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間貫一「どうすりやいいんだ…」

1 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2016/09/01(木) 01:52:43.85 ID:rnYOsY490.net
一月十七日、熱海の浜辺で迎えた生き別れの喧騒。
己が美しさの如何許り値するかを当然に知りて金に心奪われし宮によつて、醜い悍婦によつて貫一は忽ち頭脳の裂けんとするを覚ゑ、苦痛に得絶ゑずし熱海の浜辺から行方知れずになつて了つた。
ステエシヨンに響く旧友の溜息、何処からか聞こゑる「これは憚り様です。」の声。
貫一は無言で煙管を吸ひ独り縁側で泣するなり。
鴫沢の家で手にした恩、学士への道、友、そして何より宮の愛・・・
其れを、高利貸となりて鰐淵の手代の身となつた今では得ることは殆ど不可能と言つてよかつた。
「どうすりやいいんだ・・・」貫一は悔し涙を流し続けたり。
どれくらゐ時流れしか、貫一ははつと目覚めたり。
どうやら泣き疲れて眠つて了つたようだ、涼しき空の感覚が浮世に引き戻したり。
「やれやれ、帰つて金利の計算をしなくちやな」貫一は苦笑しながら呟れり。
立ち上がつて伸びをした時、貫一はふと気付いた。
「はて・・・?宮さんがいる・・・?!」
障子を推開きて飛び出したる貫一が目にしたりは、ぐわいやせきまで埋めつくさんばかりのよく知る者たちなり。
薄色魚子の羽織振られ、紙門を犇かせ、救いを求むる宮が声が響きぬ。
どういふことか分からずに呆然とする貫一の背中に、聞き覚えのある声聞こえり。
「間さん、、貴方のお大事の恋人と云ふのはこれで御座いませう」声立ちしへと振り返つた貫一は目を疑いたり。
「み・・・満枝さん?」  「高利貸にフレンドは持たんものな」
「あ・・・荒尾?」  「金剛石!」
「富山・・・唯継?!」  貫一は半分パニツクになりながら斜めに葉越しの月を見上げたり。
一番:短刀を持つ宮 二番:急所を刺された満枝 三番:鮮血! 四番:兇器! 五番:殺傷! 六番:死体! 七番:乱心! 八番:重罪! 九番:宮が骸!
暫時、唖然としてゐた貫一だつたが、全てを理解し了えた時、もはや彼の心には雲ひとつ無かりけり。
「赦したぞ!・・・もう堪・・・堪・・・堪忍した!」
宮から悔悟を受け取り、渦巻く滝壺へ全力疾走する内川、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、暁の夢で冷たくなつている貫一が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った。

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