佐々木朗希さんチームメイトに嫌われてしまう

風吹けば名無し

雑誌Number　ドラフト会議で佐々木朗希が笑わず、会場が盛り上がらなかったことについて

・佐々木朗希は笑わなかった。10月17日プロ野球ドラフト会議で未来を語る高校球界のスターに無数のフラッシュ
が浴びせられる。カメラマンが画像を確認してため息をついた。「同じ顔の写真ばっかり。何枚撮ったんだろう」
会見後には野球部のチームメイトによる胴上げがあったが、温度が上がらない。見かねた年高のカメラマンから
「ほらあ、元気出して！誰かが音頭取らないとダメだよお」と発破をかけられ、ようやく3回宙に上げられた。

・それを見ていた野球部員の保護者は「なんか盛り上がんねえな。そもそもなんでこんな所で会見すんだ？」
佐々木の指名会見が行われた三陸公民館は大船渡高校から東へ山をひとつ越えた所にある。生徒も町の人もいない。
佐々木と野球部員だけを隔離した理由を学校関係者は声を潜めて「快く思わない人もいるんです。町の中、校内、
野球部内にも…」。佐々木が笑わないのはそのためだろうか。誰もがうらやむ未来の門出なのに、彼の周りには
重苦しさと孤独が漂っていた。

・少なくともこの夏まで佐々木も仲間たちも町の人も同じものを見て、同じように笑っていたはずだ。
7月25日の岩手県大会の決勝で國保監督の決断で佐々木がマウンドに上がらなかったことに彼を取り巻く空気は
重くなっていったという。決勝戦のあと学校に苦情が殺到したが電話の主はほとんどが町の人だった。準優勝
すれば祝勝会をするものだがそれも中止になった。部内にはこんなことが許されるのかと校長に訴えた人もいた。
野球部を引退する3年生たちで集まろうと催されたバーベキューも全員が揃わなかった。

・仲間たちがたった1日で割れてしまった。なぜ投げなかったのか。みんなの夢よりもひとりの未来を選んだのか。
それが第3者からであれば、まだ受け流せるのかもしれないが、もっと近い存在だった人たちから
そうした声が噴出したのだ。