後輩「先輩って、本当、どうしようもない人っすね」

1 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 15:55:03.23 ID:dIqoH0B10.net

俺「頼むよ、今日は軽音同好会のところ顔出ししに来てくれよ！」
俺「先生から実質俺だけなのがバレつつあるんだ」

後輩「……面倒くさい」
後輩「ウチ、名義貸すだけだって言われたから乗ったんですけど」ﾊｧ

俺「頼れるのが他にいないんだよ。頼む…本当に！」

後輩「イヤっすよ。他のメンツに頼んでください」
後輩「先輩といつも二人で部室にいるとか変な噂立てられてもイヤっすし。ホント、マジ無理なんで」

2 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 15:55:25.98 ID:dIqoH0B10.net

後輩「そもそも同好会にする意味あります？」

俺「なっ…」

後輩「実際先輩が占有してるから潰されそうになってるんっすよ」
後輩「同好会なんて潰して、いつも通り、ずっと一人で伸びない弾き語り動画でも上げててください」

俺「さ、最近は絶賛してくれるコメントがつくようになったんだが！　ほら、見て！」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

後輩「悔しいからって自演しないでください」ﾊｧ
後輩「そんなことしても人気者にはなれませんよ」

俺「そんなことするわけないだろ！」

後輩「じゃあご家族の方ですかね」ﾊｧ

3 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 15:55:39.59 ID:dIqoH0B10.net

後輩「じゃ、私もう帰るっすよ」

俺「ま、待って！　本当！」ｶﾞｼｯ

後輩「きゃあっ！　さ、触らないでくださいよ！」
後輩「キッモ！　童貞！　ヘンタイ！」
後輩「本当そういうのムリなんで！」

俺「ご、ごめん…」ｼｭﾝ

後輩「…ったく。本当にデリカシーないっすね」

4 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 15:55:46.71 ID:dIqoH0B10.net

俺「……ちょっと明日にでも、クラスの奴誘ってみる」ｼｭﾝ
俺「引き止め過ぎたな、悪かったよ」

後輩「……」

俺「でもまあ、また、気が向いた時でいいから！」
俺「暇で暇でどうしようもないなぁってときは来てくれよ！　な？　な？」
俺「ギターやってみたいなら、ほら、俺はベースやれるし！」

後輩「……アイス」

俺「え？」

後輩「三段の奴奢ってくれるなら、その日くらいは付き合ってあげてもまあいいっすよ」
後輩「ちょっとキモいくらい必死過ぎて可哀想になったんで」

5 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 15:57:34.60 ID:dIqoH0B10.net

俺「ほ、本当か！？」
俺「……三段アイスって、値段どれくらいするんだ？　その、そんなに高くないよな？」

後輩「……チッ。帰るっすね」

俺「じょっ、冗談冗談！　頼んだぞ！」
俺「いやぁ、本当に助かるなあ！」

6 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 15:57:42.12 ID:dIqoH0B10.net

―活動後―
後輩「指いったぁ……覚えること滅茶苦茶多いっすね、ギター」

俺「そ、そんなことないって！　練習曲やってたら、すぐだから！　すぐ！」

後輩「はぁ……そうっすか。まあ、ちょっと付き合ってあげるだけですし、そんなにがっつりやるつもりはありませんけど」ﾊｧ

俺「いやあ、後輩、覚えるの早いし、センスあるなぁ！　すぐに上達するぞ！」
俺「声も綺麗だし、ボーカルギターやったら映えるだろうなぁ！　勿体ないなあ！」

後輩「……露骨にゴマ擦って機嫌取ろうとするの止めてもらっていいっすか？」
後輩「猿か何かだと思われているみたいで、本当にムカつくんで」

7 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 15:57:55.19 ID:dIqoH0B10.net

後輩「実際、なんで同好会残したいんだか」
後輩「会費がそんなに欲しいんっすか？」

俺「先輩から継いだ同好会だし……俺が潰すわけには……！」

後輩「はぁ……」

俺「あと、来年になったらドカーっと部員が入ってきて部に昇格するからさ！」
俺「それまではどうにか残しておかないと！」

後輩「狸だってそこまでザルな皮算用はしないっすよ」ﾊｧ

8 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 15:58:49.49 ID:dIqoH0B10.net

後輩「第一、先輩が一人で勧誘やってくるわけないじゃないっすか」
後輩「先輩インキャだし、童貞だし、根暗だし」

俺「そ、そこはほら、お前が手伝ってくれないかなあ、なんて……」

後輩「は？　ウチが？　なんで？」

俺「素で反応しないでくれないか……。もっとこう、遊びを持った返しを……」

俺「あー後輩、可愛いから、手伝ってくれたら部員がいっぱい入って来るんだろうなあ……」

後輩「ウッザ、キッモ」
後輩「照れで過剰に捲し立ててるところが本当童貞臭くて無理っす」

俺「そっ、そこまで言わなくていいだろ！」

9 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 15:58:58.90 ID:dIqoH0B10.net

後輩「アイストリプル。ホッピング、ラブポーション、ストロベリーで」

俺「アイスクリーム屋なんて初めて来たな…」
俺「うわ……めっちゃ種類ある、どれにしよう」

後輩「ちょ、今になって悩まないでください。マジ後ろつっかえてるんで」

俺「で、でも、せっかくだしゆっくり選びたい……ん？」
俺「トリプル６００円もするのか！？　ラーメン食えるじゃねえか！」

後輩「今更何言い出すんっすか」

俺「な、なあ、やっぱりラーメンにしないか？」

後輩「ぶち殺すっすよ」

10 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 15:59:46.33 ID:M6oSnX0Rr.net

面白かった！
また書いてくれよな

11 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 15:59:49.54 ID:dIqoH0B10.net

俺「お、俺はアイス無しで……」

後輩「はー……白けるんで、なんか注文してくれないっすか？」
後輩「ウチだけアイス食ってろって言うんっすか？」

俺「で、でも……」

後輩「すいません。こっちの馬鹿に、キャラメルリボンとロッキー……」

俺「シ、シングルで！　キャラメルなんとかシングルで！」

12 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 16:00:01.33 ID:dIqoH0B10.net

後輩「本当先輩空気読めないっすね」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ

俺「で、でも、毎日これはその、財布が持たないんで……」
俺「どうにかもうちょっと安くなったりしないか……？」

後輩「甲斐性なし……」ﾊｧ
後輩「まあウチの気紛れと先輩の態度次第っすね。可哀想で仕方ないなあと思ったら顔くらい出してあげるっすよ」

俺「うう……」

後輩「ひと口もらっていいっすか？」

俺「え……いや、なんか、その、それはちょっと、ほら……」

後輩「意識しすぎじゃないっすか。キッモ、小学生っすか」ﾊｧ

俺「……そ、そう？」

後輩「今のでもらいたくなくなりました。別にこっちに三段ありますし」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ

13 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 16:00:52.10 ID:dIqoH0B10.net

後輩「二段しか食べられませんでした」ｹﾞﾌｯ
後輩「もうお腹いっぱいっす」

俺「ええ……」

後輩「もうこれ以上は口付けても何も楽しくないっす」
後輩「先輩、食べてください」

俺「え、い、いいの？」

後輩「まあ先輩のお金ですし」

14 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 16:01:07.15 ID:dIqoH0B10.net

―帰宅後―
後輩「あ、先輩、新しい動画アップしてる」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ
後輩「ふふっ……『頑張ってください、すごくよかったです！』っと」
後輩「高評価もしてあげようっと、よくわからないけど」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

後輩「あ、返信返ってきた。はっや、ずっとコメントつかないか齧りついてるんだ」ｸｽｯ

後輩「ふ、ふふ、今日先輩とずっと部活やって、デートまでしちゃった……」
後輩「間接キスまでしたんだし、これで先輩、ウチのこと少しは意識してくれるかも……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

15 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 16:02:01.47 ID:dIqoH0B10.net

俺「な、なあ、昨日ので、ちょっとはギタ―に興味持ってくれてたりしてないか？」

後輩「んー……」ﾁﾗｯ

俺「…………」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

後輩「対価次第っすかね」

俺「た、頼むって、本当、そんな金持ってないんだって！」

後輩「じゃあ、映画奢ってくれたら一週間付き合ってあげていいっすよ」
後輩「流行の奴、まだ見てないんっすよ」

俺「ちょ、ちょっと財布を確認させてくれ……」
俺「ああ、これ、キツイかも……」

後輩「……！」ｿﾜｿﾜ

俺「あ、五千円札あった……よかった……」

16 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 16:02:08.39 ID:sc9LxkF70.net

海外の友人出せ

17 ：風吹けば名無し：2020/12/16(水) 16:03:10.30 ID:dIqoH0B10.net

俺「なあ、なあ、新しい動画、また二つもコメント付いたんだよ！」

後輩「はいはい、よかったっすね……ん？　二つ？」

俺「ま、片方はクラスメイトなんだけどな」ｹﾗｹﾗ

後輩「まあそうっすよね……。再生回数、百二十回くらいっすし」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

俺「よく知ってるな」

後輩「面白半分で覗いてあげたんっすよ。感謝して欲しいっす」

『俺君上手い！応援してるよ〜』

後輩「……」
後輩「……これ、女じゃ……」

俺「じゃあ練習するぞ！　ほら、どうしたんだ？」

後輩「え、いえ……あ、はい」