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- 1 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2017/08/12(土) 23:14:52.53 ID:nmRW+1XSr.net
- 『おーとでてこーい』
ゲーロン氏が初めてそれに出会ったのは八歳の頃だった。自室での遭遇。誕生日パーティーの翌日だったので本人もよく覚えていた。
ふと突然吐き気に襲われたゲーロン氏は、喉の奥まで迫っていた吐瀉物に部屋を汚されるのが嫌で、必死にエチケット袋の代わりになるものを探した。もう駄目だ、と思うと同時か、ベッドの下に紫色の袋があるのを発見する。
「やあ、これは助かった」
ゲーロン氏は袋の中に口から出たものを全てぶち込み、床へと置いた。しばらくの沈黙。だいぶ体調も良くなってきた。さて片付けるかと床を探したが、それはどこにもなかった。
「変なこともあるものだ」そう思いはしたが、深くは考えずに部屋を後にした。
それからというもの、ゲーロン氏が嘔吐をしたいと思うと袋は現れ、彼の生産物を受け止めると、何処かへ消えた。クラブ活動の休憩時間、電車の中、大学の講義中、会社のデスク。不思議と、その行方を探そうとは思わなかった。
そんなある朝、ゲーロン氏は庭で草刈りに励んでいた。一息つこうとベンチに座り、缶コーヒーを開ける。ふいに頭を上げると、空が紫がかって見えた。
「なんだ? 天変地異の前触れかな」
ぼんやりと空を眺めながらコーヒーを飲むゲーロン氏。その時、空から声が聞こえた。
「やあ、これは助かった」
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