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明け方の山月記部 🌖⛰🐅

1 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:32:50.16 ID:XQyOrAlU0.net
ほな

44 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:48:09.67 ID:XQyOrAlU0.net
今思えば、全く、己れは、己れの有っていた僅かばかりの才能を空費して了った訳だ。
人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己れの凡てだったのだ。

己れよりも遥かに乏しい才能でありながら、それを専一に磨いたがために、堂々たる詩家となった者が幾らでもいるのだ。虎と成り果てた今、己れは漸くそれに気が付いた。それを思うと、己れは今も胸を灼かれるような悔を感じる。

45 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:48:17.21 ID:CP8AgY2a0.net
>>31
ここの漢詩むつかしくてきらい

46 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:48:24.16 ID:A45YlJcL0.net
尊大な自尊心を保つ為に他人を威嚇してる様が吼えて周りの動物をビビらせる虎と変わらない
だから虎になってしまったって解釈でええんか?

47 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:49:01.30 ID:XQyOrAlU0.net
己れには最早人間としての生活は出来ない。
たとえ、今、己れが頭の中で、どんな優れた詩を作ったにしたところで、どういう手段で発表できよう。
まして、己れの頭は日毎に虎に近づいて行く。どうすればいいのだ。己れの空費された過去は? 己れは堪らなくなる。

そういう時、己れは、向うの山の頂の巖に上り、空谷に向って吼える。この胸を灼く悲しみを誰かに訴えたいのだ。己れは昨夕も、彼処で月に向って咆えた。誰かにこの苦しみが分って貰えないかと。

しかし、獣どもは己れの声を聞いて、唯、懼れ、ひれ伏すばかり。山も樹も月も露も、一匹の虎が怒り狂って、哮っているとしか考えない。天に躍り地に伏して嘆いても、誰一人己れの気持を分ってくれる者はない。
ちょうど、人間だった頃、己れの傷つき易い内心を誰も理解してくれなかったように。己れの毛皮の濡れたのは、夜露のためばかりではない。

48 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:49:13.13 ID:l7sJWNaN0.net
こいついつも立ててんな

49 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:49:18.50 ID:/kHdHWMhM.net
文学って好きなんなけど読むきっかけが無いのよね
教科書みたいにタダで読めたのありがたかったな当たりしかないし

50 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:49:23.08 ID:u59lBC3E0.net
このスレすこ

51 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:49:31.11 ID:CP8AgY2a0.net


52 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:49:52.26 ID:XQyOrAlU0.net
 漸く四辺(あたり)の暗さが薄らいで来た。木の間を伝って、何処からか、暁角が哀しげに響き始めた。

 最早、別れを告げねばならぬ。酔わねばならぬ時が、(虎に還らねばならぬ時が)近づいたから、と、李徴の声が言った。だが、お別れする前にもう一つ頼みがある。それは我が妻子のことだ。

彼等は未だ虢略にいる。固より、己れの運命に就いては知る筈がない。君が南から帰ったら、己れは既に死んだと彼等に告げて貰えないだろうか。決して今日のことだけは明かさないで欲しい。
厚かましいお願だが、彼等の孤弱を憐れんで、今後とも道塗に飢凍することのないように計らって戴けるならば、自分にとって、恩倖、これに過ぎたるは莫い。

53 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:50:25.30 ID:XQyOrAlU0.net
 言終って、叢中から慟哭の声が聞えた。袁傪もまた涙を泛べ、欣んで李徴の意に副いたい旨を答えた。李徴の声はしかし忽ち又先刻の自嘲的な調子に戻って、言った。

 本当は、先ず、この事の方を先にお願いすべきだったのだ、己れが人間だったなら。飢え凍えようとする妻子のことよりも、己の乏しい詩業の方を気にかけているような男だから、こんな獣に身を堕すのだ。

54 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:50:53.80 ID:XQyOrAlU0.net
 言終って、叢中から慟哭の声が聞えた。袁傪もまた涙を泛べ、欣んで李徴の意に副いたい旨を答えた。李徴の声はしかし忽ち又先刻の自嘲的な調子に戻って、言った。

 本当は、先ず、この事の方を先にお願いすべきだったのだ、己れが人間だったなら。飢え凍えようとする妻子のことよりも、己の乏しい詩業の方を気にかけているような男だから、こんな獣に身を堕すのだ。

55 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:50:59.97 ID:XQyOrAlU0.net
ミスったわ

56 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:51:18.01 ID:XQyOrAlU0.net
 そうして、附加えて言うことに、袁傪が嶺南からの帰途には決してこの途を通らないで欲しい、その時には自分が酔っていて故人を認めずに襲いかかるかも知れないから。

又、今別れてから、前方百歩の所にある、あの丘に上ったら、此方を振りかえって見て貰いたい。自分は今の姿をもう一度お目に掛けよう。
勇に誇ろうとしてではない。我が醜悪な姿を示して、以て、再び此処を過ぎて自分に会おうとの気持を君に起させない為であると。

57 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:51:33.55 ID:XQyOrAlU0.net
 袁傪は叢に向って、懇ろに別れの言葉を述べ、馬に上った。叢の中からは、又、堪え得ざるが如き悲泣の声が洩れた。袁傪も幾度か叢を振返りながら、涙の中に出発した。

58 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:51:44.34 ID:y9C/Mw9q0.net
>>49
青空文庫アプリ入れとけ
捗るぞ

59 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:51:44.90 ID:1hULsrTl0.net
我が西遊記すこ

60 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:51:45.99 ID:XQyOrAlU0.net
 一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。

61 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:52:06.49 ID:XQyOrAlU0.net
(昭和17年2月発表)

62 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:52:40.94 ID:u59lBC3E0.net
ナポレオンすこ

63 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:52:59.30 ID:JwFf2C7Va.net
その後南の島へ

64 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:53:03.75 ID:XQyOrAlU0.net
>>49
夏目漱石 芥川龍之介 中島敦 志賀直哉はハズレがないからええぞ

65 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:54:06.86 ID:igbJKWEMa.net
袁傪の部下はこれ見てどう思ったんやろ
こいついきなりなんか訳のわからんことし始めてるよとか思ったんやろか

66 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:54:13.22 ID:N8+ijhmcM.net
小説なのに説教臭い話やな

67 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:54:23.01 ID:/kHdHWMhM.net
>>58
これは捗るわサンキューガッツ

68 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:54:50.92 ID:9ganGWIC0.net
こんな話やったか
ええな

69 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:54:59.32 ID:/kHdHWMhM.net
>>64
やっぱ教科書に載るだけはあるわ

70 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:55:20.45 ID:1hULsrTl0.net
わいもうすぐ中島敦死んだ年やん!
寿命中島敦に分けてやりたいわ

71 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:55:28.17 ID:XQyOrAlU0.net
>>66
説教やないぞ
李徴の悲しみを聞くんや

72 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:55:41.38 ID:XQyOrAlU0.net
牛人 中島敦

73 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:56:35.64 ID:XQyOrAlU0.net
 魯の叔孫豹(しゅくそんひょう)がまだ若かった頃、乱を避けて一時斉に奔ったことがある。途に魯の北境庚宗の地で一美婦を見た。俄に懇ろとなり、一夜を共に過して、さて翌朝別れて斉に入った。

斉に落着き大夫国氏の娘を娶って二児を挙げるに及んで、かつての路傍一夜の契りなどはすっかり忘れ果ててしまった。

74 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:57:37.94 ID:XQyOrAlU0.net
 或夜、夢を見た。四辺(あたり)の空気が重苦しく立罩め不吉な予感が静かな部屋の中を領している。突然、音も無く室の天井が下降し始める。極めて徐々に、しかし極めて確実に、それは少しずつ降りてくる。

一刻ごとに部屋の空気が濃く淀み、呼吸が困難になってくる。逃げようともがくのだが、身体は寝床の上に仰向いたままどうしても動けない。見えるはずはないのに、天井の上を真黒な天が盤石の重さで押しつけているのが、はっきり判る。
いよいよ天井が近づき、堪え難い重みが胸を圧した時、ふと横を見ると、一人の男が立っている。恐ろしく色の黒い傴僂で、眼が深く凹くぼみ、獣のように突出た口をしている。全体が、真黒な牛に良く似た感じである。

75 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:58:00.39 ID:lQ5MQ2bB0.net
>>72
ワイのリクエストやん
サンキューやで

76 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 04:58:54.36 ID:XQyOrAlU0.net
牛! 余われを助けよ、と思わず救を求めると、その黒い男が手を差伸べて、上からのし掛かる無限の重みを支えてくれる。それからもう一方の手で胸の上を軽く撫でてくれると、急に今までの圧迫感が失くなってしまった。ああ、良かった、と思わず口に出したとき、目が醒めた。

 翌朝、従者下僕らを集めて一々検べて見たが、夢の中の牛男(うしおとこ)に似た者は誰もいない。その後も斉の都に出入する人々について、それとなく気を付けて見るが、それらしい人相の男には絶えて出会わない。

 数年後、再び故国に政変が起り、叔孫豹は家族を斉に残して急遽帰国した。後、大夫として魯の朝(ちょう)に立つに及んで、初めて妻子を呼ぼうとしたが、妻は既に斉の大夫某と通じていて、一向夫の許に来ようとはしない。
結局、二子孟丙(もうへい)・仲壬(ちゅうじん)だけが父の所へ来た。

77 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:00:09.33 ID:XQyOrAlU0.net
 或朝、一人の女が雉を手土産に訪ねて来た。始め叔孫の方ではすっかり見忘れていたが、話して行く中にすぐ判った。十数年前斉へ逃れる道すがら庚宗の地で契った女である。

独りかと尋ねると、倅(せがれ)を連れて来ているという。しかも、あの時の叔孫の子だというのだ。とにかく、前に連れてこさせると、叔孫はアッと声に出した。色の黒い・目の凹んだ・傴僂なのだ。夢の中で己を助けた黒い牛男にそっくりである。
思わず口の中で「牛!」と言ってしまった。するとその黒い少年が驚いた顔をして返辞をする。叔孫は一層驚いて、少年の名を問えば、「牛と申します」と答えた。

 母子ともに即刻引取られ、少年は豎じゅ(小姓)の一人に加えられた。それ故、長じて後もこの牛に似た男は豎牛(じゅぎゅう)と呼ばれるのである。

容貌に似合わず小才の利く男で、すこぶる役には立つが、いつも陰鬱な顔をして少年仲間の戯れにも加わらぬ。主人以外の者には笑顔一つ見せない。叔孫にはひどく可愛がられ、長じては叔孫家の家政一切の切廻しをするようになった。

78 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:00:20.02 ID:N8+ijhmcM.net
>>71
ええ話やと思うけど中島敦本人の自己投影と願望がくどいくらいでとるわ

79 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:00:25.24 ID:Bew4JO+W0.net
李徴ほど優秀ではないし不条理も受けてないけどあいつの悲しみはめちゃくちゃ共感できる

80 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:01:33.40 ID:XQyOrAlU0.net
 眼の凹んだ・口の突出た・黒い顔は、ごく偶に笑うとひどく滑稽な愛嬌に富んだものに見える。こんな剽軽(ひょうきん)な顔付の男に悪企わみなど出来そうもないという印象を与える。目上の者に見せるのはこの顔だ。

仏頂面をして考え込む時の顔は、ちょっと人間離れのした怪奇な残忍さを呈する。儕輩(さいはい)の誰彼が恐れるのはこの顔だ。意識しないでも自然にこの二つの顔の使い分けが出来るらしい。

 叔孫豹の信任は無限であったが、後嗣に直そうとは思っていない。秘事ないし執事としては無類と考えていたが、魯の名家の当主とは、その人品からしてもちょっと考えにくいのである。

豎牛ももちろんそれは心得ている。叔孫の息子たち、殊に斉から迎えられた孟丙・仲壬の二人に向かっては、常に慇懃を極めた態度をとっている。彼らの方では、幾分の不気味さと多分の軽蔑とをこの男に感じているだけだ。
父の寵の厚いのに大して嫉妬を覚えないのは、人柄の相違というものに自信をもっているからであろう。

81 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:02:12.54 ID:XQyOrAlU0.net
>>78
中島敦の作品を読んでいるときは中島敦のことなんて忘れて読んだ方がええぞ

82 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:02:13.64 ID:8Km9dKPI0.net
初見で読めない字があると悔しいしワイは学がないんやなって

83 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:03:08.07 ID:XQyOrAlU0.net
 魯の襄公が死んで若い昭公の代となる頃から、叔孫の健康が衰え始めた。丘蕕(きゅうゆう)という所へ狩りに行った帰りに悪寒を覚えて寝付いてからは、ようやく足腰が立たなくなって来る。

病中の身の廻りの世話から、病床よりの命令の伝達に至るまで、一切は豎牛一人に任せられることになった。

豎牛の孟丙らに対する態度は、しかし、いよいよ遜ってくる一方である。

84 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:03:50.30 ID:fSRswu3j0.net
日本で言うと司法試験落ちて発狂みたいなもん?

85 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:04:38.76 ID:/kHdHWMhM.net
難しい話だ

86 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:05:42.89 ID:XQyOrAlU0.net
 叔孫が寝付く以前に、長子の孟丙のために鐘を鋳させることに決め、その時に言った。
お前はまだこの国の諸大夫と近附になっていないから、この鐘が出来上ったら、その祝を兼ねて諸大夫を饗応するが宜よかろうと。明らかに孟丙を相続者と決めての話である。

叔孫が病に伏してから、ようやく鐘が出来上った。孟丙は、かねて話のあった宴会の日取の都合を父に聞こうとして、豎牛にその旨を通じてもらった。特別の事情が無い限り、豎牛の外は誰一人病室に出入出来なかったのである。

豎牛は、孟丙の頼を受けて病室に入ったが、叔孫には何も取次がない。すぐ外へ出て来て孟丙に向かい、主君の言葉として出鱈目な日にちを指定する。

指定された日に孟丙は賓客を招き盛んに饗応して、その座で始めて新しい鐘を打った。病室でその音を聞いた叔孫が怪しんで、あれは何だと聞く。孟丙の家で鐘の完成を祝う宴が催され多数の客が来ている旨を、豎牛が答える。

俺の許も得ないで勝手に相続人面づらをするとは何事だ、と病人が顔色を変える。それに、客の中には斉にいる孟丙殿の母上の関係の方々も遥々見えているようです、と豎牛が附加える。
不義を働いたかつての妻の話を持出すといつも叔孫の機嫌が見る見る悪くなることを、良く承知しているのだ。

病人は怒って立上がろうとするが、豎牛に抱きとめられる。身体に障ってはいけないというのである。
俺がこの病でてっきり死ぬものと決めて掛かって、もう勝手な真似を始めたのだなと歯咬みをしながら、叔孫は豎牛に命ずる。構わぬ。引捕らえて牢に入れろ。抵抗するようなら打殺しても宜い。

 宴が終り、若い叔孫家の後嗣は快く諸賓客を送り出したが、翌朝は既に屍体したいとなって家の裏藪に棄てられていた。

87 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:06:37.68 ID:1V9IcKuIa.net
>>1
飽きもせず何度も同じスレ立ててんじゃねーぞ豚

88 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:07:13.04 ID:8Km9dKPI0.net
ええ…

89 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:07:24.95 ID:l27HW/Cy0.net
>>84
国家試験総合職受けて落ちたかんじ

90 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:07:38.97 ID:XQyOrAlU0.net
>>84
東大一発合格からの財務官僚に成績上位で一発合格したけど自分より頭悪い上司に頭下げるのが嫌ですぐ辞表出して小説家目指したけど作品を投稿することもしないままに挫折して復職してクソ上司と元同期の先輩に頭下げてるうちに発狂

91 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:07:58.39 ID:N8+ijhmcM.net
中島敦の小説はすごい丁寧ですごい読みやすいけど逆に読者を馬鹿にしてんじゃないかって気がするわ

92 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:08:30.56 ID:JwFf2C7Va.net
牛人はじめて読むわ引き込まれる

93 :風吹けば名無し:2019/06/23(日) 05:09:38.20 ID:XQyOrAlU0.net
 孟丙の弟仲壬は昭公の近侍某と親しくしていたが、一日友を公宮に訪ねた時、たまたま公の目に留とまった。二言三言、その下問に答えている中に、気に入られたと見え、帰りには親しく玉環を賜わった。

大人しい青年で、親にも告げずに身に佩おびては悪かろうと、豎牛を通じて病父にその名誉の事情を告げ玉環を見せようとした。牛は玉環を受取って内に入ったが、叔孫には示さない。仲壬が来たということさえ話さぬ。

再び外に出て来て言った。父上には大変御喜びですぐにも身に着けるようにとのことでした、と。仲壬はそこで始めてそれを身に佩びた。

数日後、豎牛が叔孫に勧める。既に孟丙が亡い以上、仲壬を後嗣に立てることは決まっている故、今から主君昭公に御目通りさせては如何。

叔孫がいう。いや、まだそれと決めた訳ではないから、今からそんな必要はない。

しかし、と牛が言葉を返す。父上の思召しはどうあろうと、息子の方では勝手にそう決め込んで、もはや直接君公に御目通りしていますよ。

そんな莫迦な事があるはずは無いという叔孫に、それでも近頃仲壬が君公から拝領したという玉環を佩びていることは確かですと牛が請け合う。

早速仲壬が呼ばれる。果たして玉環を佩びている。公からの戴きものだという。父は利かぬ身体を床の上に起こして怒った。息子の弁解は何一つ聞かれず、すぐにその場を退いて謹慎せよという。

 その夜、仲壬はひそかに斉に奔った。

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