悪魔「三つお前の欲しいものをやるが、お前が一番嫌いな人間に願い事の倍のものがプレゼントされる」

214 ：風吹けば名無し：2020/09/06(日) 01:57:34 ID:Vi1Njihgd.net

星新一　『妖精』

ある女のもとに妖精が現れ、「あなたの願いをなんでも一つだけ叶えてあげるけど、あなたにとって一番のライバルにもその願いの２倍の効果が現れる」と言う
女は願いを言おうとするが、自分より幸せになっているライバルの姿を思うとどうも願いが口にでない
女は常に自分より一歩先をいくライバルのことを日頃から苦く思っていたのだ
悩みに悩んだ末、女はあることを妖精に伝える。「私じゃなくライバルのとこにいってあげて」
そうしてライバルが妖精に願いを言えば私がライバルよりも初めて上に立てるという寸法だ
妖精は女の言葉を聞くと、そっと家を出てライバルのもとへ飛び立った
それから待つこと数ヵ月、女の生活には何の変化も見られなかった
どうしてかと悩みに苦しむ日々だったが、あるときふと気がついた
そう、彼女をライバルと思っていたのは私だけで、ライバルの方は私のことをライバルとは全く見なしていなかったのだ