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三島由紀夫「弱者ぶる奴は徹底的にいじめるべし」

35 :風吹けば名無し@\(^o^)/:2015/12/17(木) 14:01:23.87 ID:I4FQl+2d0.net
ここで自己嫌悪の効用が明らかになる。いやらしい欲望をもったとき、当人は二者択一に直面している。
そんないやらしいことはしないという高級な水準の社会的承認と自尊心を断念し、その欲望の満足を得るか、それとも、その欲望の満足を断念して高級な水準の社会的承認と自尊心を維持するかの二者択一である。
この二者択一に直面して、いずれをも断念したくない、花もダンゴも欲しいという欲張りが使う詐術の一つが自己嫌悪である。
彼は、現実のレベルでその欲望を満足させ、その満足を味わった自分を非自己化する。
すなわち、別のレベルに「真の」(実は架空の)自分をおき、現実の自分の行為を「真の」自分には関係も責任もない行為と見なし、あたかもどこかほかのところから襲いかかってきたもののように、その行為を「真の」自分の立場から嫌悪する。
その嫌悪が強ければ強いほど、「真の」自分はますます高潔となり、現実の自分はますます「真の」自分から切り離され、遠ざけられる。
その行為は、たしかに自分のやったことには違いないが、そのとき自分は「どうかしていた」のであり、「ついやってしまった」のである。
つまり、「真の」自分から発した行為ではないというわけである。かくして彼は、いやらしい欲望の満足を味わうことができ、かつ、高潔な自分のイメージを維持することができる。

岸田秀「ものぐさ精神分析 自己嫌悪の効用 太宰治『人間失格』について」より抜粋

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