鵜久森「どうすりゃいいんだ・・・」

1 ：風吹けば名無し＠＼(^o^)／：2015/04/13(月) 23:44:15.95 ID:G207QDKF0.net

本拠地、鎌ヶ谷スタジアムで迎えたフューチャーズ戦
先発斎藤佑が大量失点、打線も勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年は１０００失策だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、２軍の帝王鵜久森は独りベンチで泣いていた
済美高校で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今のファイターズで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」鵜久森は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、鵜久森ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」鵜久森は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、鵜久森はふと気付いた

2 ：風吹けば名無し＠＼(^o^)／：2015/04/13(月) 23:44:30.20 ID:G207QDKF0.net

「あれ・・・？お客さんがいる・・・？」
ベンチから飛び出した鵜久森が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにカメムシの声が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする鵜久森の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「ウグ、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った鵜久森は目を疑った
「ふ・・・福井？」 　「なんだウグ、居眠りでもしてたのか？」
「た・・・高橋勇丞コーチ？」 　「なんだ鵜久森、かってに高橋を引退させやがって」
「上甲監督・・・」 　鵜久森は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
１番：甘井　２番：小松　３番：高橋　４番：鵜久森　５番：西田　６番：野間　７番：田坂　８番：新立　９番：福井
暫時、唖然としていた鵜久森だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ！」
カメムシからグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する鵜久森、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

3 ：風吹けば名無し＠＼(^o^)／：2015/04/13(月) 23:44:43.43 ID:G207QDKF0.net

翌日、ベンチで冷たくなっている鵜久森が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った