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マサツグ「何か作って売るやで…せや!」

1 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2016/10/18(火) 15:12:16.25 ID:GKQ96FLZ0.net
「寄付を待ってるだけじゃだめだな。何か作って売りだそう」

「賛成です! まだ手持ちのある今の内に対策を打つのが大事だと思います。さすがご主人様です」

「私も賛成です。マサツグ様が仰る通り、寄付のような不安定な収入に頼るのは、経営上良くありません!」

「そうか、色々と考えてはいるんだ。とはいえ、それほどコストは掛けられないから、あまりお金の掛からないアイデア勝負になる。こんなのはどうかな?」

俺はペラリと、木版に書いたリストを見せる。どういったものかも簡単に絵付きで説明されている。それは、絵本、パズル、チェス、将棋、めんこ、こま、凧、うちわ、といったものが列挙されている。

「こ、こんなに沢山!?」

「すごい!このアイデアだけでひと財産になりますよ!?」

「いや、本当はもっとあるけど、ほとんどコストなしで、ってなると、とりあえずこれだけってことだな」

俺の言葉に2人の少女は更に驚いたようだ。

「す、すごすぎます。ご主人様のいらっしゃったという異世界のものかもしれませんが、この世界で流行りそうなものがピックアップされてます。たとえ他の方がご主人様と同じような境遇になってもこうは行きませんよ!」

「大げさだな。大したことじゃないよ。さあ、具体化するにはどうしたらいいか考えよう」

2 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2016/10/18(火) 15:12:57.02 ID:7321tSWia.net
「…もう、潮時のようですね」
ぽつりと、そう漏らしたのはエルフの女王エリンだった。エルフ特有の綺麗な瞳には憂色だけが浮かんでいる。
「マサツグ様、これ以上あなたにお仕えすることはできかねます」
「エリン、なにを言ってるんだ…?」
彼女の唐突な申し出に俺は呆気に取られてしまった。するとエリンのとなりに控えていた魔王、ラーラも口を開く。
「わしもじゃ。最近のマサツグ殿の振る舞いは目に余る」
「振る舞い、だと?」
一体こいつらはなにを言ってるんだ。俺の振る舞い? なにか悪いことをしたか? いや、していないはずだ。なのに、どうして。
混乱する俺に構わず、彼女たちは話し続ける。今度は精霊の神、シーだ。
「いくら元いた世界でいじめられていたとしても〜、それだけの理由で彼らを殺してしまうのはやりすぎよ〜」
嗜めるような声を聞いた瞬間、俺の中で何かが弾けた。
「お前に、何がわかる!」
突然叫んだ俺にシーたちは身を竦める。それを見てわずかに心が痛んだが、しかしもう止まらなかった。
「あのクズどもにいじめられていた俺の気持ちがお前にわかるのか! 毎日毎日毎日毎日毎日からかわれて殴られて馬鹿にされて…ここでようやく力を得たんだ。復讐に使って何が悪い!」
息荒く喋り終えて、ふと気づく。エリンやラーラ、シーが俺を見る冷めた視線。それは、元いた世界で俺がミヤモトたちから向けられていた視線と同じものだった。
その時、視界の隅にある少女の姿が目にはいる。
「り、リュシア…」
救いを求めるように、俺は彼女へ手を伸ばす。しかし、
「…すみません、ご主人様」
リュシアは俺の手から逃れるように一歩下がった。まるで、汚物をみるかのような目で俺を見ながら。ぴしり、と俺の中で何かが砕けた音がした。
「なん、で…! なんでだ! お前ら全員俺が救ってやったじゃねえか! 俺がいなけりゃなにもできなかったくせに、それなのに!この俺を捨てるのか! この無能ども!」
「ご主人様は…変わってしまいました」
悲しげに呟くリュシア。しかし、意味がわからない。俺が変わった? そんなけない。俺は昔から変わらない。そのはずだ。そのはずなのに。
「そこまでだ」
半ば無意識でリュシアへ歩み寄ろうとした俺の前に、突如一人の男が躍り出る。それは、そいつは、俺が何よりも思い出したくない存在だった。
「…ミヤモト?」
「久しぶりだな、マサツグ…」
俺を見下ろし、ミヤモトは悲しそうに笑った。

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