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「晋太郎! ウメ! 逃げるな!」福留孝介が阪神で本当に欲したもの。
- 1 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2016/08/06(土) 23:08:22.42 ID:xPkuhsmy0.net
- 「孝介、手はどうだ?」
優勝争いが佳境に差し掛かった9月2日広島戦の前、グラウンドで和田監督が歩み寄ってきた。8月末に痛めた右手中指が完治していないことは指揮官もわかっていた。福留はいまだ通常の2倍近くに腫れ上がっている指を差し出した。
しばしの沈黙の後、こう言われた。
「明日から4番、頼む」
昨年から4番を張ってきたゴメスが不振だった。マートンに続いてゴメスまで……。外国人選手に勝敗の大部分を負ってきたチームにとっては深刻な問題だった。
では、だれが勝敗を背負うのか。首脳陣が出した答えだった。
福留にも覚悟があった。欲しいものを手にするためには、自分がやるしかないと。
- 2 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2016/08/06(土) 23:08:59.03 ID:xPkuhsmy0.net
- PL学園の主砲として高校生史上最多7球団から指名を受けた。中日では首位打者、MVPを獲得した。日本のスターとして4年総額50億円超という大型契約で米大リーグ・カブスに移籍した。
今さら記すまでもないかもしれない。野球によって、すべてを手にした男が海を渡った。そう思われていた。
ただ、本音は違った。手にできなかったものがあった。渡米直前に聞いたことがある。
「俺は別にメジャーにあこがれているわけじゃない。家族のようなチームで戦っていたかったけど、今はそうじゃないから……」
落合監督の下、中日が黄金時代を築いていく一方で、親しかったスタッフなどが退団していった。恩人や仲間と勝ちたい。福留はそういう男だった。
ただ、まだ30代前半だった福留はその想いをバット以外で語る術を知らなかった。本音とは裏腹に、チーム関係者には、こう言われていた。
「孝介は個人主義だから。アメリカが合っているんじゃないかな」
あれから10年近くが経った。
2015年、阪神での3年目。手術した左膝が完治し、戦える体が整った。勝負の年、福留が欲したものは1つだった。
この仲間と優勝したい。
アメリカでは栄光よりも、多くの挫折を知った。その経験が教えてくれた。チームが勝つために、バット以外でどう振る舞えばいいのか。今年、それを象徴していたのが、藤浪晋太郎との関係だった。
- 3 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2016/08/06(土) 23:09:24.27 ID:xPkuhsmy0.net
- 開幕3戦目、ベンチに怒声が響いた。
「晋太郎! ウメ! 逃げるな!」
この日、藤浪と梅野のバッテリーは初回に3失点した。右翼から見ていた福留は我慢ならなかった。打たれたことではない。外一辺倒の投球でやられたことが……。
「今年は晋太郎がやらなきゃ、勝てない。それなのに、いきなり、あんな投球したことに腹が立ったんだよ」
後にこの時の怒りを、こう明かした。勝つために必要だからこそ、ことあるごとに注文をつけてきた。練習態度からマウンドの立ち居振る舞いまで……。かつてなら放っておいたかもしれない。ただ、今は違う。嫌われてもいい。言葉にして伝えた。
そんな中、藤浪は急成長していった。
- 4 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2016/08/06(土) 23:09:43.97 ID:xPkuhsmy0.net
- 5月末、藤浪が先発した試合で福留が延長12回にサヨナラ弾を打った。ただ、10回まで無失点の藤浪を勝ち投手にしてやることはできなかった。試合後、勝利の立役者はベンチ前で20歳下の後輩に頭を下げた。
「勝たせてやれなくて、すまん」
主砲とエース。先輩、後輩を超越した、勝敗を背負う者同士のやりとりだった。
9月。大一番となった21日のヤクルト戦で先発した藤浪は6回2失点ながら、チームは敗れた。優勝が遠のく敗戦だった。
ショックを引きずったままの翌日、東京ドーム。福留は若きエースに穏やかな表情で声をかけた。
「自分の調整を崩さないのもいいけど、体調によって、いろいろな調整の仕方を身につけておいた方がいいんじゃないか」
大混戦の中、登板間隔を短くしながら、強敵に対峙していた。そんな藤浪に疲労の色を見て取ったからだった。
4月の怒りは5月の謝罪に、そして、9月の労いへ。福留が藤浪にかける言葉は変化していった。藤浪だけではない。週に1度、福留の休養日、右翼を任されていた狩野にはこう言って、肩の力を抜いた。
「だれもお前の守備に期待していない。ミスしてもいいんだ。打って取り返すくらいに思ってやればいいんだ」
かつて個人主義と言われた男が仲間を鼓舞し、必死につないだ優勝への道だった。
- 5 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2016/08/06(土) 23:09:55.45 ID:8ELnDtlur.net
- 和田豊「手はどうだ?」
福留孝介「いまだ通常の2倍近くに腫れ上がっている指を差し出す」
和田豊「明日から4番、頼む」
- 6 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2016/08/06(土) 23:10:05.72 ID:xPkuhsmy0.net
- 事実上、リーグ優勝が消滅した9月23日、巨人戦。福留は3回に同点打を放った。一塁へ走りながら痛むはずの右拳を握っていた。優勝にかける執念がほとばしった。
最後まで100%のフルスイングはできなかった。それでも、勝ちたかった。バット以外でもあがき、もがき、優勝に手を伸ばした。
欲しいものは手に入らなかった。
だが、戦いはまだ終わっていない。和田監督の退任が決定的となり、喧騒の中でポストシーズンを戦わなくてはならない。
「俺たちは、やるしかないから」
頂点への道は閉ざされていない。失意を闘志に塗り替え、戦いの舞台へ。福留は最後まで猛虎の先頭に立つ覚悟だ。
http://number.bunshun.jp/articles/-/824296
- 7 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2016/08/06(土) 23:10:23.09 ID:Az623aEN0.net
- 和田って記者に好かれてたんだろうなって最近思うようになった
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