あの人は今・・・　　元巨人・村田修一さん（43）

風吹けば名無し

2024年、ワールドシリーズ。それをテレビで見つめる男がいた。
37歳で2000本安打を間近にしながら読売ジャイアンツを追い出された、村田修一さんだ。
「あの頃は野球をしたい、それだけと言ったけれど…　（2000本安打が）頭の片隅にいつもあった。」
クビになった頃を回想する村田修一は、どこか寂しげだ。
「いまだに夢を見ることがあるんですよ。横浜スタジアムで、僕が2000本安打を打って巨人・横浜両チームから祝福される夢を」
村田さんは巨人を戦力外になった後、独立リーグへ移籍するもそこで不振に陥り最後までNPBには戻れず。
更に独立リーグでも契約・素行面で問題を起こし1年で退団。以降、村田さんに声をかける球団は日本にはなくなった。
それからは焼肉屋、ケバブ屋など飲食業を営むもことごとく軌道にはのらず閉店。今は地元・福岡の屋台街で焼き鳥屋を開いている。
野球には関わりたくても声がかからないそうだ。

「いらっしゃい」。福岡・天神駅から歩いてほどなくの屋台街。
「焼き鳥　むら田」のえび茶色の暖簾をくぐって席に腰かけるとすすけたタオルを
頭に巻いた村田修一さんの元気な声に迎えられた。奥さんとは焼肉店がうまくいかなかった折に離婚したという。
「去年の４月に買った屋台だよ。中古だけど。暖簾の『むら田』ってのは焼肉屋の時のやつ。
離婚してお金もないから、暖簾まで中古品（笑）。暖簾見て、中で串焼いてる僕を見て『おっ』と言ってくれる人もいる。それだけだけどね」
村田さんは本当に寂しそうに、僕たちに語ってくれた。
福岡で店を開くのは、プレッシャーも大きかったという。
「僕は福岡出身だけど、野球では横浜や巨人の印象が強いでしょ。
ここで店出していると『東京に帰れや！』なんて冷たい野次を浴びせてくる人たちがいる。
それが、ソフトバンクファンだと思ってよく見たら横浜ファン（笑）。
だから『どうして獲ってくれなかったんだよ！』って言い返したら相手は大爆笑。
でも、その後一本だけ焼き鳥を買ってくれた。それが嬉しかった」
実は村田さんの店は焼き鳥屋だけど売りは焼きとん。その時のファンには後でしてやったりとほくそ笑んだそうだ。

結局果たせなかった2000本安打について尋ねると…
「知ってます？退団するシーズン、僕二桁もホームラン打ってたんですよ」と、おどけて話す。今も未練たらたらのようだ。
「今は一日2000本串を焼くのが目標ですよ。天神でも頂点の店になってみせます！」

（写真）焼き鳥とやきとんを両手に持ち笑顔を見せる村田さん

あの人は今・・・ 元巨人・村田修一さん（43）

あの人は今・・・　　元巨人・村田修一さん（43）