日テレ「どうすりゃいいんだ・・・」

風吹けば名無し

日本武道館で今年も開催された見せ物小屋
メインパーソナリティーのセグゾが大量失点、その他タレントも勢いを見せず惨敗だった
テレビの向こうで響く視聴者のため息、どこからか聞こえる「感動ポルノ」の声
無言で帰り始めるスタッフ達の中、日テレは独り港区に佇んでで泣いていた
かつての放送で手にした栄冠、喜び、感動、視聴率、そして何より信頼できる寄付金・・・
それを今の24時間テレビで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」日テレは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、日テレははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、来年に向けてガ〇ジの親と交渉しなくちゃな」日テレは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、日テレはふと気付いた

「あれ・・・？視聴者がいる・・・？」
日テレが目にしたのは、マラソンコースまで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどにチャリティーTシャツが振られ、地鳴りのようにサライが響いていた
どういうことか分からずに呆然とする日テレの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「日テレ、収録だ、早く行くぞ」声の方に振り返った日テレは目を疑った
「は・・・萩本欽一さん？」　「なんだ日テレ、居眠りでもしてたのか？」
「お・・・大橋巨泉さん？あなたはお亡くなりになったはずじゃ・・・」　「なんだ日テレ、かってに巨泉さんを殺しやがって」
「徳光さん・・・」　日テレは半分パニックになりながら出演詳細を見上げた
１番：大橋巨泉　２番：徳光　３番：手塚治虫（アニメ）　４番：萩本欽一　５番：間寛平　６番：加山雄三　７番：谷村新司　８番：徳光和夫　９番：視聴者
暫時、唖然としていた日テレだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「採れる・・・視聴率)・・・採れるんだ！」
武道館へ全力疾走する日テレ、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、港区で冷たくなっている日テレが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った