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「先生がオメガを倒したら宿題やってきてやるよ」と生徒が言ったので、わたしはゲームライターになった

1 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:34:33 ID:h8XqQ2ut0.net
キモチップ松岡のツイッターとか久々に見てたらちょっといい話があった
https://note.com/rurune/n/n9d92e63b81c9

2 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:34:48 ID:U5OlQ4T9M.net
嘘松

3 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:35:22 ID:h8XqQ2ut0.net
(できるかぎりがんばって思い出しましたが、なにしろ四半世紀経っているので間違い、勘違いがあるはずです。
話の大筋、いちばん伝えたいことはぶれていないはずなので、多少変なところがあろうと、勢いのまま書いたこの文を残しておくのもいいかなと思い始めました。ざっくりした気持ちで、ざんぶりと読んでください。)

4 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:35:54 ID:h8XqQ2ut0.net
大学生時代、塾講師のバイトをしていた。理由は金。岩手県で「現役東北大学生が勉強を教えます」とぶん回せば仕事がたくさん来た。家庭教師もしていたが、すぐに塾一本に絞った。希少性を高めるため、不便なところを狙った。
動機は金。岩手の実家から高速バスで1時間半揺られ、山奥の町の中にあるたった一つの塾に週3回通った。当時の岩手はのんきなもので、高校進学の選択肢もそんなに多くはなかった。
進学校に行くか、そうではない高校に行くか、それぐらい。それでも我が子のよりよい将来を願って、子供を塾に通わせる親が増えてきていた。

5 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:36:20 ID:h8XqQ2ut0.net
両親の願いを背負って送り込まれた子供たちは、そろいもそろって悪ガキだった。一様に「何で俺がこんなところに。アッホクサ」という顔をして、机に脚を上げ、時には地べたに座り、立ち上がって奇声を上げた。
ゲームの話をし続け、60分の授業の間CHAGE&ASKAの『YAH YAH YAH』を斉唱しやがった。やせ細った女子大生が新たな教師としてやって来た。それがどうした、なんだこいつは。
あまりに無力、授業は退屈。静かにしなさいと時々怒ってみせるだけ。そんなことでは彼らの大暴れが収まるはずはなかった。

6 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:36:41 ID:h8XqQ2ut0.net
「どうしたら真面目に勉強してくれるのさ」
ついにわたしは根負けして彼らにストレートに聞いた。
「しねえよ?」
彼らの答えたるやこれだ。わたしは絶望した。
「そう言わないでよ。お父さんお母さんがせっかく塾に通わせてるのに」
「俺は別に頼んでねえし。先生は60分、適当に授業して楽してればいいじゃん」
「それじゃだめだよ。どうしてゲームの話ばっかりするの。何がおもしろいの?」

7 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:37:09 ID:h8XqQ2ut0.net
悪ガキの中でも特に暴れ方がダイナミックな、龍之介(仮名)の顔が一瞬で険しくなった。
「先生さあ。やったこともねぇのに決めつけんなよ」
その言葉に、なぜかわたしは一片の真理を見た。ずっと「ゲームなんて興味ないな」「男の子がやるものだな」「ゲームばっかりしてるから勉強ができないんだよね」なんて思い込んでいたけれど、その考えに初めて疑問を持った。
いつもヘラヘラしている龍之介が真剣な顔をして怒る。そうするだけの理由があるのだと思った。

8 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:37:40 ID:h8XqQ2ut0.net
「先生がゲームすれば、龍之介たちは考えを変える?」
「それは知らんけど、やってみればいいじゃん」
「おもしろい?」
「おもしろいよ。先生もやればわかるから」

果たして、ゲームとは本当におもしろいものなのか? わたしは初めて生まれた疑問に向き合うことにした。翌日、スーパーファミコンと『ファイナルファンタジーV』を買った。
龍之介たちが強く薦めた作品だ。3ヶ月前、冬に発売されたのだという。

9 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:38:15 ID:h8XqQ2ut0.net
突然ゲーム機を買って帰ってきた娘に、母は目を丸くした。余っているテレビを部屋に持ち込み、悪戦苦闘しながらスーパーファミコンを接続する。ROMを挿す向きもわからず、やたらガシャガシャ音を立てた末に差し込み、電源を入れた。

「あっ、ピコピコじゃない」

これが最初の感想だった。荒いドット絵でひたすら短いループ音楽がピコピコして、前進とジャンプぐらいしかできることがない。そう思い込んでいたわたしのゲーム観を、『ファイナルファンタジーV』はあっという間に打ち砕いた。
ドット絵は緻密で美しく、音楽は壮大で冒険心を掻き立てられた。PCM音源なんだ、ふむふむ、うちのエレクトーンのパーカッション部分と同じ音源だな、などと感心した。(ちなみに楽器の音色の部分はFM音源)

10 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:38:19 ID:phDavk8p0.net
妖怪自己顕示欲

11 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:38:53 ID:/Wrz9aYna.net
長いうえにつまんねー話

12 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:39:06 ID:h8XqQ2ut0.net
「コンピュータゲームにもちゃんとストーリーがあるんだ」

たいへんに失礼なことながら、コンピュータゲームに関してまったくの無知だった当時のわたしはそう思った。突然ピコピコと戦闘が始まるのではなく、オープニングがあり、序章があり、登場人物と世界設定が語られ、自然とプレイヤーが物語の主人公として導かれる。
黄色いダチョウ――”チョコボ”という名称が明記されていてもなお、当時のわたしは作中の世界観に順応するということができなかったので、ダチョウと勝手に翻訳した――を連れたバッツという子供っぽい少年
(成人していたとは知らなかった)となって、わたしは冒険の旅に出た。

13 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:40:03 ID:h8XqQ2ut0.net
あれこれ進めるうち、初のダンジョンらしき場所に向かうことになった。(途中にも戦闘エリアはいくつかあったが、当時のわたしが”初のダンジョン”と認識したのは火力船だったので、このように記す。以下、間違いがあっても当時の印象のまま記す)
わたしは『Dungeons&Dragons(TM)』のプレイ経験があったため、ゲームにおける”ダンジョン”という言葉が何を指し示すかはよく理解している。閉じたエリアで、敵とお宝が配置されており、最後にボスがいる。
しかし途中でテーブルトークRPGでは決して登場しない、見慣れないものを見つけた。きらきら白く輝くリング状のそれは、”セーブポイント”というらしかった。いままでもどこかにあったのかもしれないが、覚えていない。
目に入らなかった。コンピュータRPGを知らな過ぎて、何がインタラクトできる物体か、何がそうでないか区別できなかった。極端な話、敵と味方キャラクター以外はぜんぶ背景の絵に見えた。


テーブルトーク経験者で草

14 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:40:29 ID:h8XqQ2ut0.net
ここでセーブとロードができます。
ヘルプメッセージはそう言っていた。
なるほどそうですか。
納得したわたしは、セーブポイントの中に2秒ほど入り、そのまま出た。

その少し先にはリクイドフレイムというボスがいた。人の形、渦の形、手の形に変形するボスで、形態によって攻撃が変化する。
コンピュータゲーム初心者のわたしにはそんなことがわかるはずもなく(ヘルプメッセージがあったが、文字は読めても頭に入っていかなかった)、短時間で全滅した。

15 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:40:57 ID:h8XqQ2ut0.net
「終わってしまった」
ゲームオーバーになったので、わたしはスーパーファミコンの電源を一度切った。ゲームが終わったから、ゲーム機も休ませるのだ。5分ぐらい待ってから、また電源を入れる。そしてまた、のんびりとオープニングムービーを見た。

ゲームを再開し、また同じ話を見て、同じダンジョンに行き、ヘルプメッセージの通りセーブポイントにキャラクターを何秒か立たせて、外に出て、ボスに挑んで、全滅した。電源を切って、また入れた。オープニングが始まったので見た。次の日も同じことをした。

「コンピュータRPGは難しいなぁ」
わたしはため息をついた。3日経ったがリクイドフレイムが倒せない。それどころかその手前で何度も全滅していた。
塾の日に、龍之介たちに3日前にゲームを買ったこと、なかなかボスが倒せないことを話すと、奴らは一斉に「ボッヘ」とかいう変な悲鳴を上げ、教室の床に倒れ込んで痙攣したように笑い始めた。

16 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:41:43 ID:h8XqQ2ut0.net
「死ぬ! こんなおもしろい奴初めて見た!」
「先生に奴とか言うのはやめなさい」

10分ぐらいひきつったように笑う様子を眺めて待つと、ようやく正気を取り戻した龍之介が起き上がってきた。
「先生よ。セーブポイントに入ったらメニューを開いてセーブを選ぶんだぞ」
無知なわたしを馬鹿にすることもなく、悪ガキたちはコンピュータRPGの基礎を教えてくれた。

手動で適宜、セーブする必要があること。ゲームによってはセーブできる場所やタイミングが限られている場合もあること。敵はたいてい弱点があり、それをついて戦う方が有利に立ち回れること。ボスには行動に一定の法則があること。
「先生は形態による変化とか理解できないだろうから、”たたかう”は選ぶな、”くろまほう”と”まほうけん”と”こおりのロッド”だけで戦え」とアドバイスされた。

17 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:42:18 ID:h8XqQ2ut0.net
アビリティって何? と聞いた時は怒りながら教えてくれた。「迷ったら”しろまほう”にしとけ! な!」と力説された。「戦闘の音楽がかっこいい」と伝えると、生徒が一斉に駆け寄ってきて握手してくれた。

セーブを覚えてからの冒険の進捗は目覚ましかった。4つのクリスタルを手に入れ、ガラフの死闘で泣き、エクスデスの圧倒的なパワーに打ちのめされ、シルドラの犠牲に泣いた。生徒たちとの関係にも変化が表れた。
奇声が収まり、10分ぐらいは授業に集中するそぶりを見せ始めた。笑顔で話しかけてくる少年の数が増え、授業が終わると立場が逆転してわたしが龍之介たちに攻略のヒントを請う時間になった。
おかしなところで全滅しても、彼らは決して笑わなかった。現在のパーティのジョブ構成、アビリティ、使用したアイテムの内容などを聞くと、常に的確なアドバイスをくれた。わたしの冒険は、ゆっくりとではあったが着実に進んでいった。

18 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:42:44 ID:t2SlsUk+0.net
弄るぞ

19 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:43:13 ID:h8XqQ2ut0.net
いいことばかりあったわけではない。わたしの変化に最も強い拒否反応を示したのは母だった。初めてのコンピュータRPGに夢中になり、食事も睡眠も忘れて自室にこもるわたしを、「馬鹿になる機械を買ってきて、本当に馬鹿になった」と罵った。
ゲームにまつわる衝突はその後もずっと続いた。

ふだんはわたしの最大の理解者であった母だけれども、ついに”ゲーム=悪”という考えを改めてくれることはなかった。だからわたしはとうとう、彼女に自分の仕事について明かせないまま終わってしまった。
母はもうこの世にいない。わたしは”特殊なジャンルのライター”なのではなく、ゲーム専門のライターになったんだよ。攻略し、レビューし、翻訳もした。ゲームの製作企画に加わったことだってある。わたしの半生はあなたの大嫌いなゲームとともに歩んだものだったんだ。
ゲームがなければ、お母さんが「最高のパートナー、これ以上の男性は望むべくもない相手」と絶賛してくれた夫と結婚することだってなかった。どうすれば、わかってもらえたんだろうな。

20 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:43:58 ID:h8XqQ2ut0.net
わたしが世界を救う戦いに挑んでいる間、母はずっと苦い顔をしていた。わたしは基本的に両親に逆らわない子で、両親もわたしに何かを強制することはなかった。しかし『ファイナルファンタジーV』のプレイにおいては、母はわたしにNOと命令し、わたしはそれに反逆した。
遅い反抗期なんかじゃない。初めてのゲームにドはまりしてしまった、ただそれだけでもない。わたしは拒否しなければならない。そう感じていた。
うまくは説明できないのだけれど、自分は何か新しいことを知ろうとしている。それを今止めてはいけない。そんな風に感じていたのだ。

1ヶ月ほどが経過し、わたしはついに次元の狭間に至ったが、その途中で2体の異常な敵に出会った。しんりゅうとオメガだ。

しんりゅうは箱を開けたら即タイダルウェイブで全滅した。あーはいはい、”さんごのゆびわ”がいるんだなこれは。保留、あとでなんとかしよう。ゲームの勘がつかめてきたわたしは、そう思ってしんりゅうを放置した。

21 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:44:37 ID:h8XqQ2ut0.net
しかしオメガについてはそうもいかなかった。4つ足で歩き回る異形の機械、エンカウント制のゲームの中で最初から姿の見えている稀なる敵。
これを倒すと何が起きるのだろう? ひょっとして倒さないと進めないのか? 何度か殴り掛かってみたが、まるで歯が立たない。
攻撃は当たらないし、たいていの魔法はリフレクで弾かれてしまう。そのうえ反撃が非常に痛い。ものの数秒で全滅する体験を味わい、わたしの冒険は足を止めてしまった。
無視して進んでもいいのかもしれないが、気になって仕方ないのだ。

「オメガを倒したい」

そう相談すると、龍之介たちの目の色が変わった。10人ほどの生徒たちが、真剣な顔をして集まってきた。

22 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:45:03 ID:vHGA6lhSa.net
宣伝ならもっと完結にせなあかんで
だから誰からも注目されんのや

23 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:45:12 ID:Xt6RU+7Q0.net
これ色々と設定が甘すぎる

24 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:45:14 ID:h8XqQ2ut0.net
「やるか? 先生。あいつ強いよ」
「うん。でも倒したい」
「おっし。俺たちが倒し方を教える。でも全部は教えないから、自分でも考えてみろよ」
生意気にも、少年たちはわたしが授業中よくいう言葉を真似てみせた。だがこんなに頼もしい味方はいなかった。

そこから週に3度の”授業”が始まった。こちらの授業が済んだあと、彼らの両親が迎えに来るまでの20分ほどは、生徒となって少年たちの教えを受けた。
当時のわたしは学力にそれなりに自信があったので、聞いたことを覚えて、すっかり分かったつもりになって家に帰っていた。それは間違いだとすぐ気がついた。
不慣れなことを、言われただけで覚えるのは困難だ。第2週目から、わたしはノートを取るようになった。

25 :風吹けば名無し:2020/03/19(Thu) 15:45:30 ID:YTkk/leu0.net
ゲーム部分の解説がクソつまらんのではやくクソガキ共に勉強させてくれ

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