb1r0.net
里崎

351 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:14.30 ID:QJsn5rxfa.net
ごんすき

352 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:17.70 ID:NLHpwj8y0.net
兵十のおっ母かわいそう

353 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:21.51 ID:7DGNa38Id.net
多分このssなろうでやったら批判されるやろ

354 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:27.54 ID:aIXuJGYpa.net
おっ母…

355 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:29.82 ID:003bMtMt0.net
>>325
正直同時上映のおかげだな
昔の映画もびっくりのn本立て

356 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:34.97 ID:lvjow6nl0.net
膣ゴレーム久々に見た

357 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:38.26 ID:FjBlEz2jM.net


 兵十が、赤い井戸のところで、麦をといでいました。
 兵十は今まで、おっ母と二人きりで、貧しいくらしをしていたもので、おっ母が死んでしまっては、もう一人ぼっちでした。
「おれと同じ一人ぼっちの兵十か」
 こちらの物置の後から見ていたごんは、そう思いました。
 ごんは物置のそばをはなれて、向うへいきかけますと、どこかで、いわしを売る声がします。
「いわしのやすうりだアい。いきのいいいわしだアい」

 ごんは、その、いせいのいい声のする方へ走っていきました。と、弥助のおかみさんが、裏戸口から、
「いわしをおくれ。」と言いました。いわし売は、いわしのかごをつんだ車を、道ばたにおいて、ぴかぴか光るいわしを両手でつかんで、弥助の家の中へもってはいりました。ごんはそのすきまに、かごの中から、五、六ぴきのいわしをつかみ出して、もと来た方へかけだしました。そして、兵十の家の裏口から、家の中へいわしを投げこんで、穴へ向ってかけもどりました。途中の坂の上でふりかえって見ますと、兵十がまだ、井戸のところで麦をといでいるのが小さく見えました。

 ごんは、うなぎのつぐないに、まず一つ、いいことをしたと思いました。
 つぎの日には、ごんは山で栗をどっさりひろって、それをかかえて、兵十の家へいきました。裏口からのぞいて見ますと、兵十は、午飯をたべかけて、茶椀をもったまま、ぼんやりと考えこんでいました。へんなことには兵十の頬ぺたに、かすり傷がついています。どうしたんだろうと、ごんが思っていますと、兵十がひとりごとをいいました。

「一たいだれが、いわしなんかをおれの家へほうりこんでいったんだろう。おかげでおれは、盗人と思われて、いわし屋のやつに、ひどい目にあわされた」と、ぶつぶつ言っています。

 ごんは、これはしまったと思いました。かわいそうに兵十は、いわし屋にぶんなぐられて、あんな傷までつけられたのか。
 ごんはこうおもいながら、そっと物置の方へまわってその入口に、栗をおいてかえりました。

 つぎの日も、そのつぎの日もごんは、栗をひろっては、兵十の家へもって来てやりました。そのつぎの日には、栗ばかりでなく、まつたけも二、三ぼんもっていきました。

358 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:40.60 ID:4hW6Q3+2a.net
3
3









359 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:48.22 ID:wR2fvslk0.net
奴隷商人が惚れてる設定嫌い

360 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:54.15 ID:AuqHlb1r0.net
里崎

361 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:58.64 ID:XaektB/RH.net
関係ないけどコムケイってなんであんな口調になったんやろな

362 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:41:58.62 ID:NLHpwj8y0.net
>>349
それ奴隷の娘またターゲットにされませんかね…

363 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:10.35 ID:cL8EateR0.net
>>346
ちょッ すき

364 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:12.65 ID:LWYY0A4Sd.net
やっぱコムKって日本の新天皇やわ

365 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:14.16 ID:KhSd0uAIa.net
恩讐の彼方にもみたいぞ

366 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:17.89 ID:FjBlEz2jM.net


 月のいい晩でした。ごんは、ぶらぶらあそびに出かけました。中山さまのお城の下を通ってすこしいくと、細い道の向うから、だれか来るようです。話声が聞えます。チンチロリン、チンチロリンと松虫が鳴いています。
 ごんは、道の片がわにかくれて、じっとしていました。話声はだんだん近くなりました。それは、兵十と加助というお百姓でした。

「そうそう、なあ加助」と、兵十がいいました。
「ああん?」
「おれあ、このごろ、とてもふしぎなことがあるんだ」
「何が?」
「おっ母が死んでからは、だれだか知らんが、おれに栗やまつたけなんかを、まいにちまいにちくれるんだよ」
「ふうん、だれが?」
「それがわからんのだよ。おれの知らんうちに、おいていくんだ」
 ごんは、ふたりのあとをつけていきました。
「ほんとかい?」
「ほんとだとも。うそと思うなら、あした見に来いよ。その栗を見せてやるよ」
「へえ、へんなこともあるもんだなア」

 それなり、二人はだまって歩いていきました。
 加助がひょいと、後を見ました。ごんはびくっとして、小さくなってたちどまりました。加助は、ごんには気がつかないで、そのままさっさとあるきました。吉兵衛というお百姓の家まで来ると、二人はそこへはいっていきました。ポンポンポンポンと木魚の音がしています。窓の障子にあかりがさしていて、大きな坊主頭がうつって動いていました。ごんは、
「おねんぶつがあるんだな」と思いながら井戸のそばにしゃがんでいました。しばらくすると、また三人ほど、人がつれだって吉兵衛の家へはいっていきました。お経を読む声がきこえて来ました。

367 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:24.81 ID:EGO/y1Ok0.net
俺(ここで……負けられないんだ……!)

俺(俺の、命に代えても……!)

俺「うおおおおおおおおおおおおっ!」

長髪(自棄の猛進……じゃなくて、勢いで俺を背後の崖に叩き落とすのが狙いか)チラッ

長髪「有利な場所に誘導しようって考えは悪くなかったが……ンな手で俺をヤレると本気で……」ガッ

俺(剣を弾かれたっ!)

長髪「思ってたのかァ!」ザクッ

368 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:26.05 ID:wR2fvslk0.net
>>88
ここ経験人数1人増えてて欲しかった
治療の隙にデブにレイプされてんの

369 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:28.32 ID:lxUHlwAt0.net
ごん

370 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:37.02 ID:vCZOkBMPa.net
こむK強ンだわ

371 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:38.49 ID:MDBo8n7nM.net
同時上映【山月記】に草

しかも同時上映のほうが面白い

372 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:39.70 ID:003bMtMt0.net
>>346
ごんはキムタクだったのか

373 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:41.28 ID:lYV9ERpb0.net
やっぱなろうの剣撃の描写のテンプレはキンキンキンッ!なんやね
もっと他にかっこええの無いんか…

374 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:42.77 ID:LJSaEkP6a.net
ごんぎつね始まってるやんけ!!

375 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:42:58.45 ID:FjBlEz2jM.net


 ごんは、おねんぶつがすむまで、井戸のそばにしゃがんでいました。兵十と加助は、また一しょにかえっていきます。ごんは、二人の話をきこうと思って、ついていきました。兵十の影法師をふみふみいきました。

 お城の前まで来たとき、加助が言い出しました。
「さっきの話は、きっと、そりゃあ、神さまのしわざだぞ」
「えっ?」と、兵十はびっくりして、加助の顔を見ました。
「おれは、あれからずっと考えていたが、どうも、そりゃ、人間じゃない、神さまだ、神さまが、お前がたった一人になったのをあわれに思わっしゃって、いろんなものをめぐんで下さるんだよ」
「そうかなあ」
「そうだとも。だから、まいにち神さまにお礼を言うがいいよ」
「うん」

 ごんは、へえ、こいつはつまらないなと思いました。おれが、栗や松たけを持っていってやるのに、そのおれにはお礼をいわないで、神さまにお礼をいうんじゃア、おれは、引き合わないなあ。

376 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:43:07.56 ID:7DGNa38Id.net
>>368


377 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:43:12.37 ID:lxUHlwAt0.net
>>365
復讐しに行ったら相手が改心してて洞窟掘り進むやつやっけ?

378 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:43:18.59 ID:LJSaEkP6a.net
>>371
そらそうよ

379 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:43:21.56 ID:nuF84mt80.net
でも書けって言われて書けるものではないよな

380 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:43:22.33 ID:NLHpwj8y0.net
>>368
酷すぎませんかね

381 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:43:22.71 ID:+Ycft38Er.net
捕手

382 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:43:32.02 ID:Pf0B8TeHa.net
ワイはちゃんと読んでるで

383 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:43:49.73 ID:FjBlEz2jM.net


 そのあくる日もごんは、栗をもって、兵十の家へ出かけました。兵十は物置で縄をなっていました。それでごんは家の裏口から、こっそり中へはいりました。
 そのとき兵十は、ふと顔をあげました。と狐が家の中へはいったではありませんか。こないだうなぎをぬすみやがったあのごん狐めが、またいたずらをしに来たな。
「ようし。」

 兵十は立ちあがって、納屋にかけてある火縄銃をとって、火薬をつめました。
 そして足音をしのばせてちかよって、今戸口を出ようとするごんを、ドンと、うちました。ごんは、ばたりとたおれました。兵十はかけよって来ました。家の中を見ると、土間に栗が、かためておいてあるのが目につきました。
「おや」と兵十は、びっくりしてごんに目を落しました。

「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」
 ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。
 兵十は火縄銃をばたりと、とり落しました。青い煙が、まだ筒口から細く出ていました。


おしまい

384 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:43:50.25 ID:AuqHlb1r0.net
里崎

385 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:43:52.79 ID:MDBo8n7nM.net
同時上映【日本の名著】に草

386 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:43:52.81 ID:ocvC6kW10.net
これ今書いてるだろ

387 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:44:00.83 ID:EGO/y1Ok0.net
長髪「これで終わりだな。ま、七十点やっても……」

俺(ここだ!)

俺「うおおおおおおおおッ!」

長髪「……ア?」

ドンッ!

長髪「うぐっ!」

長髪「……自分ごと、崖に……?」

俺「俺と心中してもらうぞ……!」

388 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:44:08.00 ID:LJSaEkP6a.net
ゴーーーン😭😭😭😭😭😭😭😭😭

389 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:44:13.18 ID:NLHpwj8y0.net
ごんぎつねが面白すぎる

390 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:44:18.30 ID:fWaCH8Xf0.net
>>373
なろう読者の脳がそれいじょう高度な表現認識できないから無理や

391 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:44:22.98 ID:kDRAHPbt0.net
マヨネーズで大儲けするンゴオオオみたいなもんやろ
王道突っ走ってるからわりとおもろい

392 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:44:25.94 ID:ZM/x6TSh0.net
完結できンだろうな

393 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:44:30.62 ID:LJSaEkP6a.net
2作品1気に見れるからお得や

394 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:44:36.88 ID:AuqHlb1r0.net
ごんごん

395 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:44:42.44 ID:7DGNa38Id.net
俺さん😭

396 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:44:42.79 ID:KhSd0uAIa.net
>>377
それそれ、よくある話ではあるけど短くてちょうどいい

397 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:44:53.86 ID:Pf0B8TeHa.net
俺さん!😭😭😭
てか何回か刺されてる描写あったけど大丈夫か?

398 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:44:55.14 ID:003bMtMt0.net
ごンぎつねっててぶくろの子と混同するよな

399 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:45:05.92 ID:4hW6Q3+2a.net
3
3









400 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:45:09.97 ID:MDBo8n7nM.net
(次の同時上映作品はなんやろ)

401 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:45:11.17 ID:YK4L4gRg0.net
ごんぎつね何度読んでもすれ違ってて救いがないから悲しくなるわ

402 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:45:13.53 ID:w04bFI90a.net
ごぉぉぉぉぉぉぉぉん

403 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:45:25.98 ID:LWYY0A4Sd.net
>>393
二作品ですまない気がするんやが

404 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:45:36.08 ID:Pf0B8TeHa.net
保守

405 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:45:40.33 ID:NLHpwj8y0.net
>>401
まぁうなぎ取ってしまったからね

406 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:45:44.38 ID:lxUHlwAt0.net
>>383
ごんも兵十も可哀想やわ

407 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:45:47.06 ID:uavpVPwa0.net
やっぱ人間ってクソだな

408 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:45:48.52 ID:qYKxAaxUp.net
>>368


409 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:45:54.64 ID:PES6ndF90.net
例えばこの事件を天平二十一年の奈良東大寺大仏造顕から初めてもよい。この天平二十一年は陸奥小田郡黄金迫から献上の黄金に狂喜した聖武天皇が年号を「天平感宝」と変え、無情感を主題にした歌ばかり詠んでいた内省の歌人大伴家持にさえ「すめろぎの御代栄えむと東なる陸奥山に金花咲く」と言祝がせた年だが、この事件はその陸奥産の黄金と深い関わりがあるからである

410 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:46:03.71 ID:lYV9ERpb0.net
>>390
なるほどそっちの問題か草
もっと格式高い小説の戦闘描写はどんな感じなんやろな
そもそも効果音使わなそう

411 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:46:10.54 ID:KhSd0uAIa.net
がんばえー

412 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:46:16.84 ID:7DGNa38Id.net
このスレだけで名作が何作品も読めるとかお得すぎる

413 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:46:26.51 ID:Pf0B8TeHa.net
保守

414 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:46:29.20 ID:0tjK5ziw0.net
はよしてや

415 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:46:37.90 ID:ZM/x6TSh0.net
沈みそう

416 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:46:38.22 ID:EGO/y1Ok0.net
長髪(大した覚悟なンだわ……まさか、道連れを狙って来るとはな)

長髪(だが……大人しくこのまま落ちてはやらねンだわ)スッ

長髪(剣を崖壁に突き立てて、途中で止まって這い上がってやる!)ガッ

ガリガリガリガリガリ

長髪「久々にゾクゾクさせられたンだわ」

長髪「いいぜ……最高点数、八十点をくれてやる」

417 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:46:42.87 ID:nuF84mt80.net
ごんぎつねって火縄銃あるからして
安土桃山時代より後の話なんやな

418 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:46:50.71 ID:4hW6Q3+2a.net
3
3









419 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:46:58.04 ID:PeD5Y54wa.net
膣ゴレ再放送なんて珍しいな

420 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:47:09.48 ID:NLHpwj8y0.net
文豪の描写って厨二病な感じあるよね

421 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:47:13.46 ID:Pf0B8TeHa.net
保守

422 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:47:27.59 ID:ocvC6kW10.net
イッチ「もっと早くスレ落ちるかと思ってたのにここまで伸びると思わなかった…今書いてるから待っててクレメンス…」

423 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:47:29.09 ID:kDRAHPbt0.net
こいつペース落としてきたな

424 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:47:34.93 ID:5Epcbdlua.net
何で小室圭は審査員みたいに点数一々言うんや?

425 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:47:39.56 ID:H4eirm+Ga.net
レスバはまだか?

426 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:47:48.08 ID:LWYY0A4Sd.net
>>398
おててがちんちんする方の狐とちんちんしない方の狐やな

427 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:47:49.58 ID:cL8EateR0.net
投稿スピードまで名作に負けてどうすんねん

428 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:47:57.42 ID:FjBlEz2jM.net
 ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。けれどもあんまり上手でないという評判でした。上手でないどころではなく実は仲間の楽手のなかではいちばん下手でしたから、いつでも楽長にいじめられるのでした。
 ひるすぎみんなは楽屋に円くならんで今度の町の音楽会へ出す第六交響曲の練習をしていました。
 トランペットは一生けん命歌っています。
 ヴァイオリンも二いろ風のように鳴っています。
 クラリネットもボーボーとそれに手伝っています。
 ゴーシュも口をりんと結んで眼を皿のようにして楽譜を見つめながらもう一心に弾いています。
 にわかにぱたっと楽長が両手を鳴らしました。みんなぴたりと曲をやめてしんとしました。楽長がどなりました。
「セロがおくれた。トォテテ テテテイ、ここからやり直し。はいっ。」
 みんなは今の所の少し前の所からやり直しました。ゴーシュは顔をまっ赤にして額に汗を出しながらやっといま云われたところを通りました。ほっと安心しながら、つづけて弾いていますと楽長がまた手をぱっと拍ちました。
「セロっ。糸が合わない。困るなあ。ぼくはきみにドレミファを教えてまでいるひまはないんだがなあ。」
 みんなは気の毒そうにしてわざとじぶんの譜をのぞき込んだりじぶんの楽器をはじいて見たりしています。ゴーシュはあわてて糸を直しました。これはじつはゴーシュも悪いのですがセロもずいぶん悪いのでした。

429 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:47:57.54 ID:7DGNa38Id.net
これ最初の方は長髪の口調こむけいじゃなくて普通だったんか?

430 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:48:04.20 ID:QHLexVzl0.net
コムケイは勝っても馬車追いかけなさそうやけどな

431 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:48:04.35 ID:wR2fvslk0.net
>>216
ここKKほんまかっこいい

432 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:48:08.89 ID:lxUHlwAt0.net
名人伝やろうぜ
弓の達人が周りによいしょされるなろう話やで

433 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:48:16.66 ID:FjBlEz2jM.net
「今の前の小節から。はいっ。」
 みんなはまたはじめました。ゴーシュも口をまげて一生けん命です。そしてこんどはかなり進みました。いいあんばいだと思っていると楽長がおどすような形をしてまたぱたっと手を拍ちました。またかとゴーシュはどきっとしましたがありがたいことにはこんどは別の人でした。ゴーシュはそこでさっきじぶんのときみんながしたようにわざとじぶんの譜へ眼を近づけて何か考えるふりをしていました。
「ではすぐ今の次。はいっ。」
 そらと思って弾き出したかと思うといきなり楽長が足をどんと踏んでどなり出しました。
「だめだ。まるでなっていない。このへんは曲の心臓なんだ。それがこんながさがさしたことで。諸君。演奏までもうあと十日しかないんだよ。音楽を専門にやっているぼくらがあの金沓鍛冶だの砂糖屋の丁稚なんかの寄り集りに負けてしまったらいったいわれわれの面目はどうなるんだ。おいゴーシュ君。君には困るんだがなあ。表情ということがまるでできてない。怒るも喜ぶも感情というものがさっぱり出ないんだ。それにどうしてもぴたっと外の楽器と合わないもなあ。いつでもきみだけとけた靴のひもを引きずってみんなのあとをついてあるくようなんだ、困るよ、しっかりしてくれないとねえ。光輝あるわが金星音楽団がきみ一人のために悪評をとるようなことでは、みんなへもまったく気の毒だからな。では今日は練習はここまで、休んで六時にはかっきりボックスへ入ってくれ給え。」
 みんなはおじぎをして、それからたばこをくわえてマッチをすったりどこかへ出て行ったりしました。ゴーシュはその粗末な箱みたいなセロをかかえて壁の方へ向いて口をまげてぼろぼろ泪をこぼしましたが、気をとり直してじぶんだけたったひとりいまやったところをはじめからしずかにもいちど弾きはじめました。

434 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:48:28.82 ID:cL8EateR0.net
>>424
バガボンドの伊藤一刀斎のパクりやろ

435 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:48:31.37 ID:003bMtMt0.net
>>410
日本刀ならそもそも戦争でもない限り刀身でうけないだろうしねぇ
なろうは西洋剣なのだろうから受けるだろうけど
あまり効果音というか擬音多用はしないんじゃないかな

436 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:48:31.83 ID:Pf0B8TeHa.net
保守

437 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:48:32.44 ID:FjBlEz2jM.net
 その晩遅くゴーシュは何か巨きな黒いものをしょってじぶんの家へ帰ってきました。家といってもそれは町はずれの川ばたにあるこわれた水車小屋で、ゴーシュはそこにたった一人ですんでいて午前は小屋のまわりの小さな畑でトマトの枝をきったり甘藍の虫をひろったりしてひるすぎになるといつも出て行っていたのです。ゴーシュがうちへ入ってあかりをつけるとさっきの黒い包みをあけました。それは何でもない。あの夕方のごつごつしたセロでした。ゴーシュはそれを床の上にそっと置くと、いきなり棚からコップをとってバケツの水をごくごくのみました。
 それから頭を一つふって椅子へかけるとまるで虎みたいな勢でひるの譜を弾きはじめました。譜をめくりながら弾いては考え考えては弾き一生けん命しまいまで行くとまたはじめからなんべんもなんべんもごうごうごうごう弾きつづけました。
 夜中もとうにすぎてしまいはもうじぶんが弾いているのかもわからないようになって顔もまっ赤になり眼もまるで血走ってとても物凄い顔つきになりいまにも倒れるかと思うように見えました。
 そのとき誰かうしろの扉をとんとんと叩くものがありました。
「ホーシュ君か。」ゴーシュはねぼけたように叫びました。ところがすうと扉を押してはいって来たのはいままで五六ぺん見たことのある大きな三毛猫でした。
 ゴーシュの畑からとった半分熟したトマトをさも重そうに持って来てゴーシュの前におろして云いました。

438 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:48:47.19 ID:FjBlEz2jM.net
「ああくたびれた。なかなか運搬はひどいやな。」
「何だと」ゴーシュがききました。
「これおみやです。たべてください。」三毛猫が云いました。
 ゴーシュはひるからのむしゃくしゃを一ぺんにどなりつけました。
「誰がきさまにトマトなど持ってこいと云った。第一おれがきさまらのもってきたものなど食うか。それからそのトマトだっておれの畑のやつだ。何だ。赤くもならないやつをむしって。いままでもトマトの茎をかじったりけちらしたりしたのはおまえだろう。行ってしまえ。ねこめ。」
 すると猫は肩をまるくして眼をすぼめてはいましたが口のあたりでにやにやわらって云いました。
「先生、そうお怒りになっちゃ、おからだにさわります。それよりシューマンのトロメライをひいてごらんなさい。きいてあげますから。」
「生意気なことを云うな。ねこのくせに。」
 セロ弾きはしゃくにさわってこのねこのやつどうしてくれようとしばらく考えました。
「いやご遠慮はありません。どうぞ。わたしはどうも先生の音楽をきかないとねむられないんです。」
「生意気だ。生意気だ。生意気だ。」
 ゴーシュはすっかりまっ赤になってひるま楽長のしたように足ぶみしてどなりましたがにわかに気を変えて云いました。
「では弾くよ。」
 ゴーシュは何と思ったか扉にかぎをかって窓もみんなしめてしまい、それからセロをとりだしてあかしを消しました。すると外から二十日過ぎの月のひかりが室のなかへ半分ほどはいってきました。
「何をひけと。」
「トロメライ、ロマチックシューマン作曲。」猫は口を拭いて済まして云いました。
「そうか。トロメライというのはこういうのか。」

439 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:48:54.09 ID:Y8mvc3Vm0.net
きりきりじんで草

440 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:48:57.86 ID:FjBlEz2jM.net
「ああくたびれた。なかなか運搬はひどいやな。」
「何だと」ゴーシュがききました。
「これおみやです。たべてください。」三毛猫が云いました。
 ゴーシュはひるからのむしゃくしゃを一ぺんにどなりつけました。
「誰がきさまにトマトなど持ってこいと云った。第一おれがきさまらのもってきたものなど食うか。それからそのトマトだっておれの畑のやつだ。何だ。赤くもならないやつをむしって。いままでもトマトの茎をかじったりけちらしたりしたのはおまえだろう。行ってしまえ。ねこめ。」
 すると猫は肩をまるくして眼をすぼめてはいましたが口のあたりでにやにやわらって云いました。
「先生、そうお怒りになっちゃ、おからだにさわります。それよりシューマンのトロメライをひいてごらんなさい。きいてあげますから。」
「生意気なことを云うな。ねこのくせに。」
 セロ弾きはしゃくにさわってこのねこのやつどうしてくれようとしばらく考えました。
「いやご遠慮はありません。どうぞ。わたしはどうも先生の音楽をきかないとねむられないんです。」
「生意気だ。生意気だ。生意気だ。」
 ゴーシュはすっかりまっ赤になってひるま楽長のしたように足ぶみしてどなりましたがにわかに気を変えて云いました。
「では弾くよ。」
 ゴーシュは何と思ったか扉にかぎをかって窓もみんなしめてしまい、それからセロをとりだしてあかしを消しました。すると外から二十日過ぎの月のひかりが室のなかへ半分ほどはいってきました。
「何をひけと。」
「トロメライ、ロマチックシューマン作曲。」猫は口を拭いて済まして云いました。
「そうか。トロメライというのはこういうのか。」

441 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:48:58.01 ID:cL8EateR0.net
セロ弾きのゴーシュ始まってるやん

442 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:01.27 ID:Kc6YEE+l0.net
兵十はこのあとどうするんやろか
ごんに墓を建てて毎日栗を供えるんか

443 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:06.91 ID:FjBlEz2jM.net
ダブった

444 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:08.00 ID:LWYY0A4Sd.net
>>424
ヒソカなんやろ

445 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:14.14 ID:EGO/y1Ok0.net
長髪「結構下まで落ちちまったな。この高さはちっと骨が折れる……」

俺「うおおおおおおっ!」バッ

長髪「……は?」

長髪(落下しながら、剣を構えてやがる!?)

長髪(正気じゃねえ!)ゾォッ

俺「これで終わりだ化け物野郎!」

長髪「…………」ゾクゾクゾク

長髪「上等だ……返り討ちにしてやンだわ!」

446 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:17.59 ID:z+fm+S4Pp.net
「というわけで、お前さんは死んでしまった。本当に申し訳ない」
「はあ」

 深々と頭を下げるご老人。その背後に広がるは輝く雲海。どこまでも雲の絨毯が広がり、果てが見えない。でも、自分たちが座っているのは畳の上。質素な四畳半の部屋が(部屋と言っても壁も天井もないが)雲の上に浮いている。ちゃぶ台に茶箪笥、レトロ調なテレビに黒電話。古めかしいが味のある家具類が並ぶ。
 そして目の前にいるのは神様。少なくとも本人はそう言ってる。神様が言うには、間違って僕を死なせてしまったらしいが、死んだという実感がいまいち自分には無い。
 確か下校中、突然降り出した雨に僕は家路を急いでいた。近くの公園を横切って近道をしようとした瞬間、襲ってきたのはまぶしい光と轟音。

「雷を落とした先に人がいるか確認を怠った。本当に申し訳ない。落雷で死ぬ人間もけっこういるが、今回のケースは予定外じゃった」
「雷が直撃して僕は死んだわけですか…。なるほど。するとここは天国?」
「いや、天国よりさらに上、神様たちのいる世界……そうじゃな、神界とでも言うかな。人間が来ることは本当は出来ん。君は特別にワシが呼んだんじゃよ、えーっと……も…もちづき…」
「とうや。望月冬夜です」
「そうそう望月冬夜君」

447 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:19.74 ID:FjBlEz2jM.net
 セロ弾きは何と思ったかまずはんけちを引きさいてじぶんの耳の穴へぎっしりつめました。それからまるで嵐のような勢で「印度の虎狩」という譜を弾きはじめました。
 すると猫はしばらく首をまげて聞いていましたがいきなりパチパチパチッと眼をしたかと思うとぱっと扉の方へ飛びのきました。そしていきなりどんと扉へからだをぶっつけましたが扉はあきませんでした。猫はさあこれはもう一生一代の失敗をしたという風にあわてだして眼や額からぱちぱち火花を出しました。するとこんどは口のひげからも鼻からも出ましたから猫はくすぐったがってしばらくくしゃみをするような顔をしてそれからまたさあこうしてはいられないぞというようにはせあるきだしました。ゴーシュはすっかり面白くなってますます勢よくやり出しました。
「先生もうたくさんです。たくさんですよ。ご生ですからやめてください。これからもう先生のタクトなんかとりませんから。」
「だまれ。これから虎をつかまえる所だ。」
 猫はくるしがってはねあがってまわったり壁にからだをくっつけたりしましたが壁についたあとはしばらく青くひかるのでした。しまいは猫はまるで風車のようにぐるぐるぐるぐるゴーシュをまわりました。
 ゴーシュもすこしぐるぐるして来ましたので、
「さあこれで許してやるぞ」と云いながらようようやめました。
 すると猫もけろりとして
「先生、こんやの演奏はどうかしてますね。」と云いました。
 セロ弾きはまたぐっとしゃくにさわりましたが何気ない風で巻たばこを一本だして口にくわえそれからマッチを一本とって
「どうだい。工合をわるくしないかい。舌を出してごらん。」
 猫はばかにしたように尖った長い舌をベロリと出しました。
「ははあ、少し荒れたね。」セロ弾きは云いながらいきなりマッチを舌でシュッとすってじぶんのたばこへつけました。さあ猫は愕いたの何の舌を風車のようにふりまわしながら入り口の扉へ行って頭でどんとぶっつかってはよろよろとしてまた戻って来てどんとぶっつかってはよろよろまた戻って来てまたぶっつかってはよろよろにげみちをこさえようとしました。
 ゴーシュはしばらく面白そうに見ていましたが
「出してやるよ。もう来るなよ。ばか。」

448 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:22.31 ID:fPQVaTGE0.net
ゴーシュきたー

449 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:23.52 ID:vCZOkBMPa.net
>>424
癖になってンだわ、点数付けるの

450 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:25.06 ID:6pzOPJNj0.net
なんJ文学スレで草

451 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:27.44 ID:MDBo8n7nM.net
もう始まってる!!!

452 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:36.09 ID:kDRAHPbt0.net
>>424
千石伊織や

453 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:36.92 ID:FjBlEz2jM.net
 セロ弾きは扉をあけて猫が風のように萱のなかを走って行くのを見てちょっとわらいました。それから、やっとせいせいしたというようにぐっすりねむりました。
 次の晩もゴーシュがまた黒いセロの包みをかついで帰ってきました。そして水をごくごくのむとそっくりゆうべのとおりぐんぐんセロを弾きはじめました。十二時は間もなく過ぎ一時もすぎ二時もすぎてもゴーシュはまだやめませんでした。それからもう何時だかもわからず弾いているかもわからずごうごうやっていますと誰か屋根裏をこっこっと叩くものがあります。
「猫、まだこりないのか。」
 ゴーシュが叫びますといきなり天井の穴からぽろんと音がして一疋の灰いろの鳥が降りて来ました。床へとまったのを見るとそれはかっこうでした。
「鳥まで来るなんて。何の用だ。」ゴーシュが云いました。
「音楽を教わりたいのです。」
 かっこう鳥はすまして云いました。
 ゴーシュは笑って
「音楽だと。おまえの歌は、かっこう、かっこうというだけじゃあないか。」
 するとかっこうが大へんまじめに
「ええ、それなんです。けれどもむずかしいですからねえ。」と云いました。
「むずかしいもんか。おまえたちのはたくさん啼くのがひどいだけで、なきようは何でもないじゃないか。」
「ところがそれがひどいんです。たとえばかっこうとこうなくのとかっこうとこうなくのとでは聞いていてもよほどちがうでしょう。」
「ちがわないね。」
「ではあなたにはわからないんです。わたしらのなかまならかっこうと一万云えば一万みんなちがうんです。」

454 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:41.15 ID:KjY3tR/b0.net
遂に膣ゴレも世界の名作入りか

455 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:41.86 ID:ocvC6kW10.net
小室圭って何百年ぶりの朝敵扱いされてるしキャラも立ってるからそのうちモデルにされた小説書かれそうだよな

456 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:42.55 ID:ZM/x6TSh0.net
>>442
ごんにも穴はあるだよな

457 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:43.97 ID:Pf0B8TeHa.net
落下長すぎ

458 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:45.37 ID:Y1zrkaG+a.net
>>416

ミ セ
ンス
無し やめろニ



459 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:52.93 ID:cL8EateR0.net
>>445
俺さんの剣弾き飛ばされなかったっけ

460 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:54.15 ID:FjBlEz2jM.net
「勝手だよ。そんなにわかってるなら何もおれの処へ来なくてもいいではないか。」
「ところが私はドレミファを正確にやりたいんです。」
「ドレミファもくそもあるか。」
「ええ、外国へ行く前にぜひ一度いるんです。」
「外国もくそもあるか。」
「先生どうかドレミファを教えてください。わたしはついてうたいますから。」
「うるさいなあ。そら三べんだけ弾いてやるからすんだらさっさと帰るんだぞ。」
 ゴーシュはセロを取り上げてボロンボロンと糸を合わせてドレミファソラシドとひきました。するとかっこうはあわてて羽をばたばたしました。
「ちがいます、ちがいます。そんなんでないんです。」
「うるさいなあ。ではおまえやってごらん。」
「こうですよ。」かっこうはからだをまえに曲げてしばらく構えてから
「かっこう」と一つなきました。
「何だい。それがドレミファかい。おまえたちには、それではドレミファも第六交響楽も同じなんだな。」
「それはちがいます。」
「どうちがうんだ。」
「むずかしいのはこれをたくさん続けたのがあるんです。」
「つまりこうだろう。」セロ弾きはまたセロをとって、かっこうかっこうかっこうかっこうかっこうとつづけてひきました。
 するとかっこうはたいへんよろこんで途中からかっこうかっこうかっこうかっこうとついて叫びました。それももう一生けん命からだをまげていつまでも叫ぶのです。
 ゴーシュはとうとう手が痛くなって
「こら、いいかげんにしないか。」と云いながらやめました。するとかっこうは残念そうに眼をつりあげてまだしばらくないていましたがやっと
「……かっこうかくうかっかっかっかっか」と云ってやめました。
 ゴーシュがすっかりおこってしまって、
「こらとり、もう用が済んだらかえれ」と云いました。
「どうかもういっぺん弾いてください。あなたのはいいようだけれどもすこしちがうんです。」
「何だと、おれがきさまに教わってるんではないんだぞ。帰らんか。」
「どうかたったもう一ぺんおねがいです。どうか。」かっこうは頭を何べんもこんこん下げました。
「ではこれっきりだよ。」

461 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:49:55.54 ID:UmfFtcRE0.net
>>446
スマホで無双しそう

462 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:50:05.39 ID:FjBlEz2jM.net
「勝手だよ。そんなにわかってるなら何もおれの処へ来なくてもいいではないか。」
「ところが私はドレミファを正確にやりたいんです。」
「ドレミファもくそもあるか。」
「ええ、外国へ行く前にぜひ一度いるんです。」
「外国もくそもあるか。」
「先生どうかドレミファを教えてください。わたしはついてうたいますから。」
「うるさいなあ。そら三べんだけ弾いてやるからすんだらさっさと帰るんだぞ。」
 ゴーシュはセロを取り上げてボロンボロンと糸を合わせてドレミファソラシドとひきました。するとかっこうはあわてて羽をばたばたしました。
「ちがいます、ちがいます。そんなんでないんです。」
「うるさいなあ。ではおまえやってごらん。」
「こうですよ。」かっこうはからだをまえに曲げてしばらく構えてから
「かっこう」と一つなきました。
「何だい。それがドレミファかい。おまえたちには、それではドレミファも第六交響楽も同じなんだな。」
「それはちがいます。」
「どうちがうんだ。」
「むずかしいのはこれをたくさん続けたのがあるんです。」
「つまりこうだろう。」セロ弾きはまたセロをとって、かっこうかっこうかっこうかっこうかっこうとつづけてひきました。
 するとかっこうはたいへんよろこんで途中からかっこうかっこうかっこうかっこうとついて叫びました。それももう一生けん命からだをまげていつまでも叫ぶのです。
 ゴーシュはとうとう手が痛くなって
「こら、いいかげんにしないか。」と云いながらやめました。するとかっこうは残念そうに眼をつりあげてまだしばらくないていましたがやっと
「……かっこうかくうかっかっかっかっか」と云ってやめました。
 ゴーシュがすっかりおこってしまって、
「こらとり、もう用が済んだらかえれ」と云いました。
「どうかもういっぺん弾いてください。あなたのはいいようだけれどもすこしちがうんです。」
「何だと、おれがきさまに教わってるんではないんだぞ。帰らんか。」
「どうかたったもう一ぺんおねがいです。どうか。」かっこうは頭を何べんもこんこん下げました。
「ではこれっきりだよ。」

463 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:50:12.90 ID:+dYI6YXt0.net
奴隷少女が槍の人に寝取られたん?

464 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:50:20.69 ID:FjBlEz2jM.net
 ゴーシュは弓をかまえました。かっこうは「くっ」とひとつ息をして
「ではなるべく永くおねがいいたします。」といってまた一つおじぎをしました。
「いやになっちまうなあ。」ゴーシュはにが笑いしながら弾きはじめました。するとかっこうはまたまるで本気になって「かっこうかっこうかっこう」とからだをまげてじつに一生けん命叫びました。ゴーシュははじめはむしゃくしゃしていましたがいつまでもつづけて弾いているうちにふっと何だかこれは鳥の方がほんとうのドレミファにはまっているかなという気がしてきました。どうも弾けば弾くほどかっこうの方がいいような気がするのでした。
「えいこんなばかなことしていたらおれは鳥になってしまうんじゃないか。」とゴーシュはいきなりぴたりとセロをやめました。
 するとかっこうはどしんと頭を叩かれたようにふらふらっとしてそれからまたさっきのように
「かっこうかっこうかっこうかっかっかっかっかっ」と云ってやめました。それから恨めしそうにゴーシュを見て
「なぜやめたんですか。ぼくらならどんな意気地ないやつでものどから血が出るまでは叫ぶんですよ。」と云いました。
「何を生意気な。こんなばかなまねをいつまでしていられるか。もう出て行け。見ろ。夜があけるんじゃないか。」ゴーシュは窓を指さしました。
 東のそらがぼうっと銀いろになってそこをまっ黒な雲が北の方へどんどん走っています。
「ではお日さまの出るまでどうぞ。もう一ぺん。ちょっとですから。」
 かっこうはまた頭を下げました。
「黙れっ。いい気になって。このばか鳥め。出て行かんとむしって朝飯に食ってしまうぞ。」ゴーシュはどんと床をふみました。

465 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:50:29.44 ID:z/ynHmaR0.net
次回城之内死す

466 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:50:30.15 ID:G/H/Nt0md.net
コピペの癖におせーな

467 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:50:33.22 ID:NLHpwj8y0.net
>>459
落下も計算に入れてわざと弾き飛ばされてる

468 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:50:34.80 ID:FjBlEz2jM.net
 するとかっこうはにわかにびっくりしたようにいきなり窓をめがけて飛び立ちました。そして硝子にはげしく頭をぶっつけてばたっと下へ落ちました。
「何だ、硝子へばかだなあ。」ゴーシュはあわてて立って窓をあけようとしましたが元来この窓はそんなにいつでもするする開く窓ではありませんでした。ゴーシュが窓のわくをしきりにがたがたしているうちにまたかっこうがばっとぶっつかって下へ落ちました。見ると嘴のつけねからすこし血が出ています。
「いまあけてやるから待っていろったら。」ゴーシュがやっと二寸ばかり窓をあけたとき、かっこうは起きあがって何が何でもこんどこそというようにじっと窓の向うの東のそらをみつめて、あらん限りの力をこめた風でぱっと飛びたちました。もちろんこんどは前よりひどく硝子につきあたってかっこうは下へ落ちたまましばらく身動きもしませんでした。つかまえてドアから飛ばしてやろうとゴーシュが手を出しましたらいきなりかっこうは眼をひらいて飛びのきました。そしてまたガラスへ飛びつきそうにするのです。ゴーシュは思わず足を上げて窓をばっとけりました。ガラスは二三枚物すごい音して砕け窓はわくのまま外へ落ちました。そのがらんとなった窓のあとをかっこうが矢のように外へ飛びだしました。そしてもうどこまでもどこまでもまっすぐに飛んで行ってとうとう見えなくなってしまいました。ゴーシュはしばらく呆れたように外を見ていましたが、そのまま倒れるように室のすみへころがって睡ってしまいました。
 次の晩もゴーシュは夜中すぎまでセロを弾いてつかれて水を一杯のんでいますと、また扉をこつこつ叩くものがあります。

469 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:50:54.16 ID:fWaCH8Xf0.net
>>459
出し入れ自由だから吹っ飛ばされてもまた呼べるんやないか?

470 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:50:55.06 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「うおおおおおおおおおおっ!」

キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!

長髪「らぁああああああああっ!」

キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!
カァンッ!

俺「ぐっ!」

長髪「死にやがれェェェェエエッ!」

 ゴッ!

長髪(ぐっ……崖の凹凸に、足が……!)

俺(……ここしかないっ!)スッ
ドスッ

471 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:50:57.88 ID:PES6ndF90.net
またこの記録の冒頭を、明治天皇臨幸のもとに挙行された駒場農学校の開校当日、すなわち明治十一年一月二十四日の朝野の描写に割いても誰からもとがめられはしないだろう。というのはこの駒場農学校こそ西洋農法、とくにイギリス農法を直輸入し、やがて日本農業を仮死に追い込むことになる農政学者たちの温床、東京大学農学部の前身であり、事件を《農政栄えて農業滅ぶ》という日本農政に対する百姓たちの異議申し立てと見るならば、我が国最初の西洋農学教育機関であるこの官学校の創立から話を初めてもなんの不都合もないはずだ。

472 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:50:59.13 ID:kTlWvFVoM.net
 今夜は何が来てもゆうべのかっこうのようにはじめからおどかして追い払ってやろうと思ってコップをもったまま待ち構えて居りますと、扉がすこしあいて一疋の狸の子がはいってきました。ゴーシュはそこでその扉をもう少し広くひらいて置いてどんと足をふんで、
「こら、狸、おまえは狸汁ということを知っているかっ。」とどなりました。すると狸の子はぼんやりした顔をしてきちんと床へ座ったままどうもわからないというように首をまげて考えていましたが、しばらくたって
「狸汁ってぼく知らない。」と云いました。ゴーシュはその顔を見て思わず吹き出そうとしましたが、まだ無理に恐い顔をして、
「では教えてやろう。狸汁というのはな。おまえのような狸をな、キャベジや塩とまぜてくたくたと煮ておれさまの食うようにしたものだ。」と云いました。すると狸の子はまたふしぎそうに
「だってぼくのお父さんがね、ゴーシュさんはとてもいい人でこわくないから行って習えと云ったよ。」と云いました。そこでゴーシュもとうとう笑い出してしまいました。
「何を習えと云ったんだ。おれはいそがしいんじゃないか。それに睡いんだよ。」
 狸の子は俄に勢がついたように一足前へ出ました。
「ぼくは小太鼓の係りでねえ。セロへ合わせてもらって来いと云われたんだ。」
「どこにも小太鼓がないじゃないか。」
「そら、これ」狸の子はせなかから棒きれを二本出しました。
「それでどうするんだ。」
「ではね、『愉快な馬車屋』を弾いてください。」
「なんだ愉快な馬車屋ってジャズか。」
「ああこの譜だよ。」狸の子はせなかからまた一枚の譜をとり出しました。ゴーシュは手にとってわらい出しました。
「ふう、変な曲だなあ。よし、さあ弾くぞ。おまえは小太鼓を叩くのか。」ゴーシュは狸の子がどうするのかと思ってちらちらそっちを見ながら弾きはじめました。
 すると狸の子は棒をもってセロの駒の下のところを拍子をとってぽんぽん叩きはじめました。それがなかなかうまいので弾いているうちにゴーシュはこれは面白いぞと思いました。
 おしまいまでひいてしまうと狸の子はしばらく首をまげて考えました。
 それからやっと考えついたというように云いました。
>>468

473 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:01.16 ID:Pf0B8TeHa.net
保守

474 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:02.21 ID:cL8EateR0.net
>>467
はえ〜

475 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:04.63 ID:7DGNa38Id.net
異世界スマホほんと気持ち悪くて1話も読めなかった

476 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:09.32 ID:z/ynHmaR0.net
ほしゅー

477 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:12.28 ID:z+fm+S4Pp.net
「そちらの事情は分かりましたし、無理強いをする気もありません。生き返るだけでありがたいですし。それでけっこうです」
「…本当にお前さんは人格が出来とるのう。あの世界で生きていれは大人物になれたろうに…本当に申し訳ない」

 しょんぼりとする神様。僕はいわゆるおじいちゃん子だったので、なんだかいたたまれない気持ちになる。そんなに気にしないでいいのに。

「罪ほろぼしにせめて何かさせてくれんか。ある程度のことなら叶えてやれるぞ?」
「うーん、そう言われましても…」

 一番は元の世界での復活だが、それは無理。で、あるならば、これから行く世界で役立つものがいいのだろうが…。

「これから僕が行く世界って、どんなところですか?」
「君が元いた世界と比べると、まだまだ発展途上の世界じゃな。ほれ、君の世界でいうところの中世時代、半分くらいはあれに近い。まあ、全部が全部あのレベルではないが」

 うーん、だいぶ生活レベルは下がるらしいなあ。そんなとこでやっていけるか不安だ。何の知識もない自分がそんな世界に飛び込んで大丈夫だろうか。あ。

「あの、ひとつお願いが」
「お、なんじゃなんじゃ。なんでも叶えてやるぞ?」
「これ、向こうの世界でも使えるようにできませんかね?」

 そう言って僕が制服の内ポケットから出したもの。小さな金属の板のような万能携帯電話。いわゆるスマートフォン。

478 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:12.97 ID:kTlWvFVoM.net
 今夜は何が来てもゆうべのかっこうのようにはじめからおどかして追い払ってやろうと思ってコップをもったまま待ち構えて居りますと、扉がすこしあいて一疋の狸の子がはいってきました。ゴーシュはそこでその扉をもう少し広くひらいて置いてどんと足をふんで、
「こら、狸、おまえは狸汁ということを知っているかっ。」とどなりました。すると狸の子はぼんやりした顔をしてきちんと床へ座ったままどうもわからないというように首をまげて考えていましたが、しばらくたって
「狸汁ってぼく知らない。」と云いました。ゴーシュはその顔を見て思わず吹き出そうとしましたが、まだ無理に恐い顔をして、
「では教えてやろう。狸汁というのはな。おまえのような狸をな、キャベジや塩とまぜてくたくたと煮ておれさまの食うようにしたものだ。」と云いました。すると狸の子はまたふしぎそうに
「だってぼくのお父さんがね、ゴーシュさんはとてもいい人でこわくないから行って習えと云ったよ。」と云いました。そこでゴーシュもとうとう笑い出してしまいました。
「何を習えと云ったんだ。おれはいそがしいんじゃないか。それに睡いんだよ。」
 狸の子は俄に勢がついたように一足前へ出ました。
「ぼくは小太鼓の係りでねえ。セロへ合わせてもらって来いと云われたんだ。」
「どこにも小太鼓がないじゃないか。」
「そら、これ」狸の子はせなかから棒きれを二本出しました。
「それでどうするんだ。」
「ではね、『愉快な馬車屋』を弾いてください。」
「なんだ愉快な馬車屋ってジャズか。」
「ああこの譜だよ。」狸の子はせなかからまた一枚の譜をとり出しました。ゴーシュは手にとってわらい出しました。
「ふう、変な曲だなあ。よし、さあ弾くぞ。おまえは小太鼓を叩くのか。」ゴーシュは狸の子がどうするのかと思ってちらちらそっちを見ながら弾きはじめました。
 すると狸の子は棒をもってセロの駒の下のところを拍子をとってぽんぽん叩きはじめました。それがなかなかうまいので弾いているうちにゴーシュはこれは面白いぞと思いました。
 おしまいまでひいてしまうと狸の子はしばらく首をまげて考えました。
 それからやっと考えついたというように云いました。

479 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:26.62 ID:KVGA9fsOp.net
キンキンキン

480 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:32.14 ID:cL8EateR0.net
>>470
カァンッ!が入ってるやん!

481 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:32.33 ID:kTlWvFVoM.net
 次の晩もゴーシュは夜通しセロを弾いて明方近く思わずつかれて楽譜をもったままうとうとしていますとまた誰か扉をこつこつと叩くものがあります。それもまるで聞えるか聞えないかの位でしたが毎晩のことなのでゴーシュはすぐ聞きつけて「おはいり。」と云いました。すると戸のすきまからはいって来たのは一ぴきの野ねずみでした。そして大へんちいさなこどもをつれてちょろちょろとゴーシュの前へ歩いてきました。そのまた野ねずみのこどもときたらまるでけしごむのくらいしかないのでゴーシュはおもわずわらいました。すると野ねずみは何をわらわれたろうというようにきょろきょろしながらゴーシュの前に来て、青い栗の実を一つぶ前においてちゃんとおじぎをして云いました。
「先生、この児があんばいがわるくて死にそうでございますが先生お慈悲になおしてやってくださいまし。」
「おれが医者などやれるもんか。」ゴーシュはすこしむっとして云いました。すると野ねずみのお母さんは下を向いてしばらくだまっていましたがまた思い切ったように云いました。
「先生、それはうそでございます、先生は毎日あんなに上手にみんなの病気をなおしておいでになるではありませんか。」
「何のことだかわからんね。」
「だって先生先生のおかげで、兎さんのおばあさんもなおりましたし狸さんのお父さんもなおりましたしあんな意地悪のみみずくまでなおしていただいたのにこの子ばかりお助けをいただけないとはあんまり情ないことでございます。」
「おいおい、それは何かの間ちがいだよ。おれはみみずくの病気なんどなおしてやったことはないからな。もっとも狸の子はゆうべ来て楽隊のまねをして行ったがね。ははん。」ゴーシュは呆れてその子ねずみを見おろしてわらいました。
 すると野鼠のお母さんは泣きだしてしまいました。

482 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:34.08 ID:+Ycft38Er.net
コムケイ剣士好き

483 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:34.73 ID:Pf0B8TeHa.net
ここしかないっす!

484 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:35.85 ID:vCZOkBMPa.net
気付いたらゴンぎつね終わってて草

485 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:38.68 ID:xmnTSlPQ0.net
おっそ

486 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:39.08 ID:vsmRF0VI0.net
なろうでやれ

487 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:48.47 ID:kTlWvFVoM.net
「ああこの児はどうせ病気になるならもっと早くなればよかった。さっきまであれ位ごうごうと鳴らしておいでになったのに、病気になるといっしょにぴたっと音がとまってもうあとはいくらおねがいしても鳴らしてくださらないなんて。何てふしあわせな子どもだろう。」
 ゴーシュはびっくりして叫びました。
「何だと、ぼくがセロを弾けばみみずくや兎の病気がなおると。どういうわけだ。それは。」
 野ねずみは眼を片手でこすりこすり云いました。
「はい、ここらのものは病気になるとみんな先生のおうちの床下にはいって療すのでございます。」
「すると療るのか。」
「はい。からだ中とても血のまわりがよくなって大へんいい気持ちですぐ療る方もあればうちへ帰ってから療る方もあります。」
「ああそうか。おれのセロの音がごうごうひびくと、それがあんまの代りになっておまえたちの病気がなおるというのか。よし。わかったよ。やってやろう。」ゴーシュはちょっとギウギウと糸を合せてそれからいきなりのねずみのこどもをつまんでセロの孔から中へ入れてしまいました。
「わたしもいっしょについて行きます。どこの病院でもそうですから。」おっかさんの野ねずみはきちがいのようになってセロに飛びつきました。
「おまえさんもはいるかね。」セロ弾きはおっかさんの野ねずみをセロの孔からくぐしてやろうとしましたが顔が半分しかはいりませんでした。
 野ねずみはばたばたしながら中のこどもに叫びました。

488 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:50.44 ID:AuqHlb1r0.net
戦闘長すぎやろ

489 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:51:54.86 ID:KhSd0uAIa.net
>>475
なろう系全部気持ち悪いやろ

490 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:05.50 ID:kTlWvFVoM.net
「おまえそこはいいかい。落ちるときいつも教えるように足をそろえてうまく落ちたかい。」
「いい。うまく落ちた。」こどものねずみはまるで蚊のような小さな声でセロの底で返事しました。
「大丈夫さ。だから泣き声出すなというんだ。」ゴーシュはおっかさんのねずみを下におろしてそれから弓をとって何とかラプソディとかいうものをごうごうがあがあ弾きました。
するとおっかさんのねずみはいかにも心配そうにその音の工合をきいていましたがとうとうこらえ切れなくなったふうで
「もう沢山です。どうか出してやってください。」と云いました。
「なあんだ、これでいいのか。」ゴーシュはセロをまげて孔のところに手をあてて待っていましたら間もなくこどものねずみが出てきました。ゴーシュは、だまってそれをおろしてやりました。見るとすっかり目をつぶってぶるぶるぶるぶるふるえていました。
「どうだったの。いいかい。気分は。」
 こどものねずみはすこしもへんじもしないでまだしばらく眼をつぶったままぶるぶるぶるぶるふるえていましたがにわかに起きあがって走りだした。
「ああよくなったんだ。ありがとうございます。ありがとうございます。」おっかさんのねずみもいっしょに走っていましたが、まもなくゴーシュの前に来てしきりにおじぎをしながら
「ありがとうございますありがとうございます」と十ばかり云いました。
 ゴーシュは何がなかあいそうになって
「おい、おまえたちはパンはたべるのか。」とききました。
 すると野鼠はびっくりしたようにきょろきょろあたりを見まわしてから
「いえ、もうおパンというものは小麦の粉をこねたりむしたりしてこしらえたものでふくふく膨らんでいておいしいものなそうでございますが、そうでなくても私どもはおうちの戸棚へなど参ったこともございませんし、ましてこれ位お世話になりながらどうしてそれを運びになんど参れましょう。」と云いました。

491 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:08.15 ID:fWaCH8Xf0.net
ワイはキンキンキンキンって言われるとうたわれるもののオープニング流さなくちゃいけない気がするんや

492 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:18.77 ID:0tjK5ziw0.net
つまんね、あきたわ

493 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:19.70 ID:kTlWvFVoM.net
「いや、そのことではないんだ。ただたべるのかときいたんだ。ではたべるんだな。ちょっと待てよ。その腹の悪いこどもへやるからな。」
 ゴーシュはセロを床へ置いて戸棚からパンを一つまみむしって野ねずみの前へ置きました。
 野ねずみはもうまるでばかのようになって泣いたり笑ったりおじぎをしたりしてから大じそうにそれをくわえてこどもをさきに立てて外へ出て行きました。
「あああ。鼠と話するのもなかなかつかれるぞ。」ゴーシュはねどこへどっかり倒れてすぐぐうぐうねむってしまいました。
 それから六日目の晩でした。金星音楽団の人たちは町の公会堂のホールの裏にある控室へみんなぱっと顔をほてらしてめいめい楽器をもって、ぞろぞろホールの舞台から引きあげて来ました。首尾よく第六交響曲を仕上げたのです。ホールでは拍手の音がまだ嵐のように鳴って居ります。楽長はポケットへ手をつっ込んで拍手なんかどうでもいいというようにのそのそみんなの間を歩きまわっていましたが、じつはどうして嬉しさでいっぱいなのでした。みんなはたばこをくわえてマッチをすったり楽器をケースへ入れたりしました。
 ホールはまだぱちぱち手が鳴っています。それどころではなくいよいよそれが高くなって何だかこわいような手がつけられないような音になりました。大きな白いリボンを胸につけた司会者がはいって来ました。
「アンコールをやっていますが、何かみじかいものでもきかせてやってくださいませんか。」
 すると楽長がきっとなって答えました。「いけませんな。こういう大物のあとへ何を出したってこっちの気の済むようには行くもんでないんです。」
「では楽長さん出て一寸挨拶してください。」
「だめだ。おい、ゴーシュ君、何か出て弾いてやってくれ。」
「わたしがですか。」ゴーシュは呆気にとられました。
「君だ、君だ。」ヴァイオリンの一番の人がいきなり顔をあげて云いました。
「さあ出て行きたまえ。」楽長が云いました。みんなもセロをむりにゴーシュに持たせて扉をあけるといきなり舞台へゴーシュを押し出してしまいました。ゴーシュがその孔のあいたセロをもってじつに困ってしまって舞台へ出るとみんなはそら見ろというように一そうひどく手を叩きました。わあと叫んだものもあるようでした。

494 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:32.46 ID:G/H/Nt0md.net
道楽時計で調べれば出てくるで

495 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:33.99 ID:003bMtMt0.net
>>470
こういう擬音だけ描写しかできないのはアニメ脳だよなぁ
アニメ制作側はちゃんと脚本とかで描写してるだろうに

496 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:34.05 ID:NLHpwj8y0.net
>>475
スマホの力に頼りきったな!って名言がある
現代人に対するメッセージ性がつよかった

497 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:34.81 ID:7DGNa38Id.net
>>489
飛び抜けてたわ

498 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:37.68 ID:wR2fvslk0.net
名作や

499 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:43.81 ID:kTlWvFVoM.net
「どこまでひとをばかにするんだ。よし見ていろ。印度の虎狩をひいてやるから。」ゴーシュはすっかり落ちついて舞台のまん中へ出ました。
 それからあの猫の来たときのようにまるで怒った象のような勢で虎狩りを弾きました。ところが聴衆はしいんとなって一生けん命聞いています。ゴーシュはどんどん弾きました。猫が切ながってぱちぱち火花を出したところも過ぎました。扉へからだを何べんもぶっつけた所も過ぎました。
 曲が終るとゴーシュはもうみんなの方などは見もせずちょうどその猫のようにすばやくセロをもって楽屋へ遁げ込みました。すると楽屋では楽長はじめ仲間がみんな火事にでもあったあとのように眼をじっとしてひっそりとすわり込んでいます。ゴーシュはやぶれかぶれだと思ってみんなの間をさっさとあるいて行って向うの長椅子へどっかりとからだをおろして足を組んですわりました。
 するとみんなが一ぺんに顔をこっちへ向けてゴーシュを見ましたがやはりまじめでべつにわらっているようでもありませんでした。
「こんやは変な晩だなあ。」
 ゴーシュは思いました。ところが楽長は立って云いました。
「ゴーシュ君、よかったぞお。あんな曲だけれどもここではみんなかなり本気になって聞いてたぞ。一週間か十日の間にずいぶん仕上げたなあ。十日前とくらべたらまるで赤ん坊と兵隊だ。やろうと思えばいつでもやれたんじゃないか、君。」
 仲間もみんな立って来て「よかったぜ」とゴーシュに云いました。
「いや、からだが丈夫だからこんなこともできるよ。普通の人なら死んでしまうからな。」楽長が向うで云っていました。
 その晩遅くゴーシュは自分のうちへ帰って来ました。
 そしてまた水をがぶがぶ呑みました。それから窓をあけていつかかっこうの飛んで行ったと思った遠くのそらをながめながら
「ああかっこう。あのときはすまなかったなあ。おれは怒ったんじゃなかったんだ。」と云いました。


おしまい

500 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:44.15 ID:Rd2kmrxBp.net
なんで小室のステータスは見なかったん?

501 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:45.25 ID:dAw7dxtp0.net
未完の道楽時計!?

502 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:52:45.66 ID:Pf0B8TeHa.net
いつまで落下するんだよ

503 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:53:03.62 ID:3IoxwpHL0.net
同時上映やめろ

504 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:53:06.47 ID:5lt7Xi8I0.net
>>470
なにこれ全然状況がわからん

505 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:53:15.53 ID:fWaCH8Xf0.net
>>496
作品も違うし台詞もちょっと違うんだよなぁ…

506 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:53:19.89 ID:z/ynHmaR0.net
未完で終わりそうやな

507 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:53:28.47 ID:wR2fvslk0.net
これ完結してるんやろ?

508 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:53:32.21 ID:003bMtMt0.net
>>475
読めなきゃ気持ち悪いってわかんないじゃん!w
1話読みきれなかった、だな

509 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:53:32.28 ID:84M8CMKL0.net
>>470
キンキン愛川欽也出たああああああああああああ

510 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:53:36.91 ID:fGAD0iSe0.net
胎児よ

胎児よ

何故躍る

母親の心がわかって

おそろしいのか

511 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:53:39.59 ID:lLb+BTEu0.net
「フーン」ヌポポ

512 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:53:48.32 ID:Kc6YEE+l0.net
落下中に何作か終わりそうで草

513 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:53:58.90 ID:KhSd0uAIa.net
>>497
もはや恐ろしいな、自己肯定欲の権化や

514 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:53:59.89 ID:Pf0B8TeHa.net
寝そう

515 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:54:02.66 ID:wR2fvslk0.net
>>510
ドラァ!!!!!!マラァ!!!!!
ガ・グラァ!!!!!

516 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:54:07.00 ID:KILMdFp60.net
>>511
くさ

517 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:54:19.87 ID:fGAD0iSe0.net
…………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………。
 私がウスウスと眼を覚ました時、こうした蜜蜂みつばちの唸うなるような音は、まだ、その弾力の深い余韻を、私の耳の穴の中にハッキリと引き残していた。
 それをジッと聞いているうちに……今は真夜中だな……と直覚した。そうしてどこか近くでボンボン時計が鳴っているんだな……と思い思い、又もウトウトしているうちに、その蜜蜂のうなりのような余韻は、いつとなく次々に消え薄れて行って、そこいら中がヒッソリと静まり返ってしまった。
 私はフッと眼を開いた。
 かなり高い、白ペンキ塗の天井裏から、薄白い塵埃ほこりに蔽おおわれた裸の電球がタッタ一つブラ下がっている。その赤黄色く光る硝子球ガラスだまの横腹に、大きな蠅はえが一匹とまっていて、死んだように凝然じっとしている。その真下の固い、冷めたい人造石の床の上に、私は大の字型なりに長くなって寝ているようである。
 ……おかしいな…………。
 私は大の字型なりに凝然じっとしたまま、瞼まぶたを一パイに見開いた。そうして眼の球たまだけをグルリグルリと上下左右に廻転さしてみた。

518 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:54:21.57 ID:z/ynHmaR0.net
あと8分でスレ落ちるぞ

519 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:54:23.70 ID:NLHpwj8y0.net
崖から落ちて一秒くらいってイメージするとなんか格好いい

520 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:54:34.39 ID:7DGNa38Id.net
>>508
せやな

521 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:54:36.72 ID:EGO/y1Ok0.net
長髪「オ、メ……」

長髪「百点なンだわ……」ゴフッ

長髪「」

俺「勝った、のか?」ゼェゼェ

俺「ふ、ふふ……」

俺「槍使い、あの子は頼んだぞ……」

ゴシャッ

522 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:54:37.12 ID:003bMtMt0.net
>>500
皇室に入りそうで不敬罪になるから

523 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:54:39.65 ID:8AGo4Wrg0.net
感動した

524 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:54:49.52 ID:wR2fvslk0.net
>>521
ここ長髪ほんと好き

525 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:54:56.27 ID:q3pYnUE80.net
ドグラ・マグラもくるとはたまげたなぁ

526 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:54:59.62 ID:z/ynHmaR0.net
おわったの・・・か?

527 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:55:03.69 ID:Pf0B8TeHa.net
俺さーーん!😭😭

528 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:55:05.85 ID:j4+TVN7u0.net
完結の予感

529 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:55:08.73 ID:PES6ndF90.net
農政と言えば、この事件を昭和三十五年から書き始める手もある。その年経済同友会や経団連に属する財界のお偉方が日本の農業に対して《高度の経済成長を遂げるためには都市へ圧倒的な労働力を集めなければならない。そのためには農業を機械化し、それによって農作業を省力化し、農村の労働力を余らせるようにすべきである》としばしば提言し、それがもとになっていわゆる農業近代化が進行することになるのだが、財界のお偉方のこれらの提言が事件の引き金のひとつになっていることは疑う余地がないからである。

530 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:55:09.56 ID:jjKA4Ff70.net
完結かな?

531 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:55:11.59 ID:fGAD0iSe0.net
青黒い混凝土コンクリートの壁で囲まれた二間けん四方ばかりの部屋である。
 その三方の壁に、黒い鉄格子と、鉄網かなあみで二重に張り詰めた、大きな縦長い磨硝子すりガラスの窓が一つ宛ずつ、都合三つ取付けられている、トテも要心ようじん堅固に構えた部屋の感じである。
 窓の無い側の壁の附け根には、やはり岩乗がんじょうな鉄の寝台が一個、入口の方向を枕にして横たえてあるが、その上の真白な寝具が、キチンと敷き展ならべたままになっているところを見ると、まだ誰も寝たことがないらしい。
 ……おかしいぞ…………。
 私は少し頭を持ち上げて、自分の身体からだを見廻わしてみた。
 白い、新しいゴワゴワした木綿の着物が二枚重ねて着せてあって、短かいガーゼの帯が一本、胸高に結んである。そこから丸々と肥ふとって突き出ている四本の手足は、全体にドス黒く、垢だらけになっている……そのキタナラシサ……。
 ……いよいよおかしい……。
 怖こわ怖ごわ右手めてをあげて、自分の顔を撫なでまわしてみた。
 ……鼻が尖とんがって……眼が落ち窪くぼんで……頭髪あたまが蓬々ぼうぼうと乱れて……顎鬚あごひげがモジャモジャと延びて……。

532 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:55:15.82 ID:ZM/x6TSh0.net
やった…のか?

533 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:55:18.43 ID:NLHpwj8y0.net
>>505
あ…ほんとだ…
やばい区別つかなくなってる

534 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:55:25.81 ID:vCZOkBMPa.net
こ、こむkーーーー!😭😭😭😭

535 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:55:25.85 ID:wR2fvslk0.net
このあと槍使いの領地で奴隷が虐められる展開はないんか?

536 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:55:25.87 ID:LWYY0A4Sd.net
>>521
これで皇室は安泰やな

537 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:55:53.49 ID:fGAD0iSe0.net
……私はガバと跳ね起きた。
 モウ一度、顔を撫でまわしてみた。
 そこいらをキョロキョロと見廻わした。
 ……誰だろう……俺はコンナ人間を知らない……。
 胸の動悸がみるみる高まった。早鐘を撞つくように乱れ撃ち初めた……呼吸が、それに連れて荒くなった。やがて死ぬかと思うほど喘あえぎ出した。……かと思うと又、ヒッソリと静まって来た。
 ……こんな不思議なことがあろうか……。
 ……自分で自分を忘れてしまっている……。
 ……いくら考えても、どこの何者だか思い出せない。……自分の過去の思い出としては、たった今聞いたブウ――ンンンというボンボン時計の音がタッタ一つ、記憶に残っている。……ソレッ切りである……。
 ……それでいて気は慥たしかである。森閑しんかんとした暗黒が、部屋の外を取巻いて、どこまでもどこまでも続き広がっていることがハッキリと感じられる……。
 ……夢ではない……たしかに夢では…………。

538 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:10.72 ID:kDsT18Dt0.net
やったか?

539 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:12.71 ID:KhSd0uAIa.net
>>510
これ始まったらpart化やな

540 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:16.16 ID:SJVcVdqha.net
ごんぎつねすら長くて読めん
なんJやってると知能下がるわ

541 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:17.72 ID:vi+a4L340.net
お嬢様がサイゼで発狂するやつの続き書け

542 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:17.86 ID:YK4L4gRg0.net
落下してる最中にもキンキンしとるんか?
描写がまるで分からん
そんなこんなしてる間に夢野久作のクソ長電波小説が始まってしまった

543 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:25.67 ID:UR97Hh5e0.net
完結前に落ちるなこりゃ

544 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:26.08 ID:Ujjh9Rfma.net
おそい

545 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:31.97 ID:003bMtMt0.net
>>536
内親王が生霊飛ばしてくるぞ

546 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:36.69 ID:lxUHlwAt0.net
>>539
長すぎやろ

547 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:40.54 ID:NLHpwj8y0.net
>>535
そりゃあるやろね
貴族の親父が奴隷との結婚許さないよね

548 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:43.59 ID:lYV9ERpb0.net
>>510
これすきだいすき胎児の夢

549 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:45.17 ID:fGAD0iSe0.net
私は飛び上った。
 ……窓の前に駈け寄って、磨硝子の平面を覗いた。そこに映った自分の容貌かおかたちを見て、何かの記憶を喚よび起そうとした。……しかし、それは何にもならなかった。磨硝子の表面には、髪の毛のモジャモジャした悪鬼のような、私自身の影法師しか映らなかった。
 私は身を飜ひるがえして寝台の枕元に在る入口の扉ドアに駈け寄った。鍵穴だけがポツンと開いている真鍮しんちゅうの金具に顔を近付けた。けれどもその金具の表面は、私の顔を写さなかった。只、黄色い薄暗い光りを反射するばかりであった。
 ……寝台の脚を探しまわった。寝具を引っくり返してみた。着ている着物までも帯を解いて裏返して見たけれども、私の名前は愚おろか、頭文字らしいものすら発見し得なかった。
 私は呆然となった。私は依然として未知の世界に居る未知の私であった。私自身にも誰だかわからない私であった。
 こう考えているうちに、私は、帯を引きずったまま、無限の空間を、ス――ッと垂直に、どこへか落ちて行くような気がしはじめた。臓腑はらわたの底から湧き出して来る戦慄せんりつと共に、我を忘れて大声をあげた。
 それは金属性を帯びた、突拍子とっぴょうしもない甲高かんだかい声であった……が……その声は私に、過去の何事かを思い出させる間もないうちに、四方のコンクリート壁に吸い込まれて、消え失せてしまった。
 又叫んだ。……けれども矢張やはり無駄であった。その声が一しきり烈はげしく波動して、渦巻いて、消え去ったあとには、四つの壁と、三つの窓と、一つの扉が、いよいよ厳粛に静まり返っているばかりである。
 又叫ぼうとした。……けれどもその声は、まだ声にならないうちに、咽喉のどの奥の方へ引返してしまった。叫ぶたんびに深まって行く静寂の恐ろしさ……。

550 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:52.60 ID:EGO/y1Ok0.net
―三日後―
槍使い「まだ見つからないのか!」

部下「お、お待ちください時期領主様」

部下「崖が険しすぎてまともに調べられませんし、それに、この崖に落ちたとも限りませんし……」

槍使い「血痕からして、ここから落ちたとしか思えないだろうが!」

部下「見つかっても生きているはずはありませんし、急がなくても……」

槍使い「だとしても、一日でも早く遺体を引き上げなければならない! 俺と妻の恩人なのだ!」

551 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:57.92 ID:cL8EateR0.net
>>543
もう落ちたぞ

552 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:58.25 ID:LWYY0A4Sd.net
>>543
これだけ伸びてるのに完結せんのか

553 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:56:58.54 ID:7DGNa38Id.net
これ落ちるやろ

554 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:57:04.12 ID:8AGo4Wrg0.net
なろうに全編あるから読むと良い

555 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:57:13.83 ID:84M8CMKL0.net
スレ一時間ルールで終わるけどもうええわ

556 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:57:16.75 ID:5P/7sYivd.net
思ったよりおもろいやんけ
なろうに書けば書籍化いけるやろ
なろう小説なんてそんなもんやろ
これよりおもんないやつなんていくらでもある

557 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:57:19.60 ID:Pf0B8TeHa.net
結婚したんか🎉

558 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:57:19.73 ID:EGO/y1Ok0.net
部下「……その件についても、考え直してください」

女の子「…………」

部下「この娘……元娼館の嬢で性奴隷で、おまけに某家の隠し子だというじゃありませんか」

部下「スキャンダルのデパートですよ」

槍使い「俺は、あの人からあの子を任されたのだ! そしてこの世界にデパートなぞあるかっ!」

槍使い「つまらんことばかり言っていないで、早く捜せ!」

部下「うう……ようやく戻ってきてくださったと思えば、また無茶なことを……」

559 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:57:29.46 ID:EGO/y1Ok0.net
部下2「時期領主様、崖下で、人が見つかりました!」

女の子「!」

槍使い「本当か!?」

部下2「はい」

部下2「……それから……信じられないことに、生きています」

女の子「えっ……?」

槍使い「……な、なんだと?」

560 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:57:52.47 ID:kTlWvFVoM.net
 えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。焦躁と言おうか、嫌悪と言おうか――酒を飲んだあとに宿酔があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔に相当した時期がやって来る。それが来たのだ。これはちょっといけなかった。結果した肺尖カタルや神経衰弱がいけないのではない。また背を焼くような借金などがいけないのではない。いけないのはその不吉な塊だ。以前私を喜ばせたどんな美しい音楽も、どんな美しい詩の一節も辛抱がならなくなった。蓄音器を聴かせてもらいにわざわざ出かけて行っても、最初の二三小節で不意に立ち上がってしまいたくなる。何かが私を居堪らずさせるのだ。それで始終私は街から街を浮浪し続けていた。
 何故だかその頃私は見すぼらしくて美しいものに強くひきつけられたのを覚えている。風景にしても壊れかかった街だとか、その街にしてもよそよそしい表通りよりもどこか親しみのある、汚い洗濯物が干してあったりがらくたが転がしてあったりむさくるしい部屋が覗いていたりする裏通りが好きであった。雨や風が蝕んでやがて土に帰ってしまう、と言ったような趣きのある街で、土塀が崩れていたり家並が傾きかかっていたり――勢いのいいのは植物だけで、時とするとびっくりさせるような向日葵があったりカンナが咲いていたりする。
 時どき私はそんな路を歩きながら、ふと、そこが京都ではなくて京都から何百里も離れた仙台とか長崎とか――そのような市へ今自分が来ているのだ――という錯覚を起こそうと努める。私は、できることなら京都から逃げ出して誰一人知らないような市へ行ってしまいたかった。第一に安静。がらんとした旅館の一室。清浄な蒲団。匂いのいい蚊帳と糊のよくきいた浴衣。そこで一月ほど何も思わず横になりたい。希わくはここがいつの間にかその市になっているのだったら。――錯覚がようやく成功しはじめると私はそれからそれへ想像の絵具を塗りつけてゆく。なんのことはない、私の錯覚と壊れかかった街との二重写しである。そして私はその中に現実の私自身を見失うのを楽しんだ。

561 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:57:54.06 ID:cxeKoGS50.net
なんで20ゴールドのゴミを80万も出して買ったんや?

562 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:57:56.66 ID:q3pYnUE80.net
>>559
ドン引きで草

563 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:57:57.03 ID:NLHpwj8y0.net
なんで現代の言葉使ってんの

564 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:01.70 ID:EGO/y1Ok0.net
部下2「は、はい。重傷ではありましたが……」

部下2「横に、不自然な形に折れた聖剣がありまして……」

部下2「恐らくは、身代わりになったのではないかと」

女の子「すっ、すぐに、すぐに会わせてください!」

女の子「私っ、まだ、まともにお礼も……!」

槍使い「お、俺もだ!」バッ

565 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:05.59 ID:003bMtMt0.net
>>550
2日で結婚してて草
時期がくると領主になるから時期なのか

566 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:15.14 ID:QHLexVzl0.net
女侯爵やっつけんと何回も狙われるんじゃね?

567 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:15.70 ID:NzdfFjGo0.net
>>558
ここいる?

568 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:24.28 ID:kTlWvFVoM.net
 私はまたあの花火というやつが好きになった。花火そのものは第二段として、あの安っぽい絵具で赤や紫や黄や青や、さまざまの縞模様を持った花火の束、中山寺の星下り、花合戦、枯れすすき。それから鼠花火というのは一つずつ輪になっていて箱に詰めてある。そんなものが変に私の心を唆った。
 それからまた、びいどろという色硝子で鯛や花を打ち出してあるおはじきが好きになったし、南京玉が好きになった。またそれを嘗めてみるのが私にとってなんともいえない享楽だったのだ。あのびいどろの味ほど幽かな涼しい味があるものか。私は幼い時よくそれを口に入れては父母に叱られたものだが、その幼時のあまい記憶が大きくなって落ち魄れた私に蘇えってくる故だろうか、まったくあの味には幽かな爽やかななんとなく詩美と言ったような味覚が漂って来る。
 察しはつくだろうが私にはまるで金がなかった。とは言えそんなものを見て少しでも心の動きかけた時の私自身を慰めるためには贅沢ということが必要であった。二銭や三銭のもの――と言って贅沢なもの。美しいもの――と言って無気力な私の触角にむしろ媚びて来るもの。――そう言ったものが自然私を慰めるのだ。

569 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:26.26 ID:LWYY0A4Sd.net
>>559
K生きとるんか

570 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:29.99 ID:j4+TVN7u0.net
スパートかけてて草

571 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:34.92 ID:EGO/y1Ok0.net
神父「槍使い様よ、あなたは彼女と永遠の愛を誓いますか?」

槍使い「は、はみ、はい! 誓います!」

女の子「……」クスッ

シーン

プププ
イマ,ジキリョウシュサマ,スゴイカミカタシタナ
ククッ

槍使い「わ、笑わなくていいじゃないか!」アセアセ

女の子「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、笑ってはいけないと思うと余計に……!」アセアセ

572 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:36.03 ID:NLHpwj8y0.net
聖剣折れるんか

573 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:37.60 ID:Y83Kws210.net
まだ連載してて草

574 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:38.88 ID:8AGo4Wrg0.net
この世界にデパートなぞあるか!

575 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:39.73 ID:vCZOkBMPa.net
こむk生きてたンだわ

576 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:41.09 ID:N1u8UOK7a.net
デパートの件嫌いじゃないわ

577 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:42.34 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「…………はぁ」

奴隷商人「なんだい? このめでたい日につまらない欠伸なんかして。つまみ出されるよ」

俺「なんでお前いるんだ……?」

俺「よく見たら白魔導士のおっさんもいるし……」

俺(おっさん、号泣してやがる。藪治療でぼったくろうとしてたくせに……)

奴隷商人「恩人として招待されたからね」

奴隷商人「もっともあの子を売り買いしてたのアタシなんだけど」

俺「…………」

578 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:48.06 ID:KhSd0uAIa.net
>>540
わかる
自分がバカになってしまったのか本で見たとしても読める自信なくなってきたわ

579 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:49.64 ID:TmS6LozwH.net
なんJでSSとか無理あるわ

580 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:52.47 ID:EGO/y1Ok0.net
奴隷商人「それより、どうしたのさ」

俺「……俺の力は全部、もらいものだったんだよ」

奴隷商人「へえ」

俺「驚かないのか?」

奴隷商人「まあ不相応な力だったし、そんなところだと思ってたさ」

俺「ずばずば言いやがって……」

俺「……とにかく、それが全部なくなっちまったんだよ」

奴隷商人「ふうん、そうかい」

581 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:57.37 ID:fGAD0iSe0.net
奥歯がガチガチと音を立てはじめた。膝頭ひざがしらが自然とガクガクし出した。それでも自分自身が何者であったかを思い出し得ない……その息苦しさ。
 私は、いつの間にか喘あえぎ初めていた。叫ぼうにも叫ばれず、出ようにも出られぬ恐怖に包まれて、部屋の中央まんなかに棒立ちになったまま喘いでいた。
 ……ここは監獄か……精神病院か……。
 そう思えば思うほど高まる呼吸の音が、凩こがらしのように深夜の四壁に反響するのを聞いていた。
 そのうちに私は気が遠くなって来た。眼の前がズウ――と真暗くなって来た。そうして棒のように強直ごうちょくした全身に、生汗をビッショリと流したまま仰向あおむけ様ざまにスト――ンと、倒れそうになったので、吾知らず観念の眼を閉じた……と思ったが……又、ハッと機械のように足を踏み直した。両眼をカッと見開いて、寝台の向側の混凝土コンクリート壁を凝視した。
 その混凝土壁の向側から、奇妙な声が聞えて来たからであった。
 ……それは確かに若い女の声と思われた。けれども、その音調はトテも人間の肉声とは思えないほど嗄しゃがれてしまって、ただ、底悲しい、痛々しい響ひびきばかりが、混凝土の壁を透して来るのであった。
「……お兄さま。お兄さま。お兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さま。……モウ一度……今のお声を……聞かしてエ――ッ…………」
 私は愕然がくぜんとして縮み上った。思わずモウ一度、背後うしろを振り返った。この部屋の中に、私以外の人間が一人も居ない事を承知し抜いていながら……それから又も、その女の声を滲しみ透して来る、コンクリート壁の一部分を、穴のあく程、凝視した。

582 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:58:58.70 ID:rDLYrWDoM.net
盲目のチノ

583 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:59:02.01 ID:EGO/y1Ok0.net
俺「終わりだ終わり、ぜーんぶ終わりだ。助からなきゃよかった」ハァ

俺「せっかく転移してチートもらって気分よく無双してハーレム作れるはずだったのに」

俺「性格と要領の悪いクズが残っただけじゃねぇか」

俺「せめてステータスさえあればいくらでも稼ぎようがあったのに、剣と一緒に壊れやがって」

俺「こんなんでこの超ハードな世界で生き残れるわけないだろうが」

584 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:59:13.32 ID:EGO/y1Ok0.net
奴隷商人「…………」

俺「……どうでもよさそうだな」

奴隷商人「どうでもいいじゃないか、たまたま拾ったもの失くしただけなんだから」

俺「他人事だと思いやがって」

奴隷商人「……それに、昔のお客さんは知らないけど、今のお客さんがクズだとは思わないけどね」

俺「適当におだてやがって」ハンッ

奴隷商人「随分と拗ねてるね……」

585 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:59:13.88 ID:kTlWvFVoM.net
 生活がまだ蝕まれていなかった以前私の好きであった所は、たとえば丸善であった。赤や黄のオードコロンやオードキニン。洒落た切子細工や典雅なロココ趣味の浮模様を持った琥珀色や翡翠色の香水壜。煙管、小刀、石鹸、煙草。私はそんなものを見るのに小一時間も費すことがあった。そして結局一等いい鉛筆を一本買うくらいの贅沢をするのだった。しかしここももうその頃の私にとっては重くるしい場所に過ぎなかった。書籍、学生、勘定台、これらはみな借金取りの亡霊のように私には見えるのだった。
 ある朝――その頃私は甲の友達から乙の友達へというふうに友達の下宿を転々として暮らしていたのだが――友達が学校へ出てしまったあとの空虚な空気のなかにぽつねんと一人取り残された。
私はまたそこから彷徨い出なければならなかった。何かが私を追いたてる。そして街から街へ、先に言ったような裏通りを歩いたり、駄菓子屋の前で立ち留まったり、乾物屋の乾蝦や棒鱈や湯葉を眺めたり、とうとう私は二条の方へ寺町を下り、そこの果物屋で足を留めた。ここでちょっとその果物屋を紹介したいのだが、その果物屋は私の知っていた範囲で最も好きな店であった。そこは決して立派な店ではなかったのだが、果物屋固有の美しさが最も露骨に感ぜられた。果物はかなり勾配の急な台の上に並べてあって、その台というのも古びた黒い漆塗りの板だったように思える。
何か華やかな美しい音楽の快速調の流れが、見る人を石に化したというゴルゴンの鬼面――的なものを差しつけられて、あんな色彩やあんなヴォリウムに凝り固まったというふうに果物は並んでいる。青物もやはり奥へゆけばゆくほど堆高く積まれている。
――実際あそこの人参葉の美しさなどは素晴しかった。それから水に漬けてある豆だとか慈姑だとか。

586 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:59:14.71 ID:kDRAHPbt0.net
ペース上げすぎやろ

587 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:59:33.05 ID:PES6ndF90.net
もしくはこの事件をアメリカの作家ヘミングウェイの実弟であるレスター・ヘミングウェイの独立宣言から語り始めるのも面白いだろう。六○年代の前半、数回にわたって、レスターはアメリカ合衆国大統領に宛て「ニュー・アトランチス国」の分離独立を通告している。彼はジャマイカ南方の小島を買い入れ、そこに人口一人の独立国家を樹立しようとしたが、通告はその都度、拒否された。このニュースは全世界の人々に笑い話として受け取られたが、この事件の首謀者たちにとってそれはひとつの天啓であった。その意味からも記録係としては「ニュー・アトランチス国」の盛衰を序章としたい誘惑にも駆られるのである

588 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:59:36.00 ID:QQMtllQ/a.net
とばしたけどまだ続いてて草

589 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:59:41.29 ID:003bMtMt0.net
>>561
返金があったから5万だぞ
マージン49980ゴールド美味しいです

590 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:59:52.89 ID:kTlWvFVoM.net
 またそこの家の美しいのは夜だった。寺町通はいったいに賑かな通りで――と言って感じは東京や大阪よりはずっと澄んでいるが――飾窓の光がおびただしく街路へ流れ出ている。それがどうしたわけかその店頭の周囲だけが妙に暗いのだ。もともと片方は暗い二条通に接している街角になっているので、暗いのは当然であったが、その隣家が寺町通にある家にもかかわらず暗かったのが瞭然しない。しかしその家が暗くなかったら、あんなにも私を誘惑するには至らなかったと思う。もう一つはその家の打ち出した廂なのだが、その廂が眼深に冠った帽子の廂のように――これは形容というよりも、「おや、あそこの店は帽子の廂をやけに下げているぞ」と思わせるほどなので、廂の上はこれも真暗なのだ。そう周囲が真暗なため、店頭に点けられた幾つもの電燈が驟雨のように浴びせかける絢爛は、周囲の何者にも奪われることなく、ほしいままにも美しい眺めが照らし出されているのだ。裸の電燈が細長い螺旋棒をきりきり眼の中へ刺し込んでくる往来に立って、また近所にある鎰屋の二階の硝子窓をすかして眺めたこの果物店の眺めほど、その時どきの私を興がらせたものは寺町の中でも稀だった。
 その日私はいつになくその店で買物をした。というのはその店には珍しい檸檬が出ていたのだ。檸檬などごくありふれている。がその店というのも見すぼらしくはないまでもただあたりまえの八百屋に過ぎなかったので、それまであまり見かけたことはなかった。いったい私はあの檸檬が好きだ。レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあの丈の詰まった紡錘形の恰好も。――結局私はそれを一つだけ買うことにした。それからの私はどこへどう歩いたのだろう。私は長い間街を歩いていた。始終私の心を圧えつけていた不吉な塊がそれを握った瞬間からいくらか弛んで来たとみえて、私は街の上で非常に幸福であった。あんなに執拗かった憂鬱が、そんなものの一顆で紛らされる――あるいは不審なことが、逆説的なほんとうであった。それにしても心というやつはなんという不可思議なやつだろう。

591 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 14:59:55.95 ID:NzdfFjGo0.net
最初からそのペースで書かんか

592 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:00.70 ID:o7PFA4pId.net
完走したの見るの二回目やわ

593 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:01.19 ID:fWaCH8Xf0.net
ペース上がったか やればできるやんけサッサとしろ

594 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:03.02 ID:QJqHpqud0.net
ここまで続いてるの初めて見た

595 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:08.01 ID:7DGNa38Id.net
これイッチ名作劇場読んでたやろ

596 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:12.05 ID:EGO/y1Ok0.net
奴隷商人「……お客さんがもしよかったら、アタシの商売を手伝ってみないかい? アタシ、結構持ってるんだよ」

俺「俺なんか役に立たねえよ」

俺「……それに奴隷の売買は俺には無理だ。買おうとしてはっきりわかったわ」

奴隷商人「……もしも、そういう商売から足を洗ったら来てくれるかい?」

俺「なんでそんなグイグイ来るんだ……俺なんか騙しても金にならないぞ」

奴隷商人「鈍い人だね……」ハァ

俺「……まあでも、他に行く場所もないし、もしもそうなったときには雇ってもらおうかな」

奴隷商人「よしっ、じゃあ決まりだね」

俺「即決できる話じゃないだろ!? やっぱり裏があるんじゃ……」

奴隷商人「もう言質は取ったさ。さて、式が終わったらついてきてもらうよ」ニヤッ



597 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:22.03 ID:kTlWvFVoM.net
 その檸檬の冷たさはたとえようもなくよかった。その頃私は肺尖を悪くしていていつも身体に熱が出た。事実友達の誰彼に私の熱を見せびらかすために手の握り合いなどをしてみるのだが、私の掌が誰のよりも熱かった。その熱い故だったのだろう、握っている掌から身内に浸み透ってゆくようなその冷たさは快いものだった。
 私は何度も何度もその果実を鼻に持っていっては嗅いでみた。それの産地だというカリフォルニヤが想像に上って来る。漢文で習った「売柑者之言」の中に書いてあった「鼻を撲つ」という言葉が断れぎれに浮かんで来る。そしてふかぶかと胸一杯に匂やかな空気を吸い込めば、ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかった私の身体や顔には温い血のほとぼりが昇って来てなんだか身内に元気が目覚めて来たのだった。……
 実際あんな単純な冷覚や触覚や嗅覚や視覚が、ずっと昔からこればかり探していたのだと言いたくなったほど私にしっくりしたなんて私は不思議に思える――それがあの頃のことなんだから。
 私はもう往来を軽やかな昂奮に弾んで、一種誇りかな気持さえ感じながら、美的装束をして街を※(「さんずい+闊」、第4水準2-79-45)歩した詩人のことなど思い浮かべては歩いていた。汚れた手拭の上へ載せてみたりマントの上へあてがってみたりして色の反映を量ったり、またこんなことを思ったり、
 ――つまりはこの重さなんだな。――
 その重さこそ常づね尋ねあぐんでいたもので、疑いもなくこの重さはすべての善いものすべての美しいものを重量に換算して来た重さであるとか、思いあがった諧謔心からそんな馬鹿げたことを考えてみたり――なにがさて私は幸福だったのだ。
 どこをどう歩いたのだろう、私が最後に立ったのは丸善の前だった。平常あんなに避けていた丸善がその時の私にはやすやすと入れるように思えた。

598 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:22.01 ID:KSuSeUcz0.net
はよかけ

599 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:25.59 ID:N840NUj50.net
今思ったけど主人公おじさんでこの口調とかくっそ痛くね?

600 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:26.82 ID:W36aqPTP0.net
山月記載せてる人、中島敦から訴えられない?大丈夫?

601 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:27.28 ID:Kc6YEE+l0.net
急げ落ちたら名作たちに顔向けできんぞ

602 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:27.86 ID:fWaCH8Xf0.net
ペース落とすなよ落ちるぞ

603 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:36.03 ID:Ujjh9Rfma.net
は?

604 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:37.71 ID:wR2fvslk0.net
>>566
KKが殺してくれる

605 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:40.29 ID:zJg3Ei200.net
飛ばしたら終わってて草
暇になったら読むか

606 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:41.72 ID:KQhPstaS0.net
長編か??

607 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:44.87 ID:vCZOkBMPa.net
は?

608 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:49.83 ID:kTlWvFVoM.net
「今日は一つ入ってみてやろう」そして私はずかずか入って行った。
 しかしどうしたことだろう、私の心を充たしていた幸福な感情はだんだん逃げていった。香水の壜にも煙管にも私の心はのしかかってはゆかなかった。憂鬱が立て罩めて来る、私は歩き廻った疲労が出て来たのだと思った。私は画本の棚の前へ行ってみた。画集の重たいのを取り出すのさえ常に増して力が要るな! と思った。しかし私は一冊ずつ抜き出してはみる、そして開けてはみるのだが、克明にはぐってゆく気持はさらに湧いて来ない。しかも呪われたことにはまた次の一冊を引き出して来る。それも同じことだ。それでいて一度バラバラとやってみなくては気が済まないのだ。それ以上は堪らなくなってそこへ置いてしまう。以前の位置へ戻すことさえできない。私は幾度もそれを繰り返した。とうとうおしまいには日頃から大好きだったアングルの橙色の重い本までなおいっそうの堪えがたさのために置いてしまった。――なんという呪われたことだ。手の筋肉に疲労が残っている。私は憂鬱になってしまって、自分が抜いたまま積み重ねた本の群を眺めていた。
 以前にはあんなに私をひきつけた画本がどうしたことだろう。一枚一枚に眼を晒し終わって後、さてあまりに尋常な周囲を見廻すときのあの変にそぐわない気持を、私は以前には好んで味わっていたものであった。……
「あ、そうだそうだ」その時私は袂の中の檸檬を憶い出した。本の色彩をゴチャゴチャに積みあげて、一度この檸檬で試してみたら。「そうだ」
 私にまた先ほどの軽やかな昂奮が帰って来た。私は手当たり次第に積みあげ、また慌しく潰し、また慌しく築きあげた。新しく引き抜いてつけ加えたり、取り去ったりした。奇怪な幻想的な城が、そのたびに赤くなったり青くなったりした。
 やっとそれはでき上がった。そして軽く跳りあがる心を制しながら、その城壁の頂きに恐る恐る檸檬を据えつけた。そしてそれは上出来だった。

609 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:51.08 ID:cL8EateR0.net
女侯爵どうなったんや!

610 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:51.29 ID:z/ynHmaR0.net
完結した

611 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:51.68 ID:NLHpwj8y0.net
は?

612 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:52.97 ID:FPjhq43Xa.net
膣ゴレ

613 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:58.65 ID:KSuSeUcz0.net
は?

614 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:00:58.79 ID:QJqHpqud0.net
これで終わりなんか
初めて最後まで読んだ

615 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:02.56 ID:Pf0B8TeHa.net
は?

616 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:04.18 ID:ZM/x6TSh0.net
え?なラスト

617 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:05.42 ID:fPQVaTGE0.net
ええな

618 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:07.17 ID:j4+TVN7u0.net
結構おもろかったで



619 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:07.71 ID:NgbvdR2o0.net
みてないけど膣ゴーレム?

620 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:08.78 ID:84M8CMKL0.net
残り2分で完走してて草

621 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:10.88 ID:fWaCH8Xf0.net
奴隷商人エンドやったんか

622 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:11.14 ID:NzdfFjGo0.net
サンガツ
普通におもろかったぞ
でももうちょいステータスの異能を活かしてもええんちゃうか

623 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:17.21 ID:0tjK5ziw0.net
奴隷商人と結婚するんか?

624 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:17.41 ID:z/ynHmaR0.net
感動した

625 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:18.89 ID:fGAD0iSe0.net
「……お兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さま……お隣りのお部屋に居らっしゃるお兄様……あたしです。妾あたしです。お兄様の許嫁いいなずけだった……貴方あなたの未来の妻でした妾……あたしです。あたしです。どうぞ……どうぞ今のお声をモウ一度聞かして……聞かして頂戴……聞かして……聞かしてエ――ッ……お兄様お兄様お兄様お兄様……おにいさまア――ッ……」

626 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:19.95 ID:kTlWvFVoM.net
 見わたすと、その檸檬の色彩はガチャガチャした色の階調をひっそりと紡錘形の身体の中へ吸収してしまって、カーンと冴えかえっていた。私は埃っぽい丸善の中の空気が、その檸檬の周囲だけ変に緊張しているような気がした。私はしばらくそれを眺めていた。
 不意に第二のアイディアが起こった。その奇妙なたくらみはむしろ私をぎょっとさせた。
 ――それをそのままにしておいて私は、なに喰わぬ顔をして外へ出る。――
 私は変にくすぐったい気持がした。「出て行こうかなあ。そうだ出て行こう」そして私はすたすた出て行った。
 変にくすぐったい気持が街の上の私を微笑ませた。丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなにおもしろいだろう。
 私はこの想像を熱心に追求した。「そうしたらあの気詰まりな丸善も粉葉みじんだろう」
 そして私は活動写真の看板画が奇体な趣きで街を彩っている京極を下って行った。


おしまい

627 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:22.17 ID:5/YD8SEYM.net
は?

628 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:27.99 ID:FPjhq43Xa.net
センスないゴミSS

629 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:28.96 ID:QJqHpqud0.net
KKが良かった

630 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:30.74 ID:+Ycft38Er.net
なかなか良かったで


631 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:30.81 ID:QHLexVzl0.net
ホモエンドやな

632 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:33.89 ID:mN/rwCWla.net
面白かったわ。お疲れ様

633 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:37.23 ID:KQhPstaS0.net


634 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:38.65 ID:FU/VMpF50.net


635 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:45.03 ID:N1u8UOK7a.net
ワアはええとおもう

636 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:49.95 ID:003bMtMt0.net
>>596
乾燥してるな
冬が近いからな

637 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:50.53 ID:FPjhq43Xa.net
スレタイに【SS】ってつけろ言うたやろ殺すぞゴミ

638 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:50.69 ID:xmnTSlPQ0.net
つまんねーw

639 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:52.88 ID:fWaCH8Xf0.net
膣ゴーレムってこんな話やったんか

640 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:01:53.10 ID:Pf0B8TeHa.net
完結まで読めたからええか

641 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:02.71 ID:qYKxAaxUp.net
は?

642 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:04.18 ID:PES6ndF90.net
!?

643 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:07.04 ID:fGAD0iSe0.net
そこで終わらせられると物足りんな

644 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:07.18 ID:LWYY0A4Sd.net
この人のシリーズ完結したの初めて見たわ

645 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:09.19 ID:kDRAHPbt0.net
>>609
小室に斬られて死んだ

646 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:09.99 ID:j4+TVN7u0.net
でも女の子の槍使いへの愛情描写が足りんな
ないがしろにし過ぎや

647 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:10.16 ID:5Epcbdlua.net
小室圭死んだのか…

648 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:15.14 ID:7DGNa38Id.net
ここで終わるんか

649 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:15.41 ID:z/ynHmaR0.net
うぐぅ

650 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:16.02 ID:PES6ndF90.net
完結したしまあええか

651 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:21.75 ID:wR2fvslk0.net
>>596
奴隷商人っていうと魔女みたいな鼻したヨボヨボのゴブリンババアしか思い浮かばないんやがなんで30そこらのおっさんに欲情してるんや?性欲強すぎババアか?

652 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:28.41 ID:AuqHlb1r0.net
将来の夢なんだったんだ

653 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:31.02 ID:fWaCH8Xf0.net
>>631
商人は途中で女って明言されとるで

654 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:34.60 ID:PES6ndF90.net
吉里吉里人連載続けるべきか?

655 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:37.64 ID:hKTUFIb40.net
これがキンキンキンキンの元のなろう小説なんか?
俺「セリフ」←こういうのもなろうに投稿できるんやな

656 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:43.27 ID:N7uynBzO0.net
>>126
だから欲望に忠実ななろう作品がウケたという現実

657 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:47.40 ID:KQhPstaS0.net
>>625
夢野

658 :風吹けば名無し:2020/11/21(土) 15:02:54.02 ID:jqsQgSZ80.net
へびのかんごふさん、上映してくれんかな?

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