店員が全員認知症のレストラン東京・六本木

風吹けば名無し

【記者日記】まっ、いっかの精神
レストラン配膳係は全員認知症
2017/11/21 16:01

　ホールスタッフが認知症、注文を間違えても、全員で「まっ、いっか」と笑い飛ばすレストランが3日間限定で登場した。
名前は、宮沢賢治の童話のタイトルをもじった「注文をまちがえる料理店」。楽しそうだし、趣旨には賛同する。
「でも、よくある福祉イベントの延長線だろう…」との予想は、取材をしてみて見事に裏切られた。

　▽笑顔の花畑

　場所は貸し切りにした東京・六本木のレストラン。お客さんが到着しはじめてすぐ、後ろから笑い声が聞こえた。
テーブルに案内するはずの認知症の高齢女性が、なんとお客さんと一緒にテーブルに着き、話し込みはじめたのだ。
しばらくなごやかな歓談が続いた後、サポート役のスタッフに優しく促された女性が席を立った。

　もちろん、誰も「違うだろぉ～」とは言わない。テーブルを共にした客も笑顔、ご本人も笑顔だ。そして、この笑顔の花畑は、客が退出するまで続いた。
せっかくレストランで食事をしているのに、そうそう不愉快な雰囲気の人もいないだろうが、結婚式の披露宴でもないのにこんなにみんながにこにこしていて、笑い声が絶えない様子は初めてだった。

　料理店を企画したのはテレビ局のプロデューサー、小国士朗さん（38）。きっかけは、密着取材していたグループホームで起きた、
ある「間違い」だった。そのホームでは認知症の高齢者が料理、洗濯、買い物と、できることは全部自分達でしていた。
取材中のある日、ハンバーグが出てくるはずの昼食のテーブルにギョーザが運ばれた。それを見た小国さんは「あれ？違いますよね…」と言いかけて、飲み込んだ。

https://this.kiji.is/305599126959670369

期間限定で開店した「注文をまちがえる料理店」で配膳するスタッフ＝9月16日、東京・六本木
https://nordot-res.cloudinary.com/ch/images/305599414930621537/origin_1.jpg

店員が全員認知症のレストラン 東京・六本木

店員が全員認知症のレストラン東京・六本木