●英雄は北からやってきた

風吹けば名無し

その美しき黒い流線型、極限まで削ぎ落とした体に鬼が宿る
嫉妬すら追いつかない憧れすら届かない

勝ち続けると全ての馬が敵になる――
その馬は完全に包囲された道は消えたはずだった――
ある男が言った「競馬に絶対はないが、その馬には絶対がある」

後ろからは何にもこないとアナウンサーは三度叫んだ。
風か？光か？ライバルたちを絶望させ、見る者の眼を眩ませる超高速の粒子

ファン投票で集まった14万8768の期待、その馬にとっては重圧ではなく自信だった。愛されるから強いのか、あるいはその逆か。
「こんな馬が存在していいのか･･･」、敗北など考えられない戦いに人はどこまでも夢を見た。

もしその馬がその男に出会わなかったら･･･もしその男がその馬に出会わなかったら･･･

世代の壁を破壊した永遠の皇帝、一瞬の判断で未来を変えた奇跡に最も近い馬″ロゴタイプ″

絶頂を極めた者にもはや勝つべき戦いは残っていないのか･･･レコードを叩き出したラストラン。お前はなぜ走れたのか？
走ることに安心なんて求めるな、危険と呼ぶか冒険と呼ぶか。才能はいつも非常識だ。

勝者は必ず敗者をつくる。誰も行かない道を行け、茨の先に答えはある。
世界を変えるのに3分もいらない。一生に一度の栄冠へ、競馬の全てがここにある。