MLB、野球普及へ「透明ランナー」を推奨

風吹けば名無し

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【世界から】MLB、「透明ランナー」を推奨
野球人気復活目指し
　「透明ランナー」という言葉をご存じだろうか。

　昭和の小学生だった筆者は、三角ベースという、野球に似せた遊びをよくしたものだ。野球は9人対9人で競うスポーツだが、子供の遊び場でそれだけの人数を
集めるのは難しい。そのため、少人数で遊べる三角ベースをするのだが、数人が続けてヒットを打って塁に出ると、次に打席に入るバッターが足りなくなる。そん
な時には、空想上の走者を登場させた。塁上にいる子供は、代走を起用したものと仮定して、自分は打席に入る。その仮定の走者を「透明ランナー」と呼んでいた。

　ベースボール発祥の地である米国にもこうした野球遊びはあり、「透明ランナー」に相当する「ゴーストランナー」が存在する。目に見えないことを意味する「インビ
ジブルランナー」という言葉もあるようだ。しかし、これらは死語になりつつある。子供たちが広場で野球のような遊びをすることが、ほとんどなくなったからだ。

▽野球遊びを

　米大リーグ機構（MLB）は、子供たちの間で野球に似せた遊びが復活することを望んでいる。

　MLBのマンフレッド・コミッショナーは9月、米アスペン研究所開催のトークショーで「形式にこだわらない野球遊びをもっとしてほしい」と訴えた。コミッショナー
は59歳。子供時代には、ユニホームもなく、コーチも、審判も、親もいない、広場での少人数での野球遊びを存分に楽しんだという。どこからともなく友達が集
まり、なんとなく野球が始まる。疲れたらやめればいい。子供たちにもそのおもしろさを味わってほしいと呼びかけた。

▽大人の指導

　今、子供たちにとって、野球は遊びではなく、習い事や競技になっている。小学校低学年から、公式ルールに近い野球をしている。大人の指導を受け、
打ったり、投げたりする能力を獲得していく。決められたメニューに沿っての反復練習。親の期待と声援を受けての試合。親世代よりも技術的には洗練
されているかもしれないが、遊びや楽しみの要素は少なくなっている。

　しかも、習い事としてのスポーツはお金がかかる。高いレベルで野球をしようと思えば、指導料や試合参加費の負担も大きくなる。低所得の親は、わが
子を野球チームに送り出すことをためらう。

　マンフレッド・コミッショナーの少年時代のように、どこからともなく広場に子どもが集まってくることも少ない。米国は防犯意識の高まりから、小学生であ
っても外遊びには大人の付き添いが求められるからだ。