杉谷拳士さん、某選手から「左で打てよ！」とテレビで公開処刑されていた

風吹けば名無し

　お立ち台でも“絶口調”だった。主役は杉谷。「今日から僕は『スギノール』でいきます！」と札幌ドームを沸かした。

　５回に右打席で左越え１号ソロ、６回に左で右越え２号２ラン。両打席アーチは球団では２００７年のセギノール以来、４人目の快挙だ。
「打った本人が一番驚いてます」と苦笑いしつつも、会心は左打席での一本。「打った瞬間入ったと思った。『あっ、やばい』って」と自画自賛した。

　左打席が苦手だったのは過去の姿だ。“準レギュラー”の毎年正月のテレビ朝日系「とんねるずのスポーツ王は俺だ！」の名物企画「リアル野球盤」。
お茶の間の前で相手選手から「左で打てよ！」と公開処刑を受けてきた。だが今季の左打席での打率は２割７分３厘。右の１割６分７厘を大きく上回る進化を遂げた。

　もともと右打ちの杉谷の転機は帝京高３年時だった。プロのスカウトが視察に来た桐光学園との練習試合。前田三夫監督の「左で打ってみろ」の一言が人生を変えた。
両打ち初実戦で現ロッテ・東條からいきなりサイクル安打を達成。「だからドラフトにも引っかかりましたし。一番、前田監督が喜んでくれているんじゃないですか」。両手に残る本塁打の余韻が、じわじわとこみ上げた。
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