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【悲報】なろう主人公さん、一見さんお断りの酒場でチート

1 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2017/05/25(木) 20:44:06.58 ID:u7h0g/Qx0.net
 熱砂と炎陽が鉄道駅の街路を熱く焼き付けるある日。炎天下の最中、黒尽くめの衣装を着た一人の男が街内を彷徨い歩いていた。
彼の右手の先には大凡何が入っているかも見当が付かないような薄っぺらなケースがぶらさがっている。
「ここ、かな」
 店の外壁に書かれた異国の文字列を眼にして男はそっと頷いた。
『星牡鹿<エトワールセール>』と名乗るその酒場。その界隈では名を知らぬ者はいないと言われるその店は、とある商品を取り扱うのに慣れていた。
と言っても薬や弾丸と言った物騒な代物の話ではない。その店で扱われている逸品、それは【珈琲豆】であった。
 機械で自動化された入り口を通り抜ける。凍えるほどに冷え切った空気が男の頬をそっと撫でた。
店内は独特な雰囲気を醸し出す装飾がなされている。内装もそうだが、店の客層も一筋縄では行かない。
男がカウンターに近づくほど、荒くれ者達の彼を凝視する眼光は比例して鋭いものになっていく。

「アジアの……抹茶は取り扱ってるか? サイズは……そうだな、大でいい」

 店員に向かって男はそう注文する。一瞬の空白の後で、酒場の猛者達が一斉に笑いだした。

「ガハハハハハ!」
「一緒にケーキでも頼んだらどうだ? ボウヤ」

 荒くれ者の一人が立ち上がって男に近づく。

「ガキの遊び場じゃねえんだぜ坊主。出ていきな」

 男は荒くれ者を無視するかのように右手のケースを開け放つ。中から現れたのは一枚の金属製の板であった。

「このガキャ、なにを取り出して――」

 男の瞳に映り込む文様。智慧の証、齧られた林檎の紋章。

「貴様……まさか……早打ちマック……?!」
「お客様、こちら抹茶フラペチーノのトールサイズとなっております」

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