新幹線で居心地の悪い座席の中、三景をどう考えるか自問した話

1 ：風吹けば名無し＠＼(^o^)／：2017/01/04(水) 05:23:11.92 ID:aZjHYcow0.net

夕暮れのこと。その新幹線はかなり混んでいた。
私(63)は自由席の券を買っていたが、その自由席は立つのもままならなかったので、指定車両へと移ることにした。
だが、やはり指定車両。みんな指定席の券を買っていて。満席だった。
しかし、ふと近くを眺める。子犬用のバスケットが置いてあった。中にちょこんと子犬が座っている。
隣には若い女性。飼い主だろう。
私も老体。座りたくて堪らない。早速、そこに座りたい旨を彼女に伝えた。子犬なんて腿の上にでも乗せておけば充分だろう。
しかし、彼女は指定席券を買ってあると言った。
私は虚を突かれた思いがした。そんなことは知っている。座りたいのだ。言葉の裏を汲んで欲しい。

2 ：風吹けば名無し＠＼(^o^)／：2017/01/04(水) 05:23:31.21 ID:aZjHYcow0.net

もう一度車内を見回してみる。やはり混んでいる。席はみな座っているし、立っている大人も多々いる。
大人が立っているというのに3歳くらいの少年が、母の隣で退屈そうに座っている。どうせ彼も母が買った指定席券によって座ることができているのだろう。私のような老体には譲ってくれないだろう━━。
また満席の自由席に戻る。ひどい混みようだ。またしても少年がその母の隣に座っている。
自由席ならば席を譲ってくれるだろう。
また懲りずに尋ねた。すると母親は不満そうに少年を腿の上に乗せた。
老体を労わるのは大切なことなのに、なぜこんな渋々やられなければならないのか。
とても居心地が悪い。なぜ車両内でこんな不快な気分にならねばならないのだろう。
私はこの新幹線の中での三景をどう考えればいいのか、少年を乗せた母の隣の自由席で自問した。