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牧「どうすりゃいいんだ・・・」

1 :風吹けば名無し:2021/04/26(月) 19:03:58.05 ID:P6AxCnOld.net
敵地、甲子園で迎えた阪神戦
先発上茶谷が大量失点、打線も勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年は100敗だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、ドラ2の牧は独りベンチで泣いていた
中央大で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の横浜で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」牧は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、牧ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」牧は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、牧はふと気付いた

「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出した牧が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにベイスターズの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする牧の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「牧、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った牧は目を疑った
「く・・・倉本さん?」「なんだ牧、居眠りでもしてたのか?」
「な・・・永池コーチ?」「なんだ牧、かってに永池さんを引退させやがって」
「佐野さん・・・」牧は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
1番:乙坂 2番:倉本 3番:オースティン 4番:佐野 5番:ソト 6番:宮崎 7番:牧 8番:高城 9番:阪口
暫時、唖然としていた牧だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
三浦監督からグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する牧、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、ベンチで冷たくなっている牧が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った

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